2015年09月25日更新 ヒトと動物に共通するインフルエンザ感染症の概況 (更新7)

 2015年9月4日付けで、世界保健機関(WHO)からヒトと動物に共通するインフルエンザ感染症の概況が公表されています。

鳥インフルエンザA(H5)ウイルスのヒトへの感染

 前回の2015年7月17日のWHOインフルエンザの情報更新以降、WHOには新たに検査で確認された鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルス感染者は報告されていません。

 2003年から2015年9月4日までに、16か国から844人が検査で確認されたことが報告されました。このうち、449人が死亡しています。

 OIEからの報告によれば、インフルエンザA(H5N1)、A(H5N2)、A(H5N3)、A(H5N6)、A(H5N8)といったさまざまなサブタイプのインフルエンザA(H5)が、西アフリカ、アジア、ヨーロッパ、北米の鳥から検出されています。これらのインフルエンザA(H5)ウイルスは、ヒトに感染を引き起こす潜在力をもっていますが、これまでのところ、インフルエンザA(H5N1)ウイルスのヒトへの感染と2014年以降に中国で発生した4人の患者へのインフルエンザA(H5N6)ウイルスの感染を除いては、ヒトへの感染は報告されていません。

鳥インフルエンザA(H5)ウイルスに対する全体的な公衆衛生上のリスク評価
 全体として、鳥インフルエンザA(H5)ウイルスに対する公衆衛生上のリスク評価は、2015年2月23日から変わってはいません。

非季節性のインフルエンザウイルスによるヒトへの感染

中国での鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒトへの感染
 前回の2015年7月17日のWHOインフルエンザの情報更新以降、WHOには新たに検査で確認された鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染者は報告されていません。

 WHOへの報告によれば、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスへの感染は、少なくとも死亡者275人を含む患者677人が検査で確認されています。

鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに対する全体的な公衆衛生上のリスク評価
 
全体として、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに対する公衆衛生上のリスク評価は、2015年7月17日から変わってはいません。

バングラデシュでの鳥インフルエンザA(H9N2)ウイルスのヒトへの感染
 鳥インフルエンザA(H9N2)ウイルスによるヒトへの感染が検査で確認されたことが、バングラデシュからWHOに報告されました。患者は、3.5歳の女児で、2015年2月1日に軽度の症状を発症し、2月7日には病気から回復しました。この患者から採取された気道検体を検査したところインフルエンザA(H9)が検出され、後にインフルエンザA(H9N2)と確認されました。以前にバングラデシュで分離された他のインフルエンザA(H9N2)ウイルスと類似していました。患者は、病気を発症する前に、病気のウズラなどの家禽類と濃厚に接触していました。彼女と濃厚接触した者でのそれ以上の患者は確認されていません。

 これは、バングラデシュからWHOに報告された鳥インフルエンザA(H9N2)ウイルスによる2人目の感染者です。前回の患者は、2011年に発生しました。鳥インフルエンザA(H9N2)ウイルスがバングラデシュの家禽の間で流行していることは知られています。

鳥インフルエンザA(H9N2)ウイルスに対する全体的な公衆衛生上のリスク評価
 このウイルスは、アジアから中東にかけて家禽の間では流行しているため、さらにヒトでの感染や小集団での感染の発生は可能性があります。

 このウイルスは、人と人の間で簡単に感染伝播するとはみられておらず、臨床症状も軽い傾向があります。そのため、このウイルスが地域社会のレベルで感染拡大することや公衆衛生に影響を与える可能性は、現時点では低いと考えられています。

インフルエンザA(H3N2)変異ウイルスのヒトへの感染
 インフルエンザA(H3N2)変異ウイルスのヒトへの感染が検査確認された患者2人がアメリカ合衆国で確認されました。1人目の患者は、ミネソタ州から7月にWHOに報告されました。2015年7月、発症の前週にブタとの直接の接触機会のあった免疫不全状態の若年者でした。2人目の患者は、2015年6月にミシガン州で発生し、やはり発症する前にブタとの直接の接触機会がありました。両患者ともに発症のために入院し、患者と接触した者の間ではそれ以上の患者は発見されませんでした。これらは、2015年にアメリカ合衆国で確認された1人目と2人目のインフルエンザA(H3N2)変異ウイルス患者です。2005年12月以降、アメリカで確認されたこれらのウイルスの感染者の合計は353人に上ります。

インフルエンザA(H3N2)ウイルスに対する全体的な公衆衛生上のリスク評価
 このウイルスはアメリカ合衆国ではブタの間で流行しているため、さらにヒトでの感染や小集団での感染の発生は可能性があります。過去には、人々が感染したブタと濃厚に接触する可能性のある農業フェアと、患者が関係したことがあります。このウイルスが地域社会のレベルで拡大することや公衆衛生に影響を与えることの可能性は、現時点では低いと考えられています。

インフルエンザA(H1N1)変異ウイルスのヒトへの感染
 インフルエンザA(H3N2)変異ウイルスのヒトへの感染が検査確認された患者1人がアメリカ合衆国で確認されました。これで2005年12月以降、アメリカで確認されたこれらのウイルスの感染者の合計は19人に上ります。患者は、症状の発症前にブタとの直接接触する機会がありました。患者は発症のために入院し、患者と接触した者の間ではそれ以上の患者は発見されませんでした。

インフルエンザA(H1N1)ウイルスに対する全体的な公衆衛生上のリスク評価
 このウイルスはアメリカ合衆国ではブタの間で流行しているため、さらにヒトでの感染や小集団での感染の発生は可能性があります。これまでのところ、感染した可能性のあるブタと濃厚に接触することに関係しています。このウイルスが地域社会のレベルで拡大することや公衆衛生に影響を与えることの可能性は、現時点では低いと考えられています。

出典

WHO. Influenza at the human-animal interface, Monthly Risk Assessment Summary.
Summary and assessment as of 4 September 2015
http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/Influenza_Summary_IRA_HA_interface_04_September_2015.pdf?ua=1