2015年10月07日更新 西アフリカのエボラ流行に関するIHR緊急委員会の第7回会合における声明

 2015年10月5日にWHOから以下の声明が発信されました。
 註:本文はあくまで参考情報です。詳細な内容については原文をお確かめください。

 西アフリカのエボラ出血熱の感染流行に関する第7回緊急委員会会議が、国際保健規則(IHR:2005)に則りWHO事務局長によって招集され、2015年10月1日(火曜日)にテレビ会議を使って行われ、さらに10月1-3日に電子文書でも行われました。

 前回の会議と同様に、委員会の役割は事務局長に以下の議題について進言することにあります。

(1) 現在の状況が国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態を制定し続けるべきものか
(2) もしそうであるならば、現在の一時勧告は延長または改定、そして新たな一時勧告が発行されるべきか

 ギニア、リベリア及びシエラレオネの代表者から、現在の疫学上の状況、感染対策活動の展開、出国スクリーニングについて説明が行われました。

 第6回の会議の後、リベリアは2度目のエボラの終息(2015年9月3日)を宣言し、ギニアとシエラレオネでの毎週の患者発生数は全体として10人を下回り、シエラレオネの首都フリータウンは42日以上にわたりエボラ出血熱の感染伝播のない日を維持しています。委員会は、エボラ感染の制御の強化対策が各国で実施されていることを議題に揚げ、地域社会への働きかけ、社会的な活動、およびその他の最善の衛生習慣の重要性について再確認しました。

 しかし、現在も感染力をもつエボラ出血熱の2つの連鎖が、1本はギニア、もう1本はシエラレオネに存在します。委員会は、接触者として登録されていなかった患者で未だに続く発見(死後検査を含む)、いくつかの地域での感染対策への抵抗、およびエボラ出血熱の発生がない地域への患者および接触者の絶え間ない移動、これら全てが小地域の中にエボラ出血熱の感染伝播を止めることのリスクとなっていることに焦点を当てました。また、少数の患者では回復した個人由来のウイルスが感染源であることを排除しきれませんでした。ウイルスの持続時間に限りがあることが解明されてきていますが、その特徴、持続時間、このような持続性がもつ意味に対しては、さらなる調査が必要となります。

 委員会は、過剰や不適な旅行や輸送における対策が廃止されることにいくつかの改善がみられたものの、34か国では置かれたリスクに不釣り合いな対策が続けられており、感染対策と回復への努力に悪影響が出ていることに懸念を示しました。加えて、たくさんの国際航空会社が、感染国へのフライトを再開するに至っていません。

 委員会は、エボラ出血熱の流行は国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態の状態にあり続けていると進言しました。また、委員会は、事務局長に対して、以前に発行された一時勧告に代えて、次のものに置くことの検討を進言しました。

エボラの感染連鎖を有する国へ

1. 国の統治者は、発生状況について、また、流行の発生を知らせるときに行われるべき手順、迅速に感染制御を確実に行うために重要となる地域社会の役割について、情報を提供することを政府機関に指示し続ける必要があります。

2. もし、患者の移動が適切な医療上の退避でなければ、エボラの接触者および患者の国際間移動は行われるべきではありません。エボラ出血熱の国際的な拡散リスクを最小限に抑えるために以下のことが必要となります。

確定患者は直ちにエボラ治療センターに隔離され、少なくとも48時間をおいて実施された2回のエボラ特異性検査で診断結果が陰性となるまで、国内、国外ともに移動を行ってはなりません。
接触者(適切な保護を行った医療従事者と確実に暴露機会に対し防護していた検査室のスタッフは含まれない)は、毎日の健康監視と、国内の移動の制限を受け、暴露機会の後21日間は海外旅行を行うことができません。
感染の可能性の高い患者、疑いのある患者は、直ちに隔離され、彼らの移動は確定患者もしくは接触者としての分類に基づいて制限されるべきです。

3. 国は、エボラ感染の可能性のある原因不明の発熱者を対象とするために、国際空港、海港および主要な陸上交通要所で、すべての人に対して出国スクリーニングを行う必要があります。出国スクリーニングは、質問紙、体温測定、もし発熱があれば、発熱がエボラウイルスを原因とするかのリスク評価を行うこと、で構成される最小限度にする必要があります。各国は、定期的に出国スクリーニングのデータを共有することが必要です。(国内で)最後の患者が2度のエボラウイルス検査で陰性結果を得てから少なくとも42日間は、このような出国スクリーニングが維持される必要があります。各国には、エボラ出血熱の感染伝播が小規模地域全体で終息するまでは出国スクリーニングを維持することが勧められます。

4. もし、発出国と受入れ国、関係する両国の国家当局での個別の患者に対する特別な取り決めがなければ、死因が疑われる遺体、感染の可能性の高いもしくは確定した患者の国境間での移動は禁止されるべきです。

すべての国へ

5. 通常の国際的な旅行や貿易は禁止されるべきではありません。エボラ出血熱からの回復者の移動は制限されるべきではありません。エボラ出血熱の患者および接触者の移動に関しては、これらの勧告で概説される者に対してのみ制限が実施されるべきです。

6. 現在、これらの一時勧告の程度を超えた過剰または不適な旅行や輸送における対策を実施している国は、2015年10月末までに、このような対策を終らせる必要があります。

7. 各国は、感染リスク及びこれらのリスクを最小限に押さえるための対策に関連する情報をエボラの感染伝播が続く地域に行く旅行者に提供する必要があります。また、潜在的なリスクを管理するための助言をする必要があります。

8. 各国は、エボラ患者を発見し、調査し、管理することに備える必要があります。これには、エボラ出血熱の信頼性のある診断検査が利用できる環境を確実なものにする必要があります。また、適切な場合には、原因不明の発熱があり、エボラの感染伝播が生じている地域からやって来た渡航者で、国際空港および主要な陸上交通要所に到着した者を管理する能力の必要があります。

9. 活動性のあるエボラの感染伝播が国内で発生していることが確認された場合には、エボラの感染伝播のある国に対する全ての勧告が、国や地方レベルのいずれかで、疫学とリスクの状況に応じて、実施されることが必要になります。

 事務局長は、この委員会の進言と情報に基づいて、西アフリカの国での2014-2015年エボラ流行は国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態が続いていることを宣言しました。事務局長は、委員会の進言を支持し、IHRの下での一時勧告としてその進言を交付しました。これらの一時勧告は、IHRの下で西アフリカのエボラ流行状況で発行されたこれまでの全ての勧告に優先し、置き換えられます。

 事務局長は、委員会委員およびアドバイザーからの進言に対し謝意を述べ、必要があれば3か月以内に現況の再評価を行うことを要請しました。

出典

WHO. Statement on the 7th meeting of the IHR Emergency Committee regarding the Ebola outbreak in West Africa, WHO Statement. 5 October 2015.
http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2015/ihr-ebola-7th-meeting/en/