2015年10月15日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第41週)

2015年10月14日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。これまでのエボラ出血熱の総患者数は28,490人、死亡者数は11,312人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 10月11日までの1週間に、エボラ出血熱確定患者の報告はありません。これで2週間続けて、確定患者がゼロとなります。しかし、ギニアには150人の登録された接触者が観察下にあり、そのうちの118人はハイリスクの接触者です。加えて、259人の接触者と連絡が取れていません。接触登録者と連絡不能の接触者、両方において近い将来にさらなる患者が現れるリスクが残っています。シエラレオネでは、この国で最も感染力のある2つの感染連鎖に関係する2人のハイリスク接触者との連絡が取れなくなり、未だに見つかっていません。また、2014年12月29日に英国で報告された患者が、回復した後に、10月6日に晩期のエボラ関連合併症を発現し英国で入院しました。10月13日までに、英国では62人の濃厚接触者が確認され、観察下にあります。
  • 患者発生数は11週連続して5人以下となっています。この間に、ウイルスの感染伝播は地理的にギニア西部とシエラレオネの僅かな狭い地域に絞られてきました。現況は確実に第3期に移行しています。エボラ出血熱に対する政府官庁間の協力体制の調整が図られ、第3期の取り組みが洗練されたものとなれば、患者発生数をゼロへと向わせる現在の対策をより大きく発展させ、エボラ出血熱流行の収束を維持することが保証されるでしょう。(活動性のある感染伝播をもつ地域やウイルスを保有した動物宿主からの)ウイルスの再侵入や生存者からのウイルス再出現を早期に発見するためのさらに強化された対応能力、生存者の快適な生活を守る包括パッケージの一部としての検査やカウンセリングの対応能力が、第3期の対策における枠組みの中心となります。
  • ギニアのフォレカリア県では150人の接触者が観察下にあります。このうち、118人はハイリスクの接触者です。接触者は全員が首都コナクリのラトマ地区を中心とした単一の感染連鎖に関係しています。また、ギニアでは259人の連絡の取れない接触者が確認されています。これらの連絡の取れない接触者のほとんどがコナクリとフォレカリアからの者です。ギニアのフォレカリア県下のKaliah(カリア)の2つの村で9月26日と27日に報告された最近の患者4人は、ラトマの感染連鎖に関連する感染の可能性の高い患者との接触をもつ未登録者で、コナクリの10歳の少女からの感染でした。
  • シエラレオネでは、4週連続して確定患者は報告されていません。ボンバリとカンビアでは、この地域で活動性のある最近の2つの感染連鎖に関連する接触者全員が21日の観察期間を終えました。また、治療を受けた最後の患者が9月26日にカンビアのエボラ治療センターを退院しました。しかし、ボンバリとカンビアで1人ずつ、合わせて2人のハイリスク接触者との連絡が取れなくなっています。これらの連絡の取れない接触者との連絡や未発見の感染源からのリスク軽減への努力が、それぞれの地域で最後の患者が報告されてから少なくとも42日間が過ぎるまで続けられます。
  • 現状では、感染の影響を受けていない地域におけるエボラ出血熱の再侵入や再出現を早期に確実に発見するために、厳重な調査活動への取り組みが重要になります。ギニアでは、10月4日の週に合計725検体が9つの稼働する検査室で新たに又繰り返し検査されました(これはギニアとリベリアで利用できる最新の週のデータです)。リベリアでは、10月4日の週に928検体が集められ、稼働している4つの検査室で新たに又繰り返し検査されました。シエラレオネでは、10月11日の週に1,654検体が集められ、稼働する検査室9か所で検査されました。

広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国

・流行の勃発以降、10月11日までに、ギニア、リベリア、シエラレオネではエボラ出血熱患者(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が合計28,454人、死亡者が11,297人となりました(多くの患者の帰転は不明ですが、この総計には可能性の高い患者および疑い患者から報告された死亡者が含まれます)。10月11日までの1週間に、新たな患者の報告はありません。

・確定患者の合計は男女で近いものとなっています。患者発生数を15歳未満の小児と比較したとき、15歳から44歳までの成人ではギニアとリベリアで約4倍、シエラレオネでは約3倍感染しやすい傾向があります。45歳以上の成人ではギニアで約5倍、リベリアとシエラレオネで約4倍となっています。

・10月11日までの1週間に、新たな医療従事者の感染は報告されていません。ギニア、リベリア、シエラレオネから881名の医療従事者の感染が報告されています。このうち、513名が亡くなっています。(3か国以外の国でも、19名の感染と7名の死亡が報告されています)

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。リベリアでは、人でのエボラウイルス流行の終息が2015年9月3日に宣言され、現在、90日間の高度警戒の調査活動に入っています。

出典

WHO. Situation reports: Ebola response roadmapSituation report. 14 October 2015
http://apps.who.int/ebola/sites/default/files/atoms/files/who_ebola_situation_report_14-10-2015.pdf?ua=1[PDF形式:2,192KB]