2015年11月27日更新 エボラ出血熱の発生状況 (第47週)

2015年11月25日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますと、エボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。これまでのエボラ出血熱の総患者数は28,637人、死亡者数は11,314人になりました。

註:情報を簡潔に伝えるために、ここでは全体の患者発生状況、医療従事者での患者発生状況に内容を絞り込んでいます。要約に書かれているように、この他にも国別の発生状況及び対応状況が報告されています。詳細については原文をご参照ください。

要約

  • 11月22日の週に、エボラ出血熱の確定患者3人による集団発生がリベリアから報告されました。最初に報告された患者は15歳の少年で、11月19日に広域モンロビア地区の医療施設に入院の後、エボラ出血熱検査で陽性と判りました。その後、彼は家族5人と共にエボラ治療センターに搬送されました。家族のうち残る2人の感染者は8歳の少年と40歳の彼の父親で、繰り返し行った検査で陽性と判り、直ちに隔離されました。また、家族に加えて、これまでに15歳の少年を隔離する前に濃厚な接触機会があった医療従事者10人を含む149人の接触者を確認しています。感染源を解明する調査は初期の段階です。リベリアは、2015年9月3日にエボラ流行の終息を宣言していました。
  • 11月7日に、WHOは、シエラレオネが第3期感染対策の目的の一つを達成し、2016年2月5日に終結するスケジュールで、この国が90日間の高度警戒下で行われる調査体制に入ったことを宣言しました。11月22日には、ギニアでの最後の患者が連続する2回のエボラ出血熱検査で陰性の結果を得てから6日が経ちました。ギニアで最後のこの患者は2015年10月29日に報告されました。
  • リベリアでのこれらの新たな患者は、感染の影響を受けていない地域におけるエボラ出血熱のいかなる再侵入や再出現も早期に確実に発見するために、厳重に調査活動を実施することの重要性を強調しています。残存するエボラのリスクが起こし得る重大事に向けて管理し対応することで構成される第3期感染対策の2つ目の目的を達成するために、ギニア、リベリア、シエラレオネでは、医療従事者と公的な役員がエボラ出血熱との関連が疑われる病気や死亡、何れの場合も関係する担当部局に報告できるように調査体制が図られています。11月22日の週に、ギニアでは34県全てから警戒情報29,176件が報告されました。リベリアでは、現在、同等に利用できるデータはありません。シエラレオネでは、11月15日の週(利用可能な最新の週)に、14のうちの14地域から警戒情報1,420件が報告されました。
  • 各国のエボラ出血熱サーベイランス戦略の一環としては、エボラ出血熱に一致する臨床症状をもっている又はもっていたすべての患者または死亡者から、血液サンプルや口腔内スワブ検体が収集される必要があります。ギニアでは、11月22日の週に34県のうち16県から合計670検体が稼働する9つの検査室で新たに、又繰り返し検査されました。ギニアで検査された全ての検体のうち85%は遺体から採取された口腔内スワブ検体でした。対照的に、同じ期間に、リベリアでは930検体が新たに、又繰り返し検査されましたが、その82%は生きている患者から集められました。また、リベリアでは15郡すべてから検体が集められ、国内で稼働する検査室4か所で検査されました。シエラレオネでは、14地域全てから新たに1,240検体が集められ、稼働する検査室8か所で検査されました。シエラレオネの検体の92%は遺体から採取された口腔内スワブ検体でした。
  • ギニアからは、11月22日の週に、地域(病院外)において793人の死亡が地域警戒情報システムを通して報告されました。これは、人口と1,000人あたりの年間死亡数11人に基づいて概算される死亡数2,248人の約35%に相当します。リベリアでは、現在、同等に利用できるデータはありません。シエラレオネでは、11月15日の週(利用可能な最新の週)までに、地域(病院外)において1,282人の死亡が警戒情報システムを通じて報告されました。これは、人口と1,000人あたりの年間死亡数17人に基づいて概算される死亡数2,075人の約62%に相当します。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるエボラ出血熱の可能性の高い患者、確定患者、疑い患者の発生数および死亡者数

註:データは各国の保健省からの公式情報に基づいています。これらの数値は再分類、再集計、検査結果の利用状況によって変わることがあります。*再分類された疑い患者と可能性の高い患者の割合が高いために報告が見送られています。**2015年5月9日以前に報告された患者は青色の陰で示されています。継続されている調査および患者と死亡者の遡及的な確定調査によって、これらの数字は改訂されることがあります。シエラレオネでは、人でのエボラウイルス流行の終息が2015年11月7日に宣言され、現在、高度警戒の調査体制に入っています。

第3期の感染対策の骨格

エボラ出血熱の大流行の発生以来、ギニア、リベリア、シエラレオネから死亡者11,299人を含む患者28,601人(確定患者、可能性の高い患者、疑い患者を含む)が報告されてきました。これらの患者や死亡者の大部分は2014年8月から12月までに報告されました。その後3か国では、治療、隔離および安全な埋葬への対応能力に対して迅速に規模を拡大し、その結果、患者発生数が減少傾向に転じました。この迅速な規模の拡大活動は、感染対策の第1期として知られ、調査活動、接触者の追跡、および地域社会の参加した介入活動への継続的な改善に基づいて、2015年前半早期までに確立されました。第2期と呼ばれる期間では、7月末までに患者発生数を週5人以下にすることに成功しました。この患者発生数の顕著な減少は、流行における第3期への明確な移行の合図となりました。この第3期は、ウイルスを持続的に保有する動物からのエボラ出血熱の再出現という可能性は低いものの重要性の高い事態を踏まえながら、感染伝播が地理的に小さな地域に絞り込まれることで特徴づけられます。残存する感染連鎖の経路を効果的に断ち切り、ウイルスを継続して保有する動物からのリスクを管理するために、WHOは、エボラ感染対策の政府官庁間の協力体制と国内および国際的な加盟国との連携をとる先導的な役割として、第3期のエボラ感染対策の骨格を立てました。第3期のエボラ感染対策の骨格は、第1期と第2期の基礎の上に、エボラの感染制御の中で、ワクチンおよび迅速な感染対応チームから生存者のためのカウンセリングや福祉サービスに至るまでの新たな展開を組み込むことに立脚します。

第3期のエボラ感染対策の骨格には、これまでに構築されてきた細かな対策の進行状況の下に、以下の2つの目標の達成に向けられています。

  • 目標1:残存するエボラ出血熱の感染伝播の経路の連鎖を速やかに断ち切ること
  • 目標2:社会的に重要な残存するエボラ出血熱のリスクを管理し対策を立てること

出典

WHO. Situation reports: Ebola response roadmapSituation report. 25 November 2015
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/197915/1/ebolasitrep_25Nov2015_eng.pdf?ua=1[PDF形式:1,535KB]