2015年12月24日更新 西アフリカのエボラ流行に関するIHR緊急委員会の第8回会合における声明

 2015年12月18日にWHOから以下の声明が発信されました。
 註:本文はあくまで参考情報です。詳細な内容については原文をお確かめください。

 西アフリカのエボラ出血熱の感染流行に関する第8回緊急委員会会議が、国際保健規則(IHR:2005)に則りWHO事務局長によって招集され、2015年12月15日(火曜日)にテレビ会議を使って、さらに12月15-21日に電子書面でも議論が交わされました。

 前回の会議と同様に、委員会の役割は事務局長に以下の議題について進言することにあります。

(1) 現在の状況が国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態を制定し続けるべきものか
(2) もしそうであるならば、現在の一時勧告は延長または改定が行われるべきか、さらに追加の一時勧告が検討されるべきか

 リベリア及びシエラレオネの代表者から、現在の疫学上の状況、出国スクリーニング、調査活動、迅速な対策への処理能力について、口頭による説明および書面の提出が行われました。

 委員会は、ギニアでは直近の患者が2015年10月29日、シエラレオネでは8月8日、リベリアでは3月20日に報告されていることに触れ、エボラウイルスの感染源からの連鎖の阻止に対する進展状況について議論されました。しかし、委員会は、疫学調査と遺伝子配列データに基づくとき、2015年3月から11月までの10人程の新たな患者は回復した患者集団からのエボラウイルスの再導入によって発生したものであることを、強調しました。最近もこのような発生が、2015年11月19月から20日にかけて​​リベリアで3人の患者で報告されました。

 これらの新しい感染発生が感染生後の下にあることを認識しつつも、委員会は、これらの感染発生を、感染の影響を受けた国への支援においては引き続き国際的な協調行動を必要とする異常な事態として捉えています。また、ウイルスの持続は限定的と考えられていますが、その特性、期間、影響については、さらなる調査が必要であることを繰り返し強調しました。(また、)委員会は、生存者との日常的な接触は健康上のリスクとはならないことを人々全体に伝達することが重要であることも強調しました。

 委員会は、依然として、34か国が不適当に旅行や輸送に対する制限を制定していることへの懸念を示し、関係国には、特に復興への努力に対してマイナスの印象を与える、このような如何なる制限もすぐに終わらせる必要があることを議題で取り上げました。

 委員会は、連鎖が発生する感染源を断ち切ることから生存者集団から、特に人口の密集した地域ではウイルスが再導入されることによって発生する可能性がある新たな感染発生を管理することまで、現在は重要な過渡期にあることから、エボラ出血熱の流行は国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を引き続き満たしていると進言しました。また、委員会は、一時勧告を延長するために事務局長に以下のことを進言しました。

エボラ感染の連鎖が起きている国に対して

1. 国の最高責任者は、発生状況について、また、流行の発生を知らせるときに行われるべき手順、迅速に感染制御を確実に行うために重要となる地域社会の役割について、情報を提供することを政府機関に指示し続ける必要があります。

2. もし、患者の移動が適切な医療上の退避でなければ、エボラの接触者および患者の国際間移動は行われるべきではありません。エボラ出血熱の国際的な拡散リスクを最小限に抑えるために以下のことが必要となります。
確定患者は直ちにエボラ治療センターに隔離され、少なくとも48時間をおいて実施された2回のエボラ特異性検査で診断結果が陰性となるまで、国内、国外ともに移動を行ってはなりません。
接触者(適切な保護を行った医療従事者と確実に暴露機会に対し防護していた検査室のスタッフを除く)は、毎日の健康監視と、国内の移動の制限を受け、接触機会の後21日間は海外旅行を行うことができません。
感染の可能性の高い患者、疑いのある患者は、直ちに隔離され、彼らの移動は確定患者もしくは接触者としての分類に基づいて制限されるべきです。

3. 国は、エボラ感染の可能性のある原因不明の発熱者を対象とするために、国際空港、海港および主要な陸上交通要所で、すべての人に対して出国スクリーニングを行う必要があります。出国スクリーニングは、質問紙、体温測定、もし発熱があれば、発熱がエボラウイルスを原因とするかのリスク評価を行うことで構成される最小限度に留める必要があります。各国は、定期的に出国スクリーニングのデータをWHOと共有することが必要です。(国内で)最後の患者が2度のエボラウイルス検査で陰性結果を得てから少なくとも42日間は、このような出国スクリーニングが維持される必要があります。各国には、エボラ出血熱の感染伝播が小規模地域全体で終息するまでは出国スクリーニングを維持することが勧められます。

4. もし、発出国と受入れ国、関係する両国の国家当局での個別の患者に対する特別な取り決めがなければ、死因が疑われる遺体、感染の可能性の高いもしくは確定した患者の国境間での移動は禁止されるべきです。

すべての国に対して

5. 通常の国際的な旅行や貿易は禁止されるべきではありません。エボラ出血熱からの回復者の移動は制限されるべきではありません。エボラ出血熱の患者および接触者の移動に関しては、これらの勧告で概説される者に対してのみ制限が実施されるべきです。

6. 現在、これらの一時勧告の程度を超えた過剰または不適切な旅行や物資輸送における対策を実施している国は、2015年12月末までに、このような対策を終らせる必要があります。

7. 各国は、感染リスク及びこれらのリスクを最小限に押さえるための対策に関連する情報をエボラの感染伝播が続く地域に行く旅行者に提供する必要があります。また、潜在的なリスクを管理するための助言をする必要があります。

8. 各国は、エボラ患者を発見し、調査し、管理することに備える必要があります。これには、エボラ出血熱の信頼性のある診断検査が利用できる環境を確実に利用できる必要があります。また、適切な場所では、原因不明の発熱があり、エボラの感染伝播が生じている地域からやって来た渡航者で、国際空港および主要な陸上交通要所に到着した者を管理する処理能力を備えている必要があります。

9. 活動性のあるエボラの感染伝播が国内で発生していることが確認された場合には、エボラの感染伝播のある国に対する全ての勧告が、国や地方レベルのいずれかで、疫学とリスクの状況に応じて、実施されることが必要になります。

 その観点と展望を策定する中で、委員会は、国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)の継続か終了かだけを助言することができ、IHRは中間レベルでの警告を提供しないという事実を反映させました。緊急委員会は、エボラ対策におけるIHRの検討委員会がこの問題をよく見ており、この点で潜在的な勧告を検討していることを知らされました。委員会は、このような検討に対する支持を表明しました。将来に向けて、IHR(2005)の下での一時勧告の推奨事項はPHEICの状態が終了した場合であっても、拡張または変更することができます。

 事務局長は、この委員会の進言と情報に基づいて、西アフリカの国での2014-2015年エボラ流行は国際的な懸念に対する公衆衛生上の緊急事態が続いていることを宣言しました。事務局長は、委員会の進言を支持し、IHRの下での一時勧告としてその進言を交付しました。これらの一時勧告は、IHRの下で西アフリカのエボラ流行状況で発行されたこれまでの全ての勧告に優先し、置き代えられます。

 事務局長は、委員会委員およびアドバイザーからの進言に対し謝意を述べ、IHRの検討委員会の作業に対するこの委員会の支援について特別に言及し、必要があれば3か月以内に現況の再評価を行うことを要請しました。

出典

WHO. Statement on the 8th meeting of the IHR Emergency Committee regarding the Ebola outbreak in West Africa, WHO Statement. 18 December 2015.
http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2015/ihr-ebola-8th-meeting/en/