2016年02月15日更新 ジカウイルス発生状況について -アメリカ合衆国

 2016年2月12日付けで公表されたWHOの情報によりますと、2月5日に、アメリカ合衆国のPAHO/WHO(汎米保健機構/世界保健機構)は、性交渉によりジカウイルスが感染した可能性のある患者を報告しました。

報告の詳細
 
個人A(A氏)は、テキサス州ダラスの住民では、12月下旬から1月初めにかけての1週間、ベネズエラを訪れていました。A氏は、米国に戻った数日後、発熱、発疹、結膜炎、倦怠感など、ジカウイルス感染症に一致する症状を示しました。発症前日と発症中に一度、A氏は旅行をしていない個人B(B氏)と性交渉を行いました。A氏が発症してから約1週間後、B氏は、発熱、そう痒、発疹、結膜炎、小関節の疼痛、倦怠感など、ジカウイルス感染症に一致する症状を示しました。

 臨床検査では、A氏、B氏ともにジカウイルスへの感染が確認されました。発症後14日目にA氏から採取された検体、および発症後4日目と7日目のB氏の検体で、ジカウイルスIgMと中和抗体の証拠が確認されました。当時の現地の気象条件は、蚊の活動には適していません。さらに、関係する領域で昆虫の捕獲調査が実施されましたが、蚊は採集されませんでした。

WHOによるリスク評価
 
これは、性交渉によりジカウイルスに感染した初めての患者ではありません。この経路で感染が成立した患者は、散発的に、これまでにも既に文献で報告されています。性交渉によってこの病気が広がるリスクは極めて限られています。ウイルスは、主に蚊に刺されることによって人に伝播するので、この潜在的な性交渉による事例は、全体的なリスク評価を変えるものではありません。強力にウイルスを媒介するヤブカ属が棲息する地域で世界的にジカウイルスが広がる危険性は、世界中のさまざまな地域にこれらの蚊が広く地理的分布することを考えると、重要なことです。WHOは、利用可能な最新の情報に基づいて、疫学的な発生状況を監視し、リスク評価を行っています。

WHOからのアドバイス
 
人の居住地での媒介蚊が繁殖する地の近くは、ジカウイルス感染に対して大きな危険因子となります。感染の予防と制御は、感染源の抑止(繁殖地の除去および環境改善)を通して媒介蚊の繁殖を減らすことと、媒介蚊と人との接触機会を減らすことに依存します。これらは、自然及び人工の貯水池で蚊の幼虫が生息できる場所の数を減らし、リスクのある地域で蚊の成虫個体数を減らし、防虫剤、網戸、戸や窓の遮断、長袖の衣服の着用など感染防御を行うことで、達成できます。ネッタイシマカおよびヒトスジシマカなどのヤブカ属(感染伝播において主となる媒介昆虫)は日中に活動するため、昼寝をしている人、特に幼児と子ども、病人および高齢者には、保護のために防虫処理された蚊帳、また防虫処理されておらずとも、その中で休息することが重要です。

 感染流行の発生中は、WHOによって作成された技術要綱にしたがって、飛来する蚊を殺すために殺虫剤の空中散布が実施されることがあります。技術的な記述がある場合には、比較的大きな貯水容器を処理するために(WHOの農薬評価事業計画が推奨する)適正な殺虫剤が幼虫の殺虫剤として使用されることもあります。

 危険性の高い地域を旅行する人々、特に妊娠中の女性では、防蚊対策への基本的な注意が払われるべきです。具体的には、防虫剤の使用、明るい色で長袖の上下衣服の着用、確実に蚊が部屋は入るのを防ぐための網戸の設置などがあります。

 WHOは、現在利用できる情報に基づく限り、ジカウイルスの感染が流行する地域への旅行や貿易への制限を推奨してはいません。

出典

WHO. Emergencies preparedness, response. Disease Outbreak News. 12 February 2016
Zika virus infection - United States of America
http://www.who.int/csr/don/12-february-2016-zika-usa/en/