2016年03月24日更新 ラッサ熱の発生について -トーゴおよびドイツ

 2016年3月23日付けで公表されたWHOの情報によりますと、1月25日(原文どおり記載)にトーゴの国際保健規則(IHR)国家担当者はラッサ熱の流行発生をWHOに通知しました。また、3月10日から16日の間にドイツの国際保健規則(IHR)国家担当者はラッサ熱患者2人をWHO/EURO(ヨーロッパ地域事務局)に通知しました。  

トーゴ
報告の詳細
1.患者の1人目は、47歳男性。トーゴ国籍を持たない、トーゴ北部のSavanes(サバナ)州Sansanné-Mango(サンサネ-マンゴ)で働いていた医療専門職でした。患者は、2月12日に下痢、嘔吐、発熱で発症し、マラリアの治療を受けました。2月26日に、彼はマラリアの診断を受け、治療のためにドイツのケルンに搬送されましたが、到着後数時間で死亡しました。彼には、発症前の21日間に渡航歴はありません。3月9日に、死後診断で、ドイツのハンブルクにあるBernhard Nocht研究所(BNI)でポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法検査および遺伝子配列の決定によりラッサ熱であったことが確認されました。

2.患者の2人目は、33歳男性。トーゴ国籍を持たない、上記の確定患者の治療を担当した医療専門職です。3月5日に、彼は上記患者と同様の徴候や症状を発症しました。3月9日に、彼はその病院で隔離されました。その後、彼は治療のためにアメリカ合衆国に搬送され、3月12日にアトランタに到着しました。発症前の21日間に渡航歴はありません。彼は、3月12日にアメリカ疾病対策センター(CDC)でのPCR法検査によってラッサ熱に陽性であることが判明しました。患者は米国の地に到着後に治療が行われています。現在、彼は隔離されており安定した状態です。

公衆衛生における取り組み
 
トーゴ保健省は、WHOおよびアメリカ疾病対策センター(CDC)の支援を受けて、集団感染の発生調査と感染への対策活動を行っています。行われる活動には、トーゴで感染の発生した医療施設で管理下に置かれていたときの患者の再調査も含まれます。地域社会のさまざまな組織レベルで活動員の動員やこの病気への啓発キャンペーンが行われています。また、接触者の追跡と経過の観察が行われています。2016年3月18日の時点で、トーゴで13人、ドイツで52人、米国で1人の接触者が観察下に置かれています。ラッサ熱に対するWHOとCDCのウェブページの情報が更新されており、CDCのウェブサイトは、フランス語でも翻訳されています。

WHOのリスク評価
 
2015年12月以降、トーゴと国境を接するベナンでは、ラッサ熱の流行が発生していました。さらに、この2国間では地元住民の国境を越えた盛んな往来があることが報告されています。そのため、ベナンからトーゴへの流行の広がりを阻止することは不可能となっています。

 遺伝子配列の予備分析情報では、トーゴで原因となったこのウイルスが、感染が常在するナイジェリアのラッサ熱とは関係しない新しい基本配列であることが示されています。さらに、遺伝子配列と疫学調査では、これらの知見の確認が行われています。WHOは、疫学上の発生状況を監視し、最新の情報に基づき、引き続きリスク評価を行っています。

ドイツ
報告の詳細
1.患者の1人目は、(先のトーゴのNo. 1で報告された)医療従事者です。2月25日にトーゴを出発し、熱帯熱マラリアからの合併症治療のためにドイツのケルンに運ばれてきました。しかし、2月26日に、患者は多臓器不全のために死亡しました。病理所見によって出血熱が疑われ、3月9日にドイツのハンブルクにあるBernhard Nocht研究所(BNI)によってラッサ熱であったことが確認されました。

2.患者の2人目は、3月2日に上記患者の遺体を取り扱った葬儀社の従業員です。彼は、手袋を着用していたことが報告されており、体液が付着したことの記憶はありません。上記患者の診断後の3月9日以降、彼は自宅で隔離下に置かれていました。彼は、遺体を扱ったときに、既に上部呼吸器の気道症状がありました。その後は、症状は徐々に治まってきました。3月10日に行われたラッサ熱に対する最初のPCR法検査では、陰性でした。(しかし、)症状が燻っていたため、再度、診断検査をしたところ、3月15日にPCR法検査で陽性と確認されました。(そのため、)患者はフランクフルトの特別隔離病室に搬送されました。彼には発症前の21日間の渡航歴はありません。彼の家族4人が、自発的に、同じ隔離病棟で隔離されることに同意しました。さらなる調査が行われています。

公衆衛生における取り組み
 
最初の患者からラッサ熱が検査室で確認された後、52人の接触者が確認され、現在、観察下に置かれています。すべての接触者は、医療関係者と葬儀関係の従業員のいずれかです。これらの接触者のうちの38人は、3月19日に、最大潜伏期間(21日)が過ぎています。2人目の患者の接触者も観察下に置かれています。

WHOのリスク評価
 
ラッサ熱は、すでに西アフリカからヨーロッパに入っています。しかし、ヨーロッパから報告された2人目の患者の感染は、初めてのことです。ドイツでさらなるラッサ熱の感染が伝播する可能性は低く、患者の治療に当たった医療施設に限定されると考えられていますが、接触者は全員が把握され、観察下に置かれています。WHOは、疫学上の発生状況を監視し、最新の情報に基づき、引き続きリスク評価を行っています。

WHOからのアドバイス
 
ドイツで発見された2人目の患者は、自分自身が推察した診断に関係なく、患者の治療の際には、どの国でも確実に標準的な感染の予防と制御の対策を行うことが必要であることを強調しています。これらには、基本的な手指の衛生管理、空気清浄管理、(飛沫や感染物質との他の接触機会を遮断するための)個人保護具の使用、安全な注射器具の取り扱いや安全な埋葬の慣行などがあります。

 WHOは、入手可能な情報に基づく限り、トーゴおよびドイツへの旅行や貿易のいずれも制限することを推奨していません。

FORTH 感染症情報:ラッサ熱

国立感染症研究所感染症情報センター:ラッサ熱

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 23 March 2016
Lassa Fever - Togo
http://www.who.int/csr/don/23-march-2016-lassa-fever-togo/en/

Lassa Fever - Germany
http://www.who.int/csr/don/23-march-2016-lassa-fever-germany/en/