2016年04月04日更新 小頭症の発生状況 -フランス領マルティニーク

 2016年4月1日付けで公表されたWHOの情報によりますと、2016年3月24日に、フランスの国際保健規則(IHR)国家担当者は、マルティニークで小頭症およびジカウイルスへの感染が同時にみられた胎児1例が診断されたことをPAHO/WHO(汎米保健機構/世界保健機構)に報告しました。

報告の詳細
 小頭症の診断は、3月10日に妊娠22週1日目に行われました。3 月17日には、胎児のサンプルがマルティニーク島フォール・ド・フランスのマルティニーク大学センター病院(the Centre Hospitalier Universitaire of Martinique)で採取されました。羊水と胎児血液の両方の検体から、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法検査によってジカウイルスへの感染に陽性と判明しました。3月22日には、国立リファレンスセンターのアルボ・ウイルス検査でジカウイルスへの感染が確認されました。

 胎児の母親は、12月7日に採血されており、血清学的検査でフラビウイルスおよびアルファウイルスに陽性であることが確認されました。1月7日に行われた2回目の検査では、フラビウイルスおよびチクングニアウイルスに対するIgG抗体とジカウイルスに対するIgM抗体が示されました。2月11日に行われた3回目の血清学的検査でも、再びフラビウイルスとチクングニアウイルスに対するIgG抗体の存在が確認されました。これらの検査は、母親がジカウイルスに感染していたことの証拠を示しています。医学的に妊娠中絶が母親に勧められました。

WHOのリスク評価
 
これは、マルティニークで小頭症胎児が確認された初めての症例です。この報告は、母親と胎児がジカウイルスに感染していたことが予期されたことを示す重要な記録です。ここで示された情報から、母親と胎児が感染した妊娠時期の推定が可能です。これは、最初に母親が感染した数か月後に、胎児がジカウイルスにPCR法検査で陽性を示し得ることを示しています。また、この報告は、妊娠初期でのジカウイルス感染が、小頭症のリスク増加と関連し得ることを支持する証拠も示しています。しかし、小頭症のような先天異常を起こす過程でのジカウイルスの役割を十分に理解し、あらゆる原因との関連性を確立させるためには、さらなる研究が必要とされます。WHOは、利用可能な最新の情報に基づいて、疫学的な発生状況を監視しリスク評価を行っています。

WHOからのアドバイス
 
人の居住地での媒介蚊が繁殖する地の近くは、ジカウイルス感染に対して大きな危険因子となります。感染の予防と制御は、感染源の削減(繁殖地の除去および環境改善)を通して媒介蚊の繁殖を減らすことと、媒介蚊と人との接触機会を減らすことに依存します。これらは、自然及び人工の貯水池での蚊の幼虫の生息地の数を減らし、リスクのある地域で蚊の成虫個体数も減らし、防虫剤、網戸、戸や窓の遮断、長袖の衣服の着用などの防御を行うことで、達成することができます。シマカ属(感染伝播において主となる媒介昆虫)は日中に活動するため、昼寝をしている人、特に幼児、病人および高齢者に対して保護のために殺虫剤で処理された蚊帳を使用すべきことが勧められています。蚊取り線香やその他の噴霧式殺虫剤も蚊に刺される可能性を減らすことができます。

 感染流行の発生中は、飛来する蚊を殺すために殺虫剤の空中散布がWHOによって作成された技術要綱にしたがって実施されることがあります。技術的に記載されている場合には、(WHOの農薬評価事業計画による推奨の)適正な殺虫剤が比較的大きな貯水容器を処理するための幼虫の殺虫剤として使用されることもあります。

 危険性の高い地域を旅行する人々、特に妊娠中の女性では、防蚊対策への基本的な注意が払われるべきです。これらには、明るい色の、長袖の上下衣服の着用、防虫剤の使用、確実に蚊が部屋は入るのを防ぐための網戸の設置などがあります。

 性交渉を通じてジカウイルスが感染伝播するリスクは極めて限られてくると考えられていますが、WHOは、基本原則に基づいて以下のことを勧めています。

・ジカウイルス感染症に罹患した患者とその性的パートナー(特に妊婦)は、ジカウイルスには性交渉による感染伝播するリスクが潜在していることから避妊対策やより安全な性交渉についての情報を入手しておくべきであり、可能ならばコンドームが準備されるべきです。ジカウイルスへの感染が懸念される無防備な性交渉を行った女性、妊娠を希望していない女性も、緊急避妊のための支援や相談を容易に利用できる環境を備えておくべきです。
・地元でのジカウイルスの感染伝播の発生が知られている地域に住んでいるか又は、そこから戻ってきた妊娠女性の性的パートナーは、妊娠期間中は性交渉において、より安全な性行為を行うか性行為を控える必要があります。
・ほとんどのジカウイルス感染者は無症状です。そのため、以下の注意が必要です。
・ジカウイルスの感染伝播の発生が知られている地域に住んでいる男女は、より安全な性行為を行うか性行為を控える必要があります。
・ジカウイルスの感染伝播の発生が知られている地域から戻ってきた男女は、少なくとも帰宅後4週間はより安全な性行為を行うか性行為を控える必要があります。

 ジカウイルスに関する考慮とは別に、WHOは、HIVや他の性感染症への感染、また望まない妊娠を防ぐために一貫して正しくコンドームを使うことを含めた、より安全な性行為の実践を進めています。

 WHOは、ジカウイルスを発見するためにルーチンで精液を検査することは推奨していません。

 WHOは、現在利用できる情報に基づく限り、ジカウイルスが流行する国への旅行と貿易への制限を推奨してはいません。

出典

WHO. Disease Outbreak News, Emergencies preparedness, response. 1 April 2016
Microcephaly - France - Martinique
http://www.who.int/csr/don/1-april-2016-microcephaly-france/en/