2016年06月15日更新 チクングニア熱の発生報告 -アメリカ合衆国

 2016年6月14日付けで公表されたWHOの情報によりますと、アメリカ合衆国の国際保健規則(IHR)国家担当者はテキサス州で初めてのチクングニア熱の国内感染患者が検査確認されたことをPAHO/WHOに報告しました。

報告の詳細
 患者はキャメロン郡の住民で、2015年11月に発症し、2016年1月にポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)検査によってチクングニア・ウイルスに陽性であることが判明しました。診断は、2016年5月に米国疾病対策センター(CDC)によって確認されました。

 テキサス州の住民でこれまでに報告されたチクングニア・ウイルスへの感染者と異なり、患者は最近になっての渡航歴がありませんでした。しかし、患者は6か月以上も前に感染が終わり、昆虫調査でも地元における蚊がチクングニア・ウイルスを保有していないことを確認しているため、現時点で、アメリカ合衆国での主な感染のリスクは、旅行関係に留まったままです。

公衆衛生における取り組み
 テキサス州でのチクングニア熱の地域伝播の確立を阻止するために、国務省保健サービス(DSHS)テキサス事務所は、CDCと協議の上で、時間と資財が許すものとして、テキサス州でチクングニア・ウイルスへの感染が判明したか疑われる人が発生したときに、次の行動を取ることを勧めています。
 ・媒介する昆虫の駆除・制御
 ・蚊の調査活動と検査
 ・感染への教育

WHOによるリスク評価
 これは、アメリカ合衆国でチクングニア・ウイルスの地域での感染伝播が報告された2度目のことです。初めてのチクングニア・ウイルスの地域伝播は、フロリダ州で2014年7月(12例)に報告されました。アメリカ合衆国におけるチクングニア・ウイルスの大規模な集団発生のリスクは低いと考えられています。それでも、アメリカ合衆国のさまざまな地域に媒介能力をもつ蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)が生息しており、入国者の中で時に患者が報告されることを考えれば、地域での感染伝播が確立される可能性を完全には排除できません。また、媒介能力をもつ蚊が生息する他の国に病気が感染拡大するリスクもあります。WHOは、入手できる最新の情報に基づいて、疫学的な発生状況と行動リスクの評価を継続的に監視しています。

WHOからのアドバイス
 人の居住地での媒介蚊が繁殖する地の近くは、デング熱に対して大きな危険因子となります。感染の予防と制御は、感染源の抑止(繁殖地の除去および環境改善)を通して媒介蚊の繁殖を減らすことと、媒介蚊と人との接触機会を減らすことに依存します。これらは、自然及び人工の貯水池で蚊の幼虫が生息できる場所の数を減らし、リスクのある地域で蚊の成虫個体数を減らし、防虫剤、網戸、戸や窓の遮断、長袖の衣服の着用など感染防御を行うことで、達成できます。シマカ属の蚊(感染伝播において主となる媒介昆虫)は日中に活動するため、昼寝をしている人、特に幼児と子ども、病人および高齢者には、保護のために防虫処理された蚊帳、また防虫処理されておらずとも、その中で休息することが勧められます。

 感染が流行している間、WHOによる蚊の退治として殺虫剤の噴霧を実施するかもしれません。適切な殺虫剤(WHO農薬評価案に推奨されている)が、技術的に導入可能であれば、幼虫駆除として大きめの水コンテナに使用することもできます。

 蚊に刺される危険性の高い地域に行く人は、予防のために基本的な次の注意事項を行って下さい。殺虫剤の使用、明るい色の服の着用、長袖のシャツと長ズボンの着用、蚊の侵入を確実に防ぐスクリーンのある部屋を使用して下さい。

 WHOは、現在利用できる情報に基づく限り、アメリカ合衆国への渡航にも貿易にも制限を加えることは推奨していません。

出典

WHO. Emergencies preparedness, response. Disease Outbreak News. 14 June 2016
Chikungunya - United States of America
http://www.who.int/csr/don/14-june-2016-chikungunya-usa/en/