2016年07月01日更新 ジカウイルス感染症の発生状況 (更新20)

 2016年6月30日付けでWHOより発表されたジカウイルス感染症(いわゆるジカ熱)の発生状況に関する報告です。ジカウイルス感染症の発生状況は以下のとおりです。

概要

6月29日現在、蚊の媒介によってジカウイルスの感染伝播が、合計61の国と地域で報告されています。蚊の媒介による感染伝播の内訳は以下のとおりです。
  ・47か国で、2015年以降に初めてジカウイルスの流行発生が発生しました。これらの国では、これ
   以前に流行が発生した証拠はなく、現在も蚊による感染伝播が続いています。
  ・14か国では、2007年から2014年までにジカウイルスの感染伝播が報告されました。これらの国
   では、現在も感染伝播が続いています。
4つの国と地域では、2007年から2014年までに流行の発生が報告されましたが、現在は終息しています。これらの国と地域は、クック諸島、フランス領ポリネシア、チリのイースター島、ミクロネシア連邦のヤップ島です。
10か国(アルゼンチン、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、イタリア、ニュージーランド、ペルー、ポルトガル、アメリカ合衆国)でジカウイルスの人から人への感染伝播が起きていた証拠が報告されています。感染経路は性交渉によるとみられています。
2016年6月29日までの週に、新しく蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播が報告された国はありません。
2016年6月29日までに、ジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、又は先天性の感染が示唆される小頭症やその他の中枢神経奇形が、13の国と地域(ブラジル、カーボヴェルデ、コロンビア、エルサルバドル、フランス領ギアナ、フランス領ポリネシア、マーシャル諸島、マルティニーク、パナマ、プエルトリコ、セルビア、スペイン、アメリカ合衆国)から報告されています。また、ジカウイルス感染症が発生しているラテン・アメリカに最近になって旅行したことのある母親から生まれた小頭症児が3つの国から報告されています。
6月16日までに、アメリカ疾病対策センターは、先天性障害のあった新生児4例とジカウイルスへの感染の可能性のある検査結果をもつ先天性障害による流産4例を報告しました。また、ハイチに住む母親が、アメリカ合衆国で小頭症児を出産しました。
2016年6月20日に、フランス領ギアナから、初めて、妊娠女性からのジカウイルス感染症が関係する先天性小頭症事例が報告されました。小頭症胎児は超音波検査によって診断されました。この羊水はPCR法検査でジカウイルスに陽性でした。
ジカウイルスの感染が発生している現状において、世界で14の国と地域(ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和国、エルサルバドル、フランス領ギアナ、フランス領ポリネシア、ホンジュラス、マルティニーク、スリナム、ベネズエラ、グアドループ、ハイチ、パナマ、プエルトリコ)で全国的にギラン・バレー症候群(GBS)の発生率の増加、および/またはGBS患者でのジカウイルス感染の検査確認が報告されています。
グアドループで、GBS患者1人でジカウイルスへの感染が診断され、この他に6人が調査されています。
これまでの調査に基づけば、ジカウイルスが小頭症やGBSの原因であるということで、学術的に意見が一致してきています。
カーボヴェルデでジカウイルスの流行を起こしたウイルスの遺伝子配列は、このウイルスはアジア系統に属し、ブラジルで流行しているウイルスと同じであるということが示されました。
国際保健規則(IHR 2005)に則り、小頭症やその他の神経障害患者、並びにジカウイルス感染症に関して、第3回の緊急委員会が事務局長によって招集され、2016年6月14日に開催されました。
2016年2月に、WHOによって開始された感染対策に対する世界戦略の基本骨格には調査活動、感染対策、研究が含まれています。この国際的な公衆衛生上の緊急事態に対処するためにWHOと国内外の加盟国や支援組織が共同で行っている主な活動のいくつかは、中間報告が公表されています。現在、2016年7月から2017年12月までの改訂された戦略が、6月17日に公表されました。
WHOは、ジカウイルスの発生状況の中でのさまざまな話題に関する新たな助言や情報を作成しています(http://www.who.int/csr/resources/publications/zika/en/)。企業を支援し、計画的なリスクの情報伝達、地域活動を支援するために、WHOは、最新の資料、ニュースおよび情報源を公表し、オンラインで入手できるようにしています(http://www.who.int/risk-communication/zika-virus/en/)。

リスク・アセスメント

 カーボヴェルデ共和国でのアジア系統(ウイルス)の存在の意味は未だ不明ですが、全体として、世界でのリスク評価に変更はありません。ジカウイルスは媒介能力をもつ蚊が生息する地域で、地図の上で拡がりを続けています。いくつかの国やその国の一部の地域では、ジカウイルス感染症の患者が減少する傾向が報告されていますが、警戒体制を強化しておくことが必要です。利用できる証拠に基づいて、現段階で、WHOは全体として流行が弱まる傾向にあるとはみていません。

出典

WHO. Situation Report, Emergencies. 30 June 2016
Zika virus, Microcephaly and Guillain-Barré syndrome
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/246155/1/zikasitrep30Jun16-eng.pdf?ua=1