2016年07月11日更新 黄熱の発生状況(更新10)

 2016年7月8日付けで、WHOより黄熱の発生状況が公表されています。ここでは、概要、リスク・アセスメント、感染対策を取り上げます。アンゴラ、コンゴ民主共和国、ウガンダ、その他の国での個別の発生状況も掲載されていますので、詳細は原文でお確かめください。

概要

アンゴラでは、7月1日現在、確定患者875人を含む疑い患者3,552人が報告されています。報告された死亡者数は355人となり、そのうち117人は確定患者から報告されました。疑い患者は18ある全ての州から報告され、確定患者は18州のうち16州で125地域のうちの80地域から報告されました。
集団予防接種キャンペーンは、ルアンダ州から始まり、現在では、感染が発生している他の地域のほとんどに拡大させています。最近は、このキャンペーンの焦点が国境地域に当てられています。ワクチン接種を拡大させる努力にもかかわらず、ウイルスの流行は続いています。
11の集団予防接種キャンペーンが、Benguela(ベンゲラ)、Huambo(ウアンボ)、Huila(ウイラ)、Kwanza Sul(クアンザ・ノルテ)、Kwanza Sul(クアンザ・スル)、Lunda Norte(ルンダ・ノルテ)、Uige(ウイジェ)の各州のいくつもの地域で、対策として、また、対策の先手を取って、続けられています。この他に6つの集団予防接種キャンペーンが完了間近となっています。(接種できなかった人の)掃討キャンペーンがCunene(クネネ)、Lunda Norte(ルンダ・ノルテ)、Uige(ウイジェ)、Zaire(ザイーレ)の各州の一部地域で実施されています。
コンゴ民主共和国(DRC)での疫学的な発生状況に関する情報の更新はありません。2016年6月24日現在、入手できている最新の情報によれば、確定診断患者68人と死亡者75人を含む疑い患者1,307人が報告されています。国内26州のうちの5州22衛生行政地域から報告されました。確定患者68人のうち、59人はアンゴラからの感染輸入患者で、2人は(流行とは関係のない)森林型黄熱患者、7人は国内感染患者でした。
調査活動への取り組みが強化され、DRCにおけるワクチン接種キャンペーンが感染の発生しているキンシャサとコンゴ中部州で集中して行われています。
ケニア(確定患者2人)、中国(確定患者11人)の2か国では、アンゴラから持ち込まれた黄熱の確定患者が報告されました。これは、予防接種を受けていない旅行者を介して国際的に拡散するリスクがあることを強く示唆しています。
現在、7か国(ブラジル、チャド、コロンビア、ガーナ、ギニア、ペルー、ウガンダ)では、アンゴラの流行と関係のない黄熱の流行や散発例が報告されています。
2016年5月19日に招集された緊急委員会(EC)からの助言に基づき、事務局長は、アンゴラとコンゴ民主共和国における都市型黄熱の流行が国を挙げて活動を結集し国際支援の強化を確保すべき公衆衛生上の深刻な事態であると判断しました。しかし、この事態は、現時点で国際的に脅威となる公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)には該当していません。
WHOの予防接種に関する専門家の戦略的諮問委員会(SAGE)が、標準用量の1/5の使用量でも12か月間以上にわたり感染から保護できることが示されていることの科学的根拠について検討を始めました。分割投与として知られるこの投与方法が、緊急時にワクチンの備蓄量が不足する可能性のある現況において、短期間の対策として検討されています。

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図1. 黄熱の確定診断患者の分布図[アンゴラ、コンゴ民主共和国]
※アンゴラが7月1日現在、DRCが6月28日現在

リスク・アセスメント

アンゴラの集団感染には次のような理由で大きな懸念があります。
  ・約1,500万人の人々がワクチン接種を受けているという事実があるにもかかわらず、各地での感
   染が続いています。
  ・地域内の感染はルアンダ州を含めて人口が密集する12州で報告されています。
  ・流行は、新たな州および新たな地域へ拡大しています。
  ・近隣諸国への拡大のリスクが高まっています。国境では、実質的に社会生活および経済活動が
   国境を越えており、自由に行き来できることから、さらなる感染伝播のリスクを排除できません。
   ウイルス血症となった旅行者は、地域感染を確立させるリスク、特に、たくさんの媒介する蚊が生
   息し、感染を受けやすい住民が住んでいる国ではそのリスクを保っています。
  ・国内感染患者が報告されていない他州でも、地域での感染伝播の確立へのリスクがあります。
  ・カビンダ(アンゴラの飛び地)のように感染が波及し難い地域でも感染が続いていることを疑わせ
   る高い指標が示されています。
コンゴ民主共和国(DRC)では、流行が既に3州に拡がっています。利用できるワクチンに限りがあり、キンシャサには大きなアンゴラ人の地域集団が、そして、アンゴラとDRCとの間は流動する人々が存在するとともに、媒介するシマカ属の蚊が生息し活動していることを考えると、特に流行が、カサイ、カサイ中央、ルアラバなどの他州に及ぶ可能性があります。
アンゴラやコンゴ民主共和国でのウイルスは大半が主要都市に集中しています。しかし、両国ではその他の地方への感染伝播と地域内での感染伝播に対するリスクがあります。また、このリスクは、国境を接する国々、特に、黄熱に対するリスクが低いと分類されている国々(ナミビア、ザンビア)において、そこには黄熱ワクチンを接種していない住民、旅行者や外国人労働者がいるために、拡大の可能性が高くなっています。
アフリカの一部の国(チャド、ガーナ、ギニア、コンゴ、ウガンダ)及び南米大陸の一部の国(ブラジル、コロンビア、ペルーなど)では、2016年になって黄熱の患者が報告されています。これらの発生事例はアンゴラの流行発生とは関係ありませんが、黄熱ワクチンの限られた備蓄に新たな歪みを生む可能性のあるこれらの国ではワクチンが必要です。

感染への対策

・黄熱に関する緊急委員会(EC)が、WHO事務局長によって招集され、国際保健規則(IHR 2005)に則り2016年5月19日に開催されました。緊急委員会(EC)からの助言に基づき、事務局長は、アンゴラとコンゴ民主共和国における都市型黄熱の流行が国を挙げて活動を結集し国際支援の強化を確保すべき公衆衛生上の深刻な事態であると判断しました。しかし、この事態は、現時点では国際的に脅威となる公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)には該当していません。
・現在の黄熱の流行に関する情報がWHOのウェブサイトで更新され続けています(http://www.who.int/features/qa/yellow-fever/en/)。
・WHOの予防接種に関する専門家の戦略的諮問委員会(Strategic Advisory Group of Experts: SAGE)は、標準用量の1/5の使用量でも12か月間以上にわたり感染から保護できることが示されていることの科学的根拠を検討し始めました。分割投与法として知られるこの投与方法が、ワクチンが不足する可能性のある現況においては緊急的な使い方として検討されています。
・2016年7月5日の時点で、ワクチン接種はアンゴラでは1,500万人に、コンゴ民主共和国では300万人(原文どおり記載)に、ウガンダでは約130万人に達しました。
・ICGを通じて緊急に対応できるワクチンの数は660万本となっています。すでに流行への対策に割り当てられたワクチンの本数は含まれていません。

出典

WHO. Situation Report, Emergencies. 8 July 2016
Situation Report; Yellow fever
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/246189/1/yellowsitrep-8Jul2016-eng.pdf?ua=1