2016年07月29日更新 ジカウイルス感染症の発生状況 (更新24)

 2016年7月28日付けでWHOより発表されたジカウイルス感染症(いわゆるジカ熱)の発生状況に関する報告です。ジカウイルス感染症の発生状況は以下のとおりです。

概要

2007年以降、2016年7月27日までに、合計67の国と地域で蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播の証拠が報告されています(2015年以降、合計64の国と地域で蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播の証拠が報告されています)。蚊の媒介による感染伝播の内訳は以下のとおりです。
  ・50の国と地域で、2015年以降に初めてジカウイルスの流行発生が発生しました。
  ・2016年に、国内感染の高い可能性、又は蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播の証拠が4か
   国(インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム)から報告されました。
  ・13の国と地域では、2015年までに局所での蚊の媒介によるジカウイルスの感染の証拠が報告
   されていました。しかし、これらの国では、2016年には感染伝播が報告されていないか、流行は
   終息しています。
ひとつの国とひとつの地域で、蚊の媒介によるジカウイルスの感染伝播が2016年7月27日の週に初めて報告されました。アンティグア・バーブーダとタークス・カイコス諸島(英国の海外領土)からです。
2016年2月以降、11の国でジカウイルスの人から人への感染伝播が起きていた証拠が報告されました。感染経路は性交渉によるとみられています。
最近、感染経路の調査を続けているジカウイルス感染症患者1人が、アメリカ合衆国ユタ州から報告されました。患者は、6月に死亡した患者の家族内接触者です。死亡した患者の血液検体からは、通常感染者から採取された検体でみつかるよりも10万倍も高い濃度のジカウイルスが見つかりました。感染経路に関する調査結果が待たれています。
アメリカ合衆国のフロリダ州で、現在、旅行歴のないジカウイルス感染症患者2人の調査が行われています。
2016年7月27日までに、ジカウイルス感染症と関係する可能性の高い、又は先天性の感染が示唆される小頭症やその他の中枢神経奇形が、14の国と地域(ブラジル、カーボヴェルデ、コロンビア、エルサルバドル、フランス領ギアナ、フランス領ポリネシア、マーシャル諸島、マルティニーク、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、セルビア、スペイン、アメリカ合衆国)から報告されています。新しく報告された国として、パラグアイから、検査で確認されたジカウイルス感染症患者が関係する小頭症2例が報告されました。また、WHOのアメリカ大陸事務局に14か国のうち3か国から、ジカウイルスの発生のない国で、しかし、最近になってジカウイルス感染症が発生している国への旅行歴のある母親から生まれた小頭症新生児が報告されています。
スペインでは、ジカウイルスの子宮内感染が関係する小頭症新生児が生まれました。この小頭症新生児は、5月の終わりに、第一報が報告されました。
2016年7月27日までに、アメリカ疾病対策センターから、先天性障害のあった新生児12例とジカウイルスへの感染の可能性のある検査結果をもつ先天性障害による流産6例が報告されました。
2016年7月27日までに、世界で15の国と地域 (ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和国、エルサルバドル、フランス領ギアナ、フランス領ポリネシア、ホンジュラス、ジャマイカ、マルティニーク、スリナム、ベネズエラ、グアドループ、ハイチ、パナマ、プエルトリコ)で、ギラン・バレー症候群(GBS)の発生率の増加、および/またはGBS患者でのジカウイルス感染の検査確認が報告されています。
これまでの調査に基づけば、ジカウイルスが小頭症やGBSの原因であるということで、学術的に意見が一致しています。
ギニア・ビサウでは、2016年6月29日に、ダカールのパスツール研究所(IPD)でのPCR法検査によって、12検体のうち3検体でジカウイルスに陽性であることが確認されました。新たな患者の追加検体からもジカウイルスが検査で陽性となりました。7月1日には、4本全ての検体が遺伝子配列を確定するためにIPDに送られました。現在、結果を待っているところです。また、22本の検体が追加採取され、検査のために送られました。こちらも、結果を待っているところです。ギニア・ビサウ政府は、この国のWHO事務局の支援を受けて、確認されたこれらの事態に取り組むために、強いリーダーシップを発揮しています。内閣総理大臣を議長、保健省大臣を副議長とするジカウイルス感染症の省庁間合同委員会が設立されました。また、保健省の感染対策を支援し、発生状況を徹底的に調査するために、ギニア・ビサウに向けた合同調査団がこの国に入りました。アメリカ疾病対策センター、ポルトガルの協力隊、IPD、ユニセフなどの支援組織により、技術・物資および財政の支援も行われています。
オリンピック期間中、メディアからの質問に答えるために、WHOの専門技術者の名簿を利用できるようになります。
2016年2月に、WHOによって開始された感染対策に対する世界戦略の基本骨格には調査活動、感染対策、研究が含まれています。この国際的な公衆衛生上の緊急事態に対処するためにWHOと国内外の加盟国や支援組織が共同で行っている主な活動のいくつかは、2016年5月27日に中間報告が公表されています。2016年7月から2017年12月までの改訂された戦略が、6月17日に公表されました。
WHOは、ジカウイルスの発生状況の中でのさまざまな話題に関する新たな助言や情報を作成しています(http://www.who.int/csr/resources/publications/zika/en/)。企業を支援し、計画的なリスクの情報伝達、地域活動を支援するために、WHOは、最新の資料、ニュースおよび情報源を公表し、オンラインで入手できるようにしています。(http://www.who.int/risk-communication/zika-virus/en/)。

リスク・アセスメント

 全体として、世界でのリスク評価に変更はありません。ジカウイルスは媒介能力をもつ蚊が生息する地域では、地図の上で拡がりを続けています。いくつかの国やその国の一部の地域では、ジカウイルス感染症の患者が減少する傾向が報告されていますが、警戒体制を強化しておくことが必要です。利用できる証拠に基づけば、現段階で、全体として流行は弱まる傾向にはありません。

出典

WHO. Situation Report, Emergencies. 28 July 2016
Zika virus, Microcephaly and Guillain-Barré syndrome
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/246261/1/zikasitrep28Jul2016-eng.pdf?ua=1