2016年08月04日更新 WHOからのオリンピックへの旅行者に向けた健康アドバイス(その1)

 WHOは、7月26日に、オリンピックへの旅行者に向けた健康アドバイスを掲載しました。旅行前のワクチン接種と蚊が媒介する感染症への注意の2本の柱で構成されています。今回は、そのうちの前半、ワクチン接種について掲載します。

 第31回夏期オリンピックと夏期パラリンピックが、2016年8月5日から21日までと、9月7日から18日まで、それぞれにリオデジャネイロで開催されます。また、オリンピック・サッカー競技が5つの都市(ベロオリゾンテ、ブラジリア、マナウス、サルヴァドール、サンパウロ)でも行われます。

 各国の健康保険当局および医療関係者がブラジルへの旅行者の健康と安全に対する対策およびその実践について情報を提供できるように、以下の推奨事項をアドバイスしています。

 出発前に、旅行者は、訪れようとする地域の健康リスクと、病気に罹り、事故に遭う機会を最小限に抑えるために(訪問地に)関係する予防対策およびその実践について助言を得ておく必要があります。

 ブラジルに向かう旅行者は、各国の保健当局から示された旅行への助言事項をみておいてください。

 ブラジル保健当局は、ウェブサイト上にポルトガル語でブラジルへの旅行者に向けた健康アドバイスの情報を提供しています。ブラジルの公共統一保健システム(Sistema Único de Saúde, SUS)に加盟している組織の保健サービスは、訪問者を含めたすべて人に無料となっています。

予防可能な病気へのワクチン

 医療相談が、旅行計画前のできるだけ早期、少なくとも4-8週間前の免疫応答が(身体に)備わるための余裕をもった時間で計画を立て、接種が定められたワクチンの予防接種と行き先に合わせて示された予防接種を受けておくべきです。出発が差し迫っていたとしても、アドバイスやいくつかのワクチンを接種しておく時間はあります。

接種が定められた予防接種ワクチン

 旅行者は、自国の予防接種計画に従ってワクチン接種を受けるべきです。それは、ひとつの国から新たな国へと計画が異なる場合も含めてのことです。各国の当局によって確立された定期予防接種計画には、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、はしか、B型肝炎、インフルエンザ菌b型に対するワクチンが含まれています。加えて、多くの国では、風疹、おたふく風邪(ムンプス)、インフルエンザ、黄熱、ヒトパピローマウイルス、ロタウイルス、肺炎球菌関連疾患へのワクチンなどが追加されています。

 2015年7月以降、ブラジルでは輸入感染者からの麻しんの集団感染の伝播を阻止できています。麻しんは現在もたくさんの国に常在し、また、感染伝播しています。ブラジルへの感染輸入を防ぐために、現在も麻しんの予防接種は必須です。風しんも、ブラジルでは2009年以降は根絶されており、同様の考え方が適用されています。

 野生型ポリオウイルスは、1989年以降、ブラジルからは根絶されています。ブラジルにポリオが再び持ち込まれることを防ぐために、最近になってポリオ患者が発生した国からの旅行者には、十分に免疫が備えられている必要があります。

 インフルエンザで重篤な合併症をともなう危険のある旅行者には、ワクチン接種が検討されるべきです。WHOは、妊娠女性、高齢者、特定の慢性疾患を持つ人、6-59か月の子ども、医療従事者に対して季節性インフルエンザを予防接種することを勧めています。WHOが妊娠女性にはオリンピック開催地およびジカウイルスが感染伝播している如何なる地域にも旅行もしないようにアドバイスしていることには注意を払ってください。現在、ブラジルで伝播しているウイルス株はインフルエンザA(H1N1)pdm09で、このウイルス株は北半球2015-2016と南半球2016のワクチンに含まれています。リオデジャネイロでは、インフルエンザ・シーズンは6月と7月にピークに達し、その後に、オリンピックとパラリンピックが開催されるとみられています。しかし、流行には地域差があり、患者は、ブラジルでも年間を通じて発生しています。リスクのある旅行者は、理想を言えば、少なくとも出発の2週間前にインフルエンザワクチンを受ける必要があります。

旅行に関連するワクチン

 特殊な旅行日程を組む旅行者については、追加のワクチン接種の検討が必要かもしれません。ワクチンを接種していない旅行者は、その国の勧告に従ってワクチン接種を求められることがあります。
A型肝炎:ブラジルは中等度の流行国で、A型肝炎の集団発生を起こしやすい国です。
B型肝炎:タトゥー(刺青)を入れたり、注射薬物を使用したりするような危険な行動を取らない限り、旅行者には、B型肝炎の危険性は低いようです。ブラジルでも、1998年にB型肝炎ワクチンが国家の予防接種計画に導入されました。
腸チフス:ブラジルでの腸チフスの発生率は、オリンピック・サッカー大会が開催されるアマゾンのマナウスを含む北部および北東部で最も高くなっています。
狂犬病:オリンピック・サッカー大会が開催されるリオデジャネイロとその他の5都市では、狂犬病の感染リスクはほとんどありません。
黄熱:黄熱感染のリスクのある地域を訪れる生後9か月以上のすべての旅行者には、単回の黄熱ワクチンの生涯適応量を接種することが勧告されています。ワクチン接種は、少なくとも出発の10日前に行われるべきです。ワクチンは生涯に亘り感染を防いでくれます。2016年5月19日に国際保健規則(2005)の下で召集された、黄熱に対する緊急委員会の勧告を踏まえて、ブラジルの保健当局は、現在、黄熱が流行しているアンゴラとコンゴ民主共和国から来る旅行者には黄熱予防接種の証明書を要求しています。

出典

WHO. International travel and health. 26 July 2016
Brazil - Health Advice for Travellers to the 2016 Summer Olympic and Paralympic Games
http://www.who.int/ith/updates/20160621/en/