2016年08月18日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況(更新10)

 2016年8月17日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は、2016年8月11日に、新たに死亡者1人を含む鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染者5人が検査で確認されたことをWHOに報告しました。

報告の概要
 
2016年6月24日から7月29日までの報告です。5人のうち3人が男性でした。患者の年齢幅は、13歳から79歳までで、中央値は68歳でした(これまでに報告された患者の年齢幅は、0歳から91歳までで、中央値は58歳です)。

 患者5人のうち、2人は生きた家禽類と接触する、又はその家禽の解体処理と関わっていました。患者3人からは、家禽との接触は報告されませんでした。患者は2省(福建省、河北省)と特別行政区(北京)から報告されました。福建省と河北省からの患者は家族内で報告されています。調査が続けられており、現段階では、人から人への感染は排除できません。しかし、これまでのところ、新たな感染伝播の報告はありません。

 2013年以降、IHRを通して、鳥インフルエンザA(H7N9)の確定診断患者798人が報告されています。

公衆衛生上の取り組み
 
中国政府は以下のサーベイランスと感染制御対策をとっています。

1. 発生サーベイランスおよび発生状況の分析の強化
2. 治療における医学的な全ての努力の強化
3. 住民とのリスク情報の交換と情報の普及の実施

WHOのリスク評価
 人におけるほとんどの患者は、感染した家禽との接触またはウイルスに汚染された環境との接触を通して鳥インフルエンザA(H7N9)に感染しています。このウイルスが動物や環境中で検出され続けているため、さらに人での患者が発生することは予想されます。医療従事者が関係する感染も含めて、これまでにも人への感染の小さな集団発生は報告されてきましたが、現在の疫学的・ウイルス学的な根拠からは、このウイルスが人と人との間で感染伝播を維持し続ける能力は獲得していないことが示唆されています。それ故に、地域レベルで感染が拡がるとは考えられていません。

 このA(H7N9)ウイルスの人での感染は稀ですが、公衆衛生上に深刻な影響を与える可能性があるものとして、このウイルスおよび/または人への感染率の挙動の変化は検出しておく必要があり、厳密に監視することが必要です。

WHOからのアドバイス
 
WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、養鶏場への立ち入り、生きた家禽類をさばく市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物品との接触を避けることを勧めています。渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣の維持に努めるべきです。

 WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨してはいません。鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航中又は帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザウイルスへの感染を鑑別診断として考えておくべきです。

 WHOは、国際保健規則(2005)に基づき、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、慎重に通常と異なる傾向がみられた症例については検討を重ねることを各国に促しています。さらに、国民の健康に備える活動を続けていくことを求めています。

 中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には検疫所に相談してください。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 17 August 2016
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus - China
http://www.who.int/csr/don/07-august-2016-ah7n9-china/en/