2016年11月18日更新 世界の麻しんへの取り組み

 CDC、GAVI、UNICEF、WHOの合同で、この15年間の麻しんへの取り組みの取り組みと現状についての記事が掲載されていますので、ご紹介致します。

※ CDC:米国疾病センター、GAVI:ワクチンと予防接種のための世界同盟、UNICEF:国連児童基金、WHO:世界保健機関

 「2000年から2015年にかけて、麻しんの死亡者は世界で79%も低下したにもかかわらず、未だに、1日に400人もの子どもがこの病気で亡くなっています。」と、人々の健康を牽引するこれらの組織が、現在、公表されている報告の中で述べています。

 「麻しんの歴史を作ることは、不可能ではありません。」「私たちは、対策のための手段も知識も持ち合わせています。欠けていることは、どんなに困難な道であっても、ひとりひとりの子どもたちにその対策を届けるという政治的な意志です。これが約束されなければ、子どもたちは安価に簡単に予防できるこの病気で亡くなり続けるでしょう。」と、UNICEFの予防接種の主席担当官Robin Nandy氏は述べています。

 CDC、GAVI、UNICEF、WHOによれば、世界での麻しんワクチンの集団接種キャンペーンと麻しんの定期予防接種率の増加により、2000年から2015年までの間に、推定で2,030万人の子どもの命が救われました。

 しかし、進展は不均一なものでした。2015年には、約2,000万人の幼児が麻しんの予防接種の機会を逃し、推定で134,000人の子どもがこの病気で死亡しています。コンゴ民主共和国、エチオピア、インド、インドネシア、ナイジェリア、パキスタンでは、半数の乳児がワクチンを接種しておらず、麻しんの死亡率が75%に上っています。

 WHOの予防接種、ワクチン、生物製剤の担当局長Jean-Marie Okwo-Bele博士は、次のように述べています。「何百万人もの子供たちがワクチン接種の機会を逃すことは許されません。我々には、麻しんの拡散を防ぎ、命を救うことのできる、安全で効果の高いワクチンがあります。今年、アメリカ大陸では、麻しんの終息が宣言されました。これは、撲滅が可能であることを証明しています。我々は、世界の残る地域でも、麻しんを阻止しなければなりません。それは、ワクチン接種とともに始まります。」

 「麻しんは、その国の予防接種体制の強さを示す重要な指標であり、しばしば炭坑で警告を告げたカナリアのように、その流行がより深刻な問題を警告する最初のものとなります。」「世界で最も悲惨で予防接種が可能な小児死亡の原因の1つに取り組むために、定期予防接種の接種率を上げ、調査体制を強化することへ、国や支援組織が強い意志で示す約束が我々にとって必要です。」とGAVIの事務局長Seth Berkley氏は述べました。

 麻しんは、直接の接触や空気中への拡散を介して、高率に伝播するウイルス性疾患であり、世界の幼児における主要な死因の1つです。 安全かつ有効なワクチンを2回投与することで予防が可能です。

 多くの国で定期予防接種や集団予防接種キャンペーンの中で生じる(未接種者)とのギャップが原因で発生する麻しんの流行は、現在も深刻な課題です。2015年には、エジプト、エチオピア、ドイツ、キルギスタン、モンゴルで、大規模な流行が報告されました。ドイツとモンゴルでの流行は、さらに高い年齢層でも感染が発生し、麻しんの予防接種を受けていない青少年や成人にも、予ワクチンを接種する必要があることを強く示しました。

 麻しんは、すべての子供に予防接種を行うべき課題のために、紛争や人道上の緊急事態が発生している国では、流行する傾向があります。昨年は、ナイジェリア、ソマリア、南スーダンで、流行が報告されました。

 麻しんの撲滅は、WHO地域事務局のある6地域のうちの4地域で、世界ワクチン行動計画の実施の中心に置かれた世界の目標となっています。「世界は、まだ、この目標を達成していません。しかし、アメリカ大陸で示されたように、麻しんの撲滅は達成することができます。」とCDC世界保健センターRebecca Martin博士は述べています。「アフリカの諺に『子供を育てるには村が必要だ』とあるように、子供たちを麻しんから守るためには、同じように取り組む地域や世界中の村が必要です。我々は、麻しんを撲滅することができます。そのために、全ての人々に役目があります。まだ、すべての子どもに(ワクチンが)届いておらず、現在もギャップが存在するために、2015年には WHOの各地域における麻しん撲滅の目標は達成されていませんでした。我々は、全てのギャップを埋めるとともに、十分な人的資源と財源を確保し、全ての子どもに(ワクチンを)届けて接種し、全ての麻しん患者を発見し対応することにより感染を拡大させない責任への強い意志が必要となります。これらの努力があれば、すべての子供を(麻しんから)防ぎ、結果として、彼らを次世代のリーダーにすることができます。このことで、全ての国が、この病気が発生した場所で脅威を食い止め、世界における健康への脅威から世界を守る強力なセーフティネットを持つことが確かなものとなります。」とも、Rebecca Martin博士は述べています。

現在の取り組み

 2012年に世界保健総会で採択された世界ワクチン行動計画は、2015年までに4地域で麻しんを撲滅するという目標を掲げています。予防接種率のギャップを埋めることができなければ、この目標を達成できません。

 2000年以降、約18億の子どもたちに、集団での麻しんワクチン接種キャンペーンを通して麻しんワクチンの接種を行いました。この支援には、UNICEF、2001年にアメリカ財団法人アメリカ赤十字社とともに創設された麻しん・風疹イニシアチブの基金、国連基金、米国疾病対策センター(CDC)、およびWHOが参加しています。

 GAVIワクチン同盟は、100万人以上の命を救うであろう包括的な対策で麻しんに取り組む開発途上国に対し、2016-2020年に10億米ドルに近い資金の拠出を計画しています。

参考

WHO. Joint news release CDC/GAVI/UNICEF/WHO, Media centre. 10 November 2016
Measles jab saves over 20 million young lives in 15 years, but hundreds of children still die of the disease every day
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2016/measles-children-death/en/