2016年12月22日更新 ジフテリアへの注意喚起-アメリカ大陸

2016年12月16日付で汎米保健機関(PAHO)より、アメリカ大陸でのジフテリア発生に関する情報が発表されました。

アメリカ大陸でのジフテリアの発生状況

  • 2015年に5か国でジフテリアの発生が報告されました。発生国は、ブラジル(12例)、カナダ(3例)、グアテマラ(1例)、ハイチ(32例)、ドミニカ共和国(1例)でした。
  • 2016年第1週から第47週までに、アメリカ大陸3か国からジフテリア患者が報告されました。ドミニカ共和国、ハイチ、ベネズエラからでした。

ドミニカ共和国では、第43週に、サント・ドミンゴに住む3歳に満たない子ども2人がジフテリアを発症しました。このうちの1人は死亡しました。患者2人の検体からは、ジフテリア菌(C. diptheriae)に一致するグラム陽性桿菌が分離されました。その後、患者は発生していません。死亡した患者のワクチン接種状況は不明です。もう1人の患者はワクチンを1回接種していました。

ハイチでは、2016年第48週までに、死亡者16人を含め、合計で76人のジフテリア疑い患者が報告されました。このうち、患者72人から検体が採取され、結果33人からジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae)の陽性反応が出ました。

患者は、10ある行政区画(県)すべてから報告されました。しかし、ほとんどの患者はハイチ中北部Artibonite(アルティボニット)県に集中していました。

患者の特徴について、致死率は38%、5歳から10歳の子どもで、男女差はありませんでした。患者の66%は、ワクチンを接種したことを確認できないか、接種していない状態でした。

ベネズエラでは、2016年9月から11月24日までに、ジフテリアが疑われるか、感染の可能性が高い患者が報告されました。

"Rafael Rangel"国立衛生研究所で取り扱われた検体183本のうち、20人で陽性の反応が出ました(トキシン産生C.phyphidaeの分離またはPCR法検査による)。陽性患者20人は、6つの州から報告されました。最も多かったのはBolivar(ボリバル)州(60%)、次いでMonagas(モナガス)州(20%)でした。

確定診断された患者のうち、5人は死亡しました(ボリバル州3人、モナガス州2人)。

各国の保健当局へのアドバイス

PAHO / WHOは、各加盟国に対し、自分たちが管轄する国内において適正な水準に達するための戦略を展開しながら、ワクチン接種率を確実に高く維持するための取り組みを続けていくように促進しています。

また、PAHO / WHOは、接触者を含め、適時に治療を開始し、ジフテリア抗毒素を確実に行うために、疑い患者を早期に発見するための調査体制を強化することも促進しています。

出典

PAHO. Epidemiological. Diphtheria. 16 December 2016
Diphtheria in the Americas - Summary of the situation
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=37504&lang=en[PDF形式:95KB]