2017年01月20日更新 アメリカ大陸の黄熱の発生状況

2017年1月18日付で汎米保健機関(PAHO)より、アメリカ大陸での黄熱の発生状況に関する情報が発表されました。

アメリカ大陸での黄熱の発生状況

2016年に、ブラジル、コロンビア、ペルーから黄熱の確定患者が報告されました。2017年に、ブラジルから、Minas Gerais(ミナスジェライス)州での感染の流行発生と隣接するEspírito Santo(エスピリトサント)州での家畜動物での感染流行が報告されました。

ブラジルでは、2015年に、3州から森林型黄熱9人が確認されました。Goias(ゴイアス)州(6人)、Pará(パラー)州(2人)、およびMato Grosso del Sur(マットグロッソ・ド・スール)州(1人)の3州からです。2016年には、ゴイアス州(3人)、São Paulo(サンパウロ)州(2人)、Amazonas(アマゾナス)州(1人)で患者が確認されました。

2017年の第1週から1月18日までに、ブラジル・ミナスジェライス州で206人の黄熱疑い患者と感染の可能性の高い患者が報告されました。ここには、死亡者53人が含まれます。感染の可能性の高い患者53人のうち、22人が死亡しました(死亡率は41.5%)。患者は29の行政地区から報告され、人以外のサル目での流行の発生も22の行政地区から報告されました。情報を入手できた感染の可能性の高い患者37人では、35人(94.5%)が男性で、平均年齢は46歳でした。

また、黄熱のリスク地域外にあると思われていたエスピリトサント州で、黄熱疑い患者4人が報告されました。同じく、人以外のサル目での流行の発生が14の行政地区から報告されました。

コロンビアでは、2017年第1週に、黄熱の疑い患者および確定患者は報告されませんでした。(しかし)2016年には、第52週までに、森林型黄熱12人が報告されました。このうち、7人が検査確定され、5人が感染の可能性が高いと判定されました。患者の多くは、Vichada(ビチャダ)県(3人)、Meta(メタ)県(2人)、Vaupés(バウペス)県(2人)で発生しました。

ペルーでは、2016年第52週までに、森林型黄熱79人が報告されました。このうち、62人が検査で確定され、17人が感染の可能性が高いと分類されました。24人が死亡しています。2016年では、Junín(フニン)県での報告が最も多く(51人)、次いで、Ayacucho (アヤクチョ)県(7人)、San Martin(サン・マルティン)県(5人)でした。

各国の保健当局へのアドバイス

PAHO / WHOは、アメリカ大陸各国における黄熱の確定患者の増加と黄熱の動物での感染発生の増加を注視し、いくつものアルボ・ウイルスによる感染流行が発生する状況においては、加盟各国が黄熱患者の発見、確認、管理を継続することを勧めています。この目的のために、保健衛生の従事者に対し、特に、これまでにウイルスの伝播が確認された地域では、患者を発見・治療できるように、最新の情報を維持し、訓練する必要があります。

PAHO / WHOは、加盟国に対し、黄熱ワクチンの接種が義務付けられている地域に向かう旅行者に対し、適切な情報を提供し、ワクチン接種のために必要な措置を取ることを促しています。

PAHO / WHOは、黄熱の発生が続く国に対し旅行や貿易に関して制限することを勧めてはいません。

2017年1月9日に発行された黄熱への疫学警報および2015年12月にも発行された警報における勧告は、現在も有効です。

出典

PAHO.Epidemiological Update. 18 January 2017
Yellow Fever
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=37709&lang=en