2017年01月31日更新 アメリカ大陸の黄熱の発生状況(更新)

 2017年1月26日付で汎米保健機関(PAHO)より、アメリカ大陸での黄熱の発生状況に関する情報が更新されました。ブラジルでは、これまで感染リスクの地域から外れていた地域でも黄熱患者が報告されています。昨日、掲載した「黄熱の発生報告 - ブラジル(更新)」と合わせてご覧ください。

アメリカ大陸での黄熱の発生状況

 2016年に、ブラジル、コロンビア、ペルーから黄熱の確定患者が報告されました。2017年に、ブラジルから、黄熱の確定患者と疑い患者が報告されました。一方、ペルーとコロンビアからは、感染の可能性の高い患者が報告されました。

 ブラジルでは、2015年に、3州から黄熱9人が確認されました。Goiás(ゴイアス)州(6人)、Pará(パラー)州(2人)、およびMato Grosso do Sul(マットグロッソ・ド・スール)州(1人)からです。死亡率は55%でした。2016年には、ゴイアス州(3人)、São Paulo(サンパウロ)州(2人)、Amazonas(アマゾナス)州(1人)から7人の患者が確認されました。死亡率は71%でした。

 2017年第1週から1月26日までに、黄熱患者550人(確定患者72人、棄却23人、疑い患者としての調査中患者455人)が報告されました。このうち、105人が死亡者として報告(確定患者から40人、調査中の患者から65人)されました。確定患者における死亡率は55%、調査中の疑い患者における死亡率は14%と報告されました。

 疑い患者と確定患者の感染した可能性の高い地域が、6州に分布していました(バイーア、エスピリト・サント、ゴイアス、マットグロッソ・ド・スール、ミナス・ジェライス、サンパウロの各州)。死亡した確定患者との関係では、37人がミナス・ジェライス州で、3人がサンパウロ州での発生でした。

 また、人以外のサル目での集団感染の発生268件が報告されました。加えて、死亡例が777個体、うち7個体(サンパウロ州で3個体、エスピリト・サント州で4個体)で黄熱の陽性と判明したことが報告されました。

 この発生状況に対して、連邦、州、および地方行政レベルの公衆衛生当局は、ミナス・ジェライス州、エスピリト・サント州、サンパウロ州、バイーア州、レオ・デ・ジャネイロ州に住む530万人へのワクチンの分配を含め、さまざまな活動を実施してきました。

 現段階で、集団感染の発生における伝播にネッタイシマカが関与している証拠はありません。しかし、都市の再開発による潜在的なリスクを排除することができません。

 人々が国内を自由に移動し感染したサルもいること、これまでは黄熱の伝播のリスクがないと考えられていた地域ではワクチン接種率が低いことなどから、新たな患者がブラジルの他州でも発見されることは想定されます。

 コロンビアでは、2017年第2週に、感染の可能性の高い患者(20歳男性)が報告されました。感染した可能性の高い地域は、Meta(メタ)県でした。この県からは、2016年に2人の患者が報告されました。

 ペルーでは、2016年第52週までに、感染の可能性の高い患者と確定患者を会わせて79人の黄熱患者が報告されました。このうち、24人が死亡しています。患者の死亡率は30%でした。2017年第2週に、感染の可能性の高い患者がCusco(クスコ)県から報告されました。この県からは、2016年に2人の患者が報告されました。

勧告

 ブラジルにおける現在の大規模な黄熱の発生と急増は、2013年以降に黄熱のリスクがあると考えられていた地域を越えています。これは、国内の予防接種の政策と旅行者への勧告の両方に周知させるために、リスク評価を再検討する必要があることを示しています。

 WHO事務局は、ブラジル保健省から汎米保健機関/世界保健機関(PAHO / WHO)地域事務所に提供された情報に基づき、ブラジルにおける黄熱に対する感染リスク地域を改訂し、バイーア州とエスピリト・サント州の健康保健管轄地が黄熱の感染伝播のリスク地域にあたるとの変更を付け加えました。

 これらの黄熱伝播のリスクがあると考えられた新しい地域の判断は、(人々の)移動に伴うリスクの評価過程を経ての予備的かつ予防的な第一段階のものです。WHO事務局、ブラジル保健省、および地図における黄熱リスクマッピング(GRYF)を作成する科学技術諮問グループは、今後数週間にわたり引き続き合同で検討することとしています。

 現在、進められているリスク評価作業で作成されたものは、これまでと同様に、PAHO / WHOおよびWHOのウェブサイトで掲載されることになっています。

WHO事務局は、入手できた情報に基づく限り、現在、ブラジルへの旅行および貿易の制限を推奨してはいません。

 PAHO / WHOは、加盟国に対し、ブラジルにおいて黄熱の感染伝播のリスクのある地域を訪れる旅行者に、次のことをアドバイスしています。

旅行者は、少なくとも10日前に黄熱の予防接種を受けること
蚊刺しを避ける対策をよくみておくこと
黄熱の自他覚症状に注意を払うこと
黄熱が伝播する地域の旅行中および帰宅後、特に、黄熱を媒介できる蚊が国内に生息する国に帰国した後にも、素早く医療施設を受診できるようにしておくこと

出典

PAHO. Epidemiological Update. 26 January 2017
Yellow Fever
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=37778&lang=en