2017年02月13日更新 アメリカ大陸の黄熱の発生状況(更新3)

 2017年2月9日付で汎米保健機関(PAHO)より、アメリカ大陸での黄熱の発生状況に関する情報が更新されました。

アメリカ大陸での黄熱の発生状況

 2017年2月8日現在、ブラジルで、黄熱患者が確認されています。また、ペルーとコロンビアからは、感染の可能性の高い患者1人と3人が、それぞれに報告されました。

 ブラジルでは、2016年12月1日から2017年2月8日までに、黄熱患者1,060人(確定患者215人、棄却80人、疑い患者としての調査中の患者765人)が報告されました。このうち、166人が死亡者(確定患者から70人、棄却された患者から3人、調査中の患者から93人)として報告されました。患者全体における死亡率は、確定患者で33%、調査中の疑い患者で12%でした。

 疑い患者と確定患者が感染した可能性の高い地域は5州となっています。バイーア州(9人)、エスピリト・サント州(109人)、ミナス・ジェライス州(847人)、サンパウロ州(9人)、トカンティンス州(4人)でした。

 確定診断された患者は、エスピリト・サント州(20人)、ミナス・ジェライス州(191人)、サンパウロ州(4人)の3州に分布していました。確定診断された患者のうち、69%が21歳から60歳までの男性でした。

 確定診断された死亡者については、ミナス・ジェライス州(61人)、サンパウロ州(3人)、エスピリト・サント州(6人)の3州から発生していました。疑い患者と確定患者の死亡率は、高い順に、サンパウロ州で33%、ミナス・ジェライス州で7%、エスピリト・サント州で6%でした。

 また、人以外のサル目において、動物での集団感染の発生531件が報告されました。サル1,408個体が死亡していました。これまでに、このうちの298個体で黄熱への感染が確認されました。

 人以外のサル目における動物の集団感染は、Alagoas州(アラゴアス)バイーア州、ゴイアス州、エスピリト・サント州、マットグロッソ・ド・スール州、ミナス・ジェライス州、Pará州(パラー)、Paraná州(パラナ)、Pernambuco州(ペルナンブーコ)、リオグランデ・ド・ノルテ州、Grande do Sul州(リオグランデ・ド・スール)、ロライマ州、Santa Catarina州(サンタ・カタリーナ)、サンパウロ州、Sergipe州(セルジッペ)、トカンティンス州と連邦直轄地区から報告されています。ブラジル以外のアメリカ大陸の国や地域から、現在の流行の発生に関連した黄熱患者は報告されていませんが、現在調査中の動物での流行発生は、ブラジルと国境を接する州である、ロライマ州(ベネズエラと国境を接する)、 パラー州(スリナムとガイアナと国境を接する)、マットグロッソ・ド・スール州(ボリビアとパラグアイと国境を接する)、サンタ・カタリーナ州(アルゼンチンと国境を接する)、リオグランデ・ド・スル州(ウルグアイとアルゼンチンと国境を接する)、パラナ州(アルゼンチンとパラグアイと国境を接する)で報告されており、国境を接する国々、特に共通の生態系をもっている地域に、ウイルスが拡がるリスクのあることが示されています。

 このような発生状況に対応して、連邦、州、市町村の各公衆衛生を担当する規制当局は、さまざまな活動を実施しています。ミナス・ジェライス州、エスピリト・サント州、サンパウロ州、バイーア州、リオ・デ・ジャネイロ州へは990万本のワクチンが配布されました。

 現段階で、集団感染の発生における伝播にネッタイシマカが関与している証拠はありません。しかし、現在の黄熱の発生における感染伝播のサイクルが変化する可能性は残されています。

各国の保健当局へのアドバイス

 PAHO / WHOは、アメリカ大陸各国における黄熱の確定患者の増加と黄熱の動物での感染発生の増加を注視し、いくつものアルボ・ウイルスによる感染流行が発生する状況においては、加盟各国が黄熱患者の発見、確認、管理を継続することを勧めています。この目的のために、保健衛生の従事者は、特に、これまでにウイルスの伝播が確認された地域の従事者は、患者を発見・治療できるように、最新の情報を維持し、訓練することが勧められます。

 黄熱への最も有効な予防対策はワクチン接種です。ワクチンの予防接種の対策は、小児期の定期予防接種や感染リスクのある地域でのワクチン接種率を高めるための唯一の手段である集団接種キャンペーンを通じて、また感染リスクのある地域へ向かう渡航者へのワクチン接種を通じて、行うことができます。

 黄熱ワクチンは安全で価格も高くなく、ワクチン接種10日後には80〜100%、30日後には99%の人に黄熱に対して効果を発揮する免疫力を身につけます。この免疫力は単回投与で十分であり、改めて増強のための接種をすることなく、生涯にわたり免疫力を保持します。重度の副作用が発生することは極めて稀です。

 入手できるワクチン量には限りがあるため、各国の担当当局は、ワクチンの配布に重点を置いて、感染リスクのある地域での黄熱ワクチン接種を実施することに慎重な評価を行うことが勧められます。また、感染の流行が発生する可能性に対処するために、国がワクチンの在庫量を管理することが勧められます。

 PAHO / WHOは、黄熱の発生が続く国に対し旅行や貿易に関して制限することを勧めてはいません。

出典

PAHO. Epidemiological Update. 9 February 2017
Yellow Fever
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_topics&view=article&id=69&Itemid=40784&lang=en
(下記のファイルをダウンロードしてください)
9 February 2017: Yellow Fever - Epidemiological Update