2017年02月20日更新 アメリカ大陸の黄熱の発生状況(更新4)

 2017年2月16日付で汎米保健機関(PAHO)より、アメリカ大陸での黄熱の発生状況に関する情報が更新されました。

アメリカ大陸での黄熱の発生状況

 2017年第1週から第5週までに、ブラジル、ペルー、コロンビア、ボリビアで黄熱患者が報告されています。コロンビアとペルーからは、感染の可能性の高い患者1人と3人が、それぞれに報告されました。ボリビアでも患者1人が調査中と報告されました。一方、ブラジルでは、確定患者と疑い患者の調査が続けられています。

 ブラジルとボリビアでの発生状況は、次のようになっています。

ボリビア保健省からは、ELISA法検査で黄熱IgMに陽性の患者が報告されました。患者は、28歳男性の旅行者で、2017年1月8日から9日にかけてボリビアの(ラパス県)Caranavi(カラナビ)行政区に行きました。そこで感染したようです。1月28日に、患者は、症状発現のために地域にある病院を受診し、その後、チリにある民間の診療所に搬送され、2月13日に、彼は退院しました。この患者は、感染の可能性のある間に、ボリビア国外に出ていたことになります。
 ボリビアには、黄熱が常在しています。2012年までは、さまざまな規模の流行が繰り返し発生していました。2013年以降は、数例の散発的な報告があるだけでした。

 ブラジルでも、黄熱は常在しています。さまざまな規模の流行が繰り返し発生していました。今回の流行での確定患者数は、過去数十年間にみられた患者数を上回っています。
 ブラジルでは、2016年12月1日から2017年2月15日までに、黄熱患者1,236人(確定患者243人、破棄108人、疑い患者および調査中の患者885人)が報告されました。このうち、197人(確定患者82人、破棄3人、調査中112人)が死亡していました。死亡率(CFR)は、確定患者で34%、疑い患者で13%でした。
 疑い患者と確定患者が感染した可能性の高い地域は6州となっています。バイーア州(12人)、エスピリト・サント州(130人)、ミナス・ジェライス州(967人)、リオ・グランテ・ノルテ州(1人)、サンパウロ州(10人)、トカンティンス州(3人)からでした。一方、確定診断された患者は、エスピリト・サント州(31人)、ミナス・ジェライス州(208人)、サンパウロ州(4人)の3州に分布していました。確定診断された患者のうち、80%が21歳から60歳までの男性でした。
 確定診断された死亡者数は、ミナス・ジェライス州で70人、サンパウロ州で3人、エスピリト・サント州で6人でした。疑い患者と確定患者を合わせた死亡率は、高い順に、サンパウロ州で75%、ミナス・ジェライス州で34%、エスピリト・サント州で29%でした。
 週毎の発症者数および州毎の発生分布に基づくと、減少の傾向がみられます。この傾向がこれからの数週間も続くかどうかを見極めるために、引き続き、発生状況を監視する必要があります。

 また、人以外の霊長目において、動物での集団感染の発生647件が報告されました。このうちの342個体で黄熱への感染が確認されました。
 人以外の霊長目における集団感染は、Alagoas州(アラゴアス)、バイーア州、ゴイアス州、エスピリト・サント州、マットグロッソ・ド・スール州、ミナス・ジェライス州、Paraná州(パラナ)、Pernambuco州(ペルナンブーコ)、リオグランデ・ド・ノルテ州、Grande do Sul州(リオグランデ・ド・スール)、Santa Catarina州(サンタ・カタリーナ)、サンパウロ州、Sergipe州(セルジッペ)、トカンティンス州から報告されています。ブラジル以外のアメリカ大陸の国や地域から、現在の流行の発生に関連した黄熱患者は報告されていませんが、現在調査中の動物での流行発生は、ブラジルが国境を接している、マットグロッソ・ド・スール州(ボリビアとパラグアイと国境を接する)、サンタ・カタリーナ州(アルゼンチンと国境を接する)、リオグランデ・ド・スール州(ウルグアイとアルゼンチンと国境を接する)、パラナ州(アルゼンチンとパラグアイと国境を接する)で報告されており、国境を接する国々、特に共通の生態系をもっている地域に、ウイルスが拡がるリスクのあることが示されています。

 このような発生状況に対応して、連邦、州、市町村の各公衆衛生を担当する規制当局は、さまざまな活動を実施しています。ミナス・ジェライス州、エスピリト・サント州、サンパウロ州、バイーア州、リオ・デ・ジャネイロ州へは1,250万本のワクチンが配布されました。
 現段階で、集団感染の発生における伝播にネッタイシマカが関与している証拠はありません。しかし、現在の黄熱の発生における感染伝播のサイクルが変化する可能性は残されています。

出典

PAHO. Epidemiological Update. 16 February 2017
Yellow Fever
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=38179&lang=en