2017年04月25日更新 中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の発生報告(更新6)

 2017年4月24日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、2017年4月9日と11日に、アラブ首長国連邦(UAE)の国際保健規則(IHR)国家担当者から、新たに中東呼吸器症候群(MERS)の患者2人が報告されました。

患者の詳細情報
 患者2人は、UAEの首都アブダビで確認されました。2人はルームメイトでした。一人目の患者(31歳)は、4月9日にWHO報告されており、4月16日に亡くなりました。二人目の患者は、4月11日にWHO報告され、家族内の接触者追跡で確認されました。この患者に症状はなく、病棟の陰圧室に入院しています。現在、31歳の患者の感染源が調査されています。家族内の接触者および医療従事者の接触者には(健康監視が)続けられています。患者に関する情報は、下記のリンク先から閲覧することができます。

 MERS-CoV cases reported between 9 April and 11 April 2017 xlsx, 22kb

 これまでに、UAEではMERS確定患者81人が報告されました。前回、患者が報告されたのは、2016年6月でした。

 WHOは、2012年9月以降、世界中で少なくとも691人の関連する死亡報告を含めて、検査で確定された1,938人のMERS-CoV感染の患者報告を受けています。

WHOによるリスクアセスメント
 MERS-CoVは、致死率が高い重症感染症を引き起こし、人から人への感染力を示してきました。これまでのところ、人から人への感染が見られたのは、主に医療の現場での発生でした。

 新たに加えられた患者の事例によって、全体的なリスク評価が変わることはありません。WHOは、中東から新たなMERS-CoV感染患者が報告されることや、動物やその家畜生産物(例えば、ヒトコブラクダとの接触後)もしくは感染源となる人(例えば、医療施設内で)と接触することで感染した可能性のある人々が他の国に感染輸入されることはあり得ると考えています。WHOは、疫学的な状況の監視を続け、入手できる最新の情報に基づいてリスク評価をおこなっています。

WHOからのアドバイス
 WHOは、現状および利用可能な情報に基づいて、加盟国すべてに対して、急性呼吸器感染症に関するサーベイランスを継続し、また、いかなる異常な症状を示す患者についても注意深く調査することを勧めています。

 感染予防と制御の対策は、診療施設においてMERS-CoVが拡がる可能性を防ぐために重要です。他の呼吸器感染症と同様に、MERS-CoVの初期症状は非特異的なため、通常、早い時期に患者をMERS-CoVと診断できるものではありません。したがって、医療従事者は、診断にかかわらず、すべての患者に対して常に一貫した標準感染予防対策を適用する必要があります。急性呼吸器感染症の兆候を呈している患者の治療にあたる場合には、標準感染予防対策に加えて、飛沫予防対策を行うことも必要です。また、MERS-CoV感染の可能性がある患者、あるいは確定診断された患者の治療にあたる場合には、接触予防対策および眼の防護策を追加すべきです。さらに、エアロゾル(微粒子)が発生するような処置を行う場合には、空気感染の予防対策を行う必要があります。

 今後、MERS-CoVに関して解明が進むまでは、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患、免疫不全のある人は、MERS-CoV感染で重篤化するリスクが高いと考える必要があります。したがって、これらの人は、ウイルスの存在する可能性がある農場、市場あるいは家畜小屋のある地域を訪れる場合、動物に近づくこと、特にラクダと濃厚接触することを避けなければなりません。動物に触れる前、触れた後には必ず手洗いを行い、病気の動物との接触を避けるという一般的な衛生習慣をしっかりと守るべきです。

 食品に対する衛生習慣に注意するべきです。ラクダの生乳あるいは尿を飲むこと、また、調理不十分の肉を食べることは避けるべきです。

 WHOは、この事態に対して入国時に特別な検査を行うことをアドバイスしてはおらず、現在のところ、如何なる渡航や貿易に対しても(これを)適応させることを勧めてはいません。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 24 April 2017
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) - United Arab Emirates
http://www.who.int/csr/don/24-april-2017-mers-uae/en/