2017年05月01日更新 ジカウイルス感染症の発生状況について （更新5）
2017年4月27日付けでPAHOより発表されたジカウイルス感染症（いわゆるジカ熱）の発生状況に関する報告です。
ジカウイルス感染症の発生状況は以下のとおりです。
発生状況の概要
2016年第44週以降、ジカウイルス感染症の蚊の媒介による国内感染は確認されていません。これまでのところ、2015年以降に蚊の媒介による国内感染が確認されたアメリカ大陸の48の国と地域で、ジカウイルスへの感染はありません。一方、性交渉によるジカウイルス感染症患者が5か国から報告されました。
北アメリカ
アメリカ合衆国フロリダ州保健局は、現在、どの地域からもジカウイルスの感染は確認されていないことが報告されています。しかし、引き続き、地域での感染が個別に発見される可能性はあります。テキサス州保健局には、2017年以降に現地での伝播による患者は報告されていません。
一方、メキシコでは、2016年第40週以降も、引き続き、確認された患者が報告されています。最近、疫学情報が更新された後は、新たな州からの地域感染は確認されていません。
中央アメリカ（中米）
グアテマラを除き、中米で報告される患者は減少する傾向が続いています。グアテマラでは、同時期に観察されたデング熱と同様に、2017年第1週から第9週までの間に、ジカウイルスの疑い患者と確定患者が僅かに増加しました。
この地域では、2017年第1週から第10週までの間、毎週平均して180人の疑い患者や確定患者が報告されています。
カリブ海諸国
アルバでは、2016年第29週以降、疑い患者と確定患者の増加傾向が続いています。この地域におけるその他の国と地域では、報告される患者数の減少傾向が続き、2017年第1週から第10週までは、毎週平均で545人が報告されました。
南アメリカ（南米）
2016年第7週以降、報告される患者数は減少傾向が続いていますが、2017年第1週から、ボリビア、ブラジル、エクアドル、ペルーでは患者数が増加し、南米（全体）で報告される患者は増加傾向となりました。2017年第1週から第10週までに、この地域では、疑い患者と確定患者が毎週平均で1,247人報告されました。
アルゼンチンでは、2017年第8週から第16週までに、Chaco（チャコ）、Formosa（フォルモサ）、Salta（サルタ）の3州で、新たにジカウイルスの現地での感染伝播が報告されました。2016年にジカウイルスの蚊の媒介による地域伝播が報告されたCórdoba（コツドバ）とTucumán（トゥクマン）の2州を含めて、合計5州でジカウイルスの感染伝播が報告されています。
ボリビアでは、2017年の初めから患者数の増加が観察されています。2017年最初の12週間に、（患者の）71％（280人）がBeni（ベニ県）で確認されました。エクアドルでは、第5週から患者数が増加し、2017年最初の15週間には、患者の68％（401人）がGuayas（グアヤス県）で確認されました。
ブラジルでは、2017年第1週から第9週までに、報告される患者数が僅かに増加しました。同じ時期に、全国でチクングニア熱も同様に増加していました。
ペルーでは、2017年第9週まで、Loreto（ロレート県）で感染の発生が続いていることによって（患者が）増加しています。Ica（イカ県）Chinchaでも感染が発生していました。
ジカウイルス感染症に関連する先天性症候群
これまでに、アメリカ大陸の26の国と地域で、ジカウイルス感染症との関連することが確認された先天性症候群が報告されてきました。2017年第15週から第17週までに、エクアドルとバルバドスで、初めてジカウイルス感染症に関連することが確認された先天性症候群の患者が報告されました。この8週間（2017年第10週から17週まで）に、ブラジル、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、グレナダ、グアドループ、グアテマラ、マルティニーク、メキシコ、プエルトリコ、トリニダード・トバコおよびアメリカ合衆国で、ジカウイルス感染症に関連する先天性症候群の患者数が更新されました。
ギラン・バレー症候群（GBS）およびその他の神経障害
2017年第17週までに、バルバドスで初めてジカウイルス感染症と関連するギラン・バレー症候群が報告されました。
出典
PAHO/WHO.Epidemiological Alerts and Updates. 27 April 2017
Zika - Epidemiological Update
http://www2.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=39706&lang=en
