2017年05月15日更新 エボラ出血熱の発生- コンゴ民主共和国

 2017年5月13日で発表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、コンゴ民主共和国は採取された検体のうちの1つでエボラ出血熱ウイルスに対する陽性反応が示されたことが報告されました。

発生状況と対応状況の詳細

 2017年5月9日に、中央アフリカ共和国と国境を接するコンゴ民主共和国(DRC)北部Bas Uele(バ・ズエレ州)Likati保健行政地区で出血熱症状をともなう診断不明の患者と死亡者が集団発生したことがWHOに報告されました。4月22日から、死亡者3人を含む患者9人が報告されており、現在も6人が入院しています。

 2017年5月11日に、DRC保健省から、感染が疑われた患者5人から収集された検体5本のうち1本で、RT-PCR法検査によりエボラウイルス・ザイール型に陽性であったことがWHOに報告されました。検査は、首都キンシャサInstitut National de Recherche Biomedicale(INRB:国立生体医学研究所)で行われました。現在、追加された検体で検査が行われており、感染発生の状況を示すために、遺伝子配列の決定を含めて検査の結果を待っているところです。

 2017年5月10日に、WHOと支援組織からの支援を受けた多領域にわたるチームが保健省によって招集され、現地に派遣されています。2017年5月12日か13日に感染の発生地域に到着しました。これから、詳しい現地調査が実施されることになっています。

 調査は現在も続けられており、疑い患者3人についての情報が入ってきています。最初の患者(おそらく、感染の発端となる患者)は、39歳 男性で、2017年4月22日に発症し、医療施設に到着して死亡しました。彼は、血尿、鼻出血、血性水様便、吐血などの症状を示していました。この患者との接触者2人での調査も行われています。接触者の1人目は医療施設への搬送中、彼の世話をしていました(この患者は、それ以来、同様の症状を発症しています)。2人目は、患者を医療施設に運んだタクシー自動車の運転手です(彼は死亡しました)。

 医療従事者に対する個人用保護具(PPE)が、5月12日にKisangani(キサンガニ)に搬送されました。現在、検査キットの追加準備が行われており、準備ができ次第、発送される予定です。

ウイルスの背景と疫学的な発生状況

 2014年8月24日に始まったエボラ出血熱の感染発生は、2014年11月20日に、WHOの勧告によるものとして、DRC保健省とWHOによって終息が宣言されました。この流行では、診断確定患者38人と感染の可能性の高い患者28人がEquateur(赤道州)Boendeで発生し、うち49人が死亡しました。1976年にDRCでエボラ出血熱が発見されて以降、これまでに7回の感染が発生しました。
・2014年:赤道州:(Watsi Kengo、Lokolia、Boende、Boende Muke)を発端に、死亡者49人を含むエボラ出血熱患者66人が発生。
・2012年:Orientale(旧区分、東部州)Isiro(イシロ)で死亡者13人を含むエボラ出血熱患者36人が発生(Bundibugyo[ブンディブギョ型エボラウイルス])。
・2008年〜2009年:Kasaï-Occidental(東部カサイ州)で死亡者15人死亡を含むエボラ出血熱患者32人が発生(ザイール型エボラウイルス)。
・2007年:Kasaï-Occidentalで死亡者187人を含むエボラ出血熱患者264人が発生(ザイール型エボラウイルス)。
・1995:Kikwit(キクウィット)およびその周辺地域で死亡者250人を含むエボラ出血熱患者315人が発生。
・1977:患者1人が発生(ザイール型エボラウイルス)。
・1976年:Yambukuで死亡者280人を含む患者318人が発生(ザイール型エボラウイルス)。

 エボラウイルスには、5つのサブタイプ(亜型)が確認されています。サブタイプは、最初に検出された場所から名前が付けられています。5つのサブタイプのうち3つ(ザイール型、スーダン型、ブンディブギョ型)は、アフリカで大規模なエボラ出血熱の流行を起こしています。エボラ出血熱は、全患者の25-90%が死に至る発熱性出血熱です。

公衆衛生上の取り組み

 公衆衛生上の取り組みとして、次のことが実施されています。
・ウイルス性出血熱に対する全国対策会議を再度立ち上げ、毎日、会議を開きながら、対策の調整を図っています。
・疫学調査の強化と接触者を含む健康監視の強化が続けられています。
・WHOは人的支援と技術支援を実施しています。多分野で構成されるWHOのチームがDRCに派遣され、現在、国の関係当局と感染対策の支援について検討されています。
・GOARN(地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク)は、必要に応じて、支援を追加提供するために活動しています。
・潜在するエボラ関連のワクチン接種の必要性と実行可能性が議論されています。

WHOによるリスクアセスメント

 これまでのところ、この感染は遠隔の地で発生しており、地域でも拡大することは難しく、比較的、地理的な制限を受けているようです。 しかし、調査は現在も行われており、大規模な感染の発生について評価するために、警戒体制だけは高く維持しておくことが必要です。

 WHOは、現在入手できている情報に基づく限り、DRCへの旅行や貿易の制限を勧めてはいません。

出典

WHO. Disease outbreak news. Emergencies preparedness, response. 13 May 2017
Ebola virus disease - Democratic Republic of the Congo
http://www.who.int/csr/don/13-may-2017-ebola-drc/en/