2017年06月06日更新 チフス流行の発生- ザンビア

アフリカにおける感染症の発生状況の週報[第22週(5月27日-6月2日)]が公表されました。ここでは、今週、新しく報告に加わった記事のうちザンビアで発生しているチフスについて取り上げます。

チフスの発生状況

2017年5月4日、ザンビア北東部Mpika地区で腸チフスが発生したことが、Muchinga(ムチンガ)州保健当局に届けられました。感染の発生は2017年3月6日に始まりました。2017年5月3日現在で、累積患者数127人、うち死亡者数1人(死亡率CFR 0.8%)となっています。感染の発生が第18週(2017年5月5日迄の週)にピークに達した後は、週毎の発生数に大幅な減少がみられています。

感染の発生は、発生当初、Tazaraにある都市保健センター(UHC)の管轄地域に局在していました。しかし、現在は、この他にもMpika地区内5つの管轄区域に患者の発生が分布しています。ここには、Chitulika都市保健ポスト(UHP)、Kamwanya UHP、Mapoma農村保健センター(RHC)、Mpepo RHC、Mpika UHCが含まれます。

すべての年齢層で感染がみられますが、0~14歳の子ども(での発生)が不均等に多く、患者の53%を占めています。

公衆衛生上の取り組み

  • ザンビア保健省は支援組織とともに感染対策を進めています。
  • WHOの支援を受けて、地方行政と地区自治レベルでの環境調査が実施されました。飲み水の水源の多くは(感染から)保護されることのない、浅い井戸であることが分かりました。細菌学検査を受けた飲み水の試料28本のうち、21本が糞便大腸菌で汚染されていました。
  • 戸別訪問キャンペーン、地域集会、地元のラジオ局、学校などが、少なくとも10,801人に健康教育メッセージを伝えるために使われました。
  • WHOは、医療施設での患者発見と地域住民による積極的な患者発見を強化するためのサーベイランス活動に対して、技術支援を行っています。
  • 地区自治体および地方行政の職員は、接触者を追跡し、健康監視を続けています。
  • 塩素ボトル1,717本が配給されました。
  • 確実に、すべての患者が適正な治療を受けられるように、保健医療関係者には、患者管理のガイドラインが配布されました。患者は、シプロフロキサシン/セフォタキシムで治療され、接触者には予防投与としてクロラムフェニコールが投与されています。

発生状況への認識

ザンビア保健省は支援組織とともに、感染の発生以降、速やかに有効な対策を行っています。適切な抗生物質レジメンが速やかに利用されることで見込まれる死亡率(CFR)1%以下が維持されています。患者は減少し始めていますが、一方で、強力な対策が維持されなければ、今後数週間で患者が急増する可能性もあります。この数週間での学校の再開は、学校の環境が接触者の数を増やす可能性があり、発生状況の緊急性を高めることになります。そのため、感染の発生している地域では、課題である飲み水の供給不足を速やかに解消することが重要となります。その他には、医薬品、検査用試薬、肩掛け型の消毒薬の散布器材、ため込み式トイレ用の消毒剤など、感染発生に対処する物資や消耗品の支援が必要となります。

出典

AFRO/WHO. Outbreaks and emergencies updates, Programmes. 2 June 2017
Weekly Bulletin on outbreaks and other emergencies. Week 22: 27 May - 02 June 2017
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/255624/1/OEW22-270262017.pdf?ua=1[PDF形式:4,387KB]