2017年06月16日更新 E型肝炎の発生- ニジェール(更新)

 アフリカにおける感染症の発生状況の週報[第23週(6月3日-9日)]が公表されました。ここでは、今週、新しく報告に加わった記事のうちニジェールで発生していたE型肝炎のその後の状況について取り上げます。

E型肝炎の発生状況

 2017年4月28日にE型肝炎の情報が公表された後も、ニジェール南東部Diffa(ディファ)州ではE型肝炎の患者数の増加が続いています。3つの保健行政区域、Bosso(疑い患者15人)、N'Guigmi(疑い患者9人)、Diffa(ディファ母子保健センター(CSME)からの疑い患者5人と死亡者2人を含めて、疑い患者34人)から、22週の最初の4日間(5月29日から6月1日)で、新たな患者58人が報告されました。新たな死亡者2人が含まれています。

 2017年1月2日から6月1日までに、死亡者33人[死亡率(CFR 4%)]を含めて累積疑い患者817人が報告されています。発端となる患者はDiffaの保健行政区域から報告されましたが、(いまでは)Bosso、Diffa、Goudoumaria、Mainé SoroaおよびN'Guigmiの5つの保健行政区域で発生が続いています。患者のほとんどはDiffa(60%)、N'Guigmi(19%)、Bosso(18%)からでした。

 合計で326検体が採取され、ダカールのパスツール研究所で検査されました。受けとったうちの174検体の結果では、PCR法検査でE型肝炎ウイルス93検体(53%)を検出しました。1検体では、リフトバレー熱に対するIgMも陽性の結果がでました。

 疑い患者のうち62%が女性で、CFRは女性で6%、男性で0.3%となっています。これまでの文献報告に一致して、不均等に妊婦での死亡率が高くなっています。母子保健センター(CSME)で治療された女性の死亡率は28%と記されています。女性の疑い患者488人の年齢層は、85%が(生殖可能年齢である)15〜49歳でした。

公衆衛生上の取り組み
・保健省は、全国レベルと地域レベルで、国の流行対策管理会議を毎週開催し、対策の調整を行っています。
・国境なき医師団(MSF)は、患者の管理を主導する保健省への支援を続けています。
・ユニセフは、いくつものWASH(健康/水と衛生の環境を整備する)活動への支援を続けています。
・難民キャンプ(Sayam、Kinjandi、Assaga)と村々に、安全な飲料水を提供するために、給水車が配備されています。
・感染が発生した村では、塩素による水源の消毒が行われています。
・Aquatab(水を消毒する錠剤)が、地域での適切な使用に関する教育指導とともに、家庭に配布されています。
・健康センターへの早めの受診を促すために、病気の徴候や症状に関するリスクへの情報を周知する活動が行われています。

発生状況への認識

 流行に関するデータに基づけば、流行は、依然としてピークの状態にあり、明確に反転する傾向はみられません。これは、保健省や支援組織が、この流行を終息させるためには、依然として、かなりたくさんの取り組みが必要であることを明確に示しています。

 Diffa州は、ナイジェリアとチャドからの難民を大量に受け入れており、国境を越えて来る人々の移動が著しいところです。発生当初に報告された患者には、衛生状態を適正とするには遠い環境にあることによって肝炎に感染するリスクの高い難民、国内避難民や他の土地の地域住民が含まれていました。近隣のチャドでもE型肝炎発生の発見が続いており、この流行は中央アフリカ共和国と国境を接する東部に局在していっているようです。ニジェールと国境に接するチャド西部では(患者は)確認されていませんが、国境を越えての情報共有を強化するとともに、ナイジェリアを含むすべての国が強化した監視体制を維持することが重要です。

 流行のデータをみると、症状の発症と入院日の間には、平均で1週間の遅延があるようです。これは、地域における積極的な患者発見と、利用できる医療環境の整備の両方を強化する必要があることを示しています。

 E型肝炎による全体的な疾患脅威は、安心して飲める水が不足している世界の一部地域では、E型肝炎ウイルス感染の主要な感染経路が飲料水の糞便汚染を伴うことで、最大級となります。現在の流行に対して対策活動を続けているにもかかわらず、依然としてWASH活動への介入の必要性は高いままです。保健省と国際的な支援組織は、安全な飲料水の供給と衛生環境の整備に取り組むことへの支援を続け、この流行の抑制を図ることが重要です。

出典

AFRO/WHO. Outbreaks and emergencies updates, Programmes. 9 June 2017
Weekly Bulletin on outbreaks and other emergencies. P.5. Week 23: 03 - 09 June 2017
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/255653/1/OEW23-030962017.pdf?ua=1