2017年06月20日更新 髄膜炎菌感染症の発生報告- ニジェール

 アフリカにおける感染症の発生状況の週報[第23週(6月3日-9日)]が公表されました。ここでは、新しく報告に加わった記事のうちニジェールでも発生が続いている髄膜炎の発生状況について取り上げます。

髄膜炎の発生状況

 2017年年初から、ニジェールでは散発的に(髄膜炎の)患者が発生していました。第7週(2017年2月19日迄の週)には、Niamey(首都ニメア)のニメア第4保健地区で、10万人あたり患者3人となり注意レベルを超えました。2017年3月19日までに7地区が(髄膜炎への)注意レベルになりました。

 2017年3月26日に、ニメア第2保健地区では10万人あたり患者10人の流行レベル超える感染率となる11.7人/10万人となりました。2017年3月27日には、保健衛生当局によって、公式に、流行が宣言されました。5月31日までに、脳脊髄液(CSF)2,796検体が首都ニメアの医学・衛生学研究センター(Centre de Recherche Médicale et Sanitaire:CERMES)で検査されました。このうち、1,607検体が陽性であり、66.9%が髄膜炎菌C型、17.2%が髄膜炎菌X型、10.3%の髄膜炎菌N型、5.6%が「その他」の型に分類されました。

 最も感染が発生した地域は、ニアメ首都特別区、マラディ州 (Maradi)、ドッソ州 (Dosso)、タウア州 (Tahoua)、ティラベリ州 (Tillabéri)で、患者の98%以上を占めています。しかし、患者は全国各地から報告されていました。

 第15週以降、患者数は徐々に減ってきており、2017年6月4日時点では疑い患者が4例だけで、流行レベルまたは注意レベルの地区はありません。2017年6月8日までに、疑い患者が合計で3,303人に上り、197人が死亡(CFR 6%)しました。調査活動は(現在も)続けられています。

公衆衛生上の取り組み
・毎週の感染率の計算など、地域での流行を把握するために(保健)小地区(住民3万人から10万人の調査区画)で、疫学調査が実施されています。
・WHOプロトコールに従って、セフトリアキソンを用いた無償での治療が、すべての保健医療センターで提供されています。
・看護師には、疑わしい患者の診断のために、訓練を受け、腰椎穿刺を実施する権限が与えられています。
・大規模なワクチン接種キャンペーンが、2017年4月中旬に、ニアメ第2保健地区と流行レベルを超えた近隣の保健地区で実施され、98%のワクチン接種率が達成されました。 2017年5月には、マラディ州Madarounfa保健地区で大規模なワクチン接種キャンペーンが実施され、87%のワクチン接種率が達成されました。
・ニジェール政府は、髄膜炎およびその他の(病気)による公衆衛生上の緊急事態を防止し、対策を行う戦略を決定するために、全国の複数の担当部門、複数の領域による階層状の流行対策・運営会議を設立しました。
・西アフリカの諸国間における情報共有と国境を越えた調査活動を強化するために、西アフリカのWHO国際支援チームによって、毎週の電話会議が組まれています。
・国民に向けて、健康保健施設の早期利用や大規模な予防接種キャンペーンへの啓発活動が行われています。

現状との解離

 適正な血清型を網羅する髄膜炎ワクチンは世界的に不足しており、ニジェールでも、2歳から20歳までの年齢の住民で、対象となる人々に(すべての型を網羅した)ワクチンを接種するには、ワクチンの量が不十分でした。それでも、2つの型のワクチンの請求、2価A/C型ワクチン486,725回分については、国際協調グループ(ICG)によって承認されました。

発生状況への認識

 髄膜炎菌性髄膜炎の流行は、アフリカの「髄膜炎ベルト」26か国で、依然として大きな公衆衛生上の脅威となっています。髄膜炎の原因となる細菌はいくつもありますが、Neisseria meningitidis(髄膜炎菌)は流行の可能性が最も高い原因です。12の血清群がありますが、このうちA、B、C、W、X、Yの6つの血清群に、流行を引き起こす可能性があります。

 MenAfriVacプロジェクトが、2010年にニジェールで開始されました。この大規模なワクチン接種キャンペーンの前には、A型血清群がアフリカ髄膜炎ベルトにおける髄膜炎の主原因でしたが、大規模にワクチン接種が行われた結果、実質的な発生数は減少し、この流行でも髄膜炎菌C型血清群が主原因となっています。

 ニジェールでは、髄膜炎の流行が季節性を示すことは、よく知られています。これまでの2015年と2016年の流行と同様に、この流行の発生は、20週目から23週目までに、患者の顕著な減少を示しています。それは、ニジェールにおける2017年の髄膜炎の流行の終息を意味します。このことは、この病気の感染率や死亡率を減少させるためには、髄膜炎の流行「シーズン」が始まる前に、適切な準備活動を実施することの必要性をはっきりと示しています。

出典

AFRO/WHO. Outbreaks and emergencies updates, Programmes. 9 June 2017
Weekly Bulletin on outbreaks and other emergencies. P.11. Week 23: 3 - 9 June 2017
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/255653/1/OEW23-030962017.pdf?ua=1