2017年06月22日更新 アメリカ大陸における結膜炎の流行

 2017年6月16日付で、汎米保健機構(PAHO)より、結膜炎の流行への注意喚起が行われました。

アメリカ大陸における結膜炎の発生状況

 2017年第23週の時点で、アメリカ大陸の5つの国と地域(バハマ、ブラジル、ドミニカ共和国、グアドループ、マルティニーク)で、結膜炎の流行が報告されています。

 バハマでは、2017年5月から6月にかけて、結膜炎の患者数が増加しました。2016年の同じ期間に報告された患者数187人と比べて、(今年は)患者が合計で240人も報告されました。発生状況の管理を行うために必要な公衆衛生上の対策が、管轄の保健当局によって実施されています。

 ブラジルでは、5月18日から6月6日までに患者172人が届けられたアマゾナス州フマイタ市で、結膜炎の流行が報告されました。地元の保健当局は、流行を終わらせるために(感染の)予防と制御のための対策を実施しています。

 ドミニカ共和国では、2017年第21週の時点で、合計66,626人の結膜炎患者が報告されました。2016年の同じ時期(患者数41,022人)と比べて、62%の増加となっています。結膜炎の流行は、2017年第18週に始まり、現在も続いています。第18週から第21週の間には、Distrito Nacional(首都地区)と、San Cristobal(サン・クリストバル)、Santiago(サンティアゴ)、Santo Domingo(サント・ドミンゴ)の各州で患者数の増加が最大級と報告されました。

 グアドループでは、結膜炎患者の増加が2016年末から観察されています。2017年第20週から第21週の間には、1週間の疑い患者500〜600人が報告されて大幅に増え、人口1万人あたりの累積発生率が20人(この時期に予想される患者数の8倍)となりました。 Grand Bourg地域では、1万人あたり353人、次いで、Le Gosier、Pointe-à-Pitre、Terre-de-Basでは1万人あたりの発生率が50〜100人と報告されています。疑い患者から採取された一連の検体で実施された検査では、エンテロウイルスに陽性でした。

 マルティニークでは、結膜炎患者数が2017年第20週に著しく増加し、1週間で疑い患者250人が報告されました。第20週から第21週の間には、累積発生率が1万人あたり10人でした。MarinとFrançoisの各地域では、人口1万人あたり41人および35人で最も高い発生率が報告されました。

 この地域(アメリカ大陸)の他の国における結膜炎の流行についても調査が行われています。

PAHOからの勧告事項

 PAHO/WHOは、この地域のいくつもの国や地域で結膜炎の伝播が増加していることから、加盟国に対し、調査活動を強化し、この病気の拡大を防ぐための感染制御対策の実施を要請しています。

 調査活動、予防、接触者の管理と患者の治療に関係する主な勧告事項は、次のとおりです。

疾病調査および疫学調査
•適切に感染制御対策を指示できるように、流行を速やかに探知するための調査活動を強化すること
•感染の発生を確認するため、担当当局に速やかに報告すること
•接触者と感染源を調査し、共通の感染源があったかどうかを判断すること
•確定診断のための検査処理能力を強化すること
•医療従事者には、情報と勧告事項を普及させること

接触者の感染の予防と制御、および速やかな環境整備
•手洗いの促進に加えて、目や呼吸器系分泌物と接触した可能性のある物品を念入りに洗浄し、取り扱うこと
•結膜からの滲出液を清潔に保つこと
•人の密集地を避け、衛生対策を促進するために、患者と接触者への健康教育キャンペーンを実施すること。この教育キャンペーンでは、手や物で目に触ることを避け、頻繁に手を洗うことの必要性が示されています。患者は、その他の家族と食器や身の回りの物品の共有を避ける必要があります。
•プールを適切に塩素消毒すること
•診断および患者を管理する組織を編成すること
•医療施設環境での滅菌の徹底と滅菌基準を確保すること

医療従事者に向けた対策
•患者の治療には必ず手袋やガウンを着用し、個人での感染保護対策を講じること
•結膜炎の可能性がある患者や感染が検査で確認された患者の処置を行った後には、手を洗うこと
•他の患者や職員からの(持ち込まれる)病原体を避けるため、物品や医療機器は消毒すること

患者の管理
•結膜炎の治療は対症的に行われるものであり、圧迫による冷却や血管収縮剤の入った人工涙液など、一般的な対処に限定すべきです。
•塊を伴う細菌感染でもない限り、抗菌剤は使用すべきではありません。抗ウイルス薬の有効性についても明文化されたものはありません。
•ステロイドの入った抗炎症剤は、ウイルスの複製を著しく増加させるため、使用しないでください。抗生物質を含む点眼薬は使用しないでください。
•病気で症状がある患者との接触を制限するために、隔離は行われるべきです。滲出液や分泌物に対する感染予防対策を講じてください。病気で症状がある間は、患者との接触を限定してください。

出典

PAHO. Epidemiological Update. 16 June 2017
Conjunctivitis
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=40576&lang=en