2017年06月30日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新18)

 2017年6月28日にWHOから公表された情報によりますと、6月2日に、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)から、新たに鳥インフルエンザA(H7N9)患者9人が検査で確認されたことがWHOに報告されました。また、6月9日にも、新たに患者12人が中国本土で確認されたことがWHOに報告されました。

報告の詳細

6月2日の報告:鳥インフルエンザA(H7N9)患者9人
 発症日は、5月12日から29日まで(の患者)です。これらの患者9人のうち、3人が女性でした。患者の年齢幅は35歳から67歳で、中央値は56歳でした。患者は、安徽省(1人)、北京(1人)、広西チワン族自治区(1人)、河北省(1人)、湖北省(1人)、山西省(1人)、山東省(2人)、四川省(1人)から報告されました。
 報告された時点で、1人の死亡がありました。患者7人において、4人が肺炎、3人が重症肺炎と診断されました。患者8人には家禽や生きた家禽を扱う市場との接触機会のあったことが報告されました。患者1人は、家禽との接触機会が不明でした。集団感染は報告されませんでした。

6月9日の報告:鳥インフルエンザA(H7N9)患者12人
 発症日は、5月20日から6月3日まで(の患者)です。これらの患者12人のうち、4人が女性でした。患者の年齢幅は4歳から68歳で、中央値は40.5歳でした。患者は、安徽省(2人)、北京(3人)、重慶(2人)、河南省(2人)、江蘇省(1人)、陝西省(1人)、山東省(1人)、から報告されました。
 報告された時点での死亡者はなく、患者が10人(肺炎4人と重症肺炎6人)でした。患者9人には家禽や生きた家禽を扱う市場との接触機会のあったことが報告されました。患者2人の家禽との接触機会は不明でした。(残る)患者1人については、現在調査中です。

 陝西省から、2017年5月23日に発症した男性68歳と、彼の妻67歳(5月26日に発症し、WHOに6月2日に報告された患者)とが関係する集団感染が報告されました。両者ともに、内モンゴル自治区で、裏庭で飼育されていた鶏を市場で購入したことによる接触機会がありました。鶏の何羽かは購入した直後に死に、その夫婦は他の鶏の何羽かも落として処理していました。内モンゴル自治区が鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスとの接触の可能性のある場所として報告されたのは、初めてでした。この地域では生きた家禽の市場の検査試料から、最近になって、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが検出されていました。

 2013年初頭からこれまでに、IHRを通して、鳥インフルエンザA(H7N9)の確定診断患者1,533人が報告されています。

公衆衛生上の取り組み

 中国政府は、国と各地方のレベルで、次のような追加対策を実施しています。
・(リスク)評価と感染予防および感染制御を強化するために、各省に引き続き指示を行っています。
・生きた家禽市場および地域間の輸送への衛生管理に重点をおいた感染制御への対策強化が続けられています。
・効果的に感染予防と感染制御への対策の周知を図るために、感染源に関する詳しい調査が行われています。
・死亡率を低下させるために、鳥インフルエンザA(H7N9)感染者の早期に発見・治療が続けられています。
・自らを感染から守るための指針を国民に向けて示すために、リスクに対する情報の伝達と問題点となる情報への注意喚起の徹底を、引き続き、実施しています。
・感染の予防と管理のためのさらに(詳しい)ガイダンスを提供するために、ウイルス学の視点から、感染地域でのウイルス流行のレベルや突然変異への理解を深めるための調査活動が強化されています。

WHOのリスク評価

 2016年10月1日以降に発生した5回目の流行の波での鳥インフルエンザA(H7N9)の患者数と地域分布は、これまでの流行の波よりも大きくなっています。これは、ウイルスが広がっていることを示しており、人と動物、両方の健康領域でより強化した調査活動と感染制御対策が重要であることを強調しています。

 疫学調査からの動向によれば、毎週の報告される患者数は、2月初めにピークに達し、徐々に減ってきているようです。今年の患者のピークは、前年の患者のピークとタイミングが一致しています。ほとんどの患者は、生きた家禽を扱う市場などで、感染した家禽との接触またはウイルスに汚染された環境との接触を通して、鳥インフルエンザA(H7N9)に感染しています。このウイルスが動物や環境中で検出され続けており、生きた家禽の販売が続けられているため、さらに患者が発生することが予想されます。

 これまでにも同じ部屋にいた患者が関係した事例など、小さな集団で鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの感染が発生したことは報告されてきましたが、現在の疫学的・ウイルス学的な根拠からは、このウイルスが人と人との間で感染伝播を維持し続ける能力は獲得していないことが示唆されています。そのため、地域レベルで感染が拡がる可能性は低いと考えられます。

 直近のウイルスの疫学的な発生状況や新たな特徴について詳細に分析することは、リスクを評価し、リスク危機の対策の調整を図り、速やかに対処していく上で不可欠となります。

WHOからのアドバイス

 WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、可能な限り養鶏場への立ち入り、生きた家禽類を扱う市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物品との接触を避けることを勧めています。渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣の維持に努めるべきです。

 WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨してはいません。これまでと同様に、鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航中又は帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザウイルスへの感染を鑑別診断として考えておくことが必要です。

 WHOは各国に対して、重症急性呼吸器感染症(SARI)およびインフルエンザ様疾患(ILI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、通常と異なる傾向がないか慎重に調査し、人での症例が発生した時には国際保健規則(2005)に基づき必ず報告し、引き続き各国国民の健康維持に備えることを要請しています。

 中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には検疫所に相談してください。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 28 June 2017
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus - China
http://www.who.int/csr/don/28-june-2017-ah7n9-china/en/