2017年07月10日更新 コレラの発生状況- コンゴ民主共和国

 アフリカにおける感染症の発生状況の週報[第26週(6月24日-30日)]が公表されました。ここでは、今週、Grade 3(最も申告な事態)として報告されたコンゴ民主共和国でのコレラの発生状況について取り上げます。

コレラの発生状況

 コンゴ民主共和国(DRC)で長引くコレラの流行は、未だに弱まって来ていません。2015年8月の発生から、この病気にはピークと谷の季節性変動が観察されます。しかし、この数週間は、国内全土で流行する傾向が高まってきました。第24週(2017年6月18日までの週)には、死亡者15人(致死率2.5%)を含めて、新たな患者602人が報告されました。第23週に報告されたのは、患者455人と死亡者7人(致死率1.54%)でした。これらの患者は、感染伝播の活動が活発な国内7つの州、Haut-Lomami(上ロマミ州)、Tanganyika(タンガニーカ州)、Kongo-Central(コンゴ中央州)、North Kivu(北キヴ州)およびSouth Kivu(南キヴ州)、Ecuador(エクアトゥール)、Kinshasa(キンシャサ)で発生しています。首都キンシャサでも、2016年上半期には都市部での感染の制御が成功し、発生の散発例か、発生のない期間が長い期間続いていましたが、2017年第20週以降、患者の発生率が徐々に上昇していることが報告されています。

 2017年年初から6月24日までに、死亡者403人(致死率2.9%)を含めて、患者13,721人が報告されています。2017年には、6州(タンガニーカ州、南キヴ州(Sud-Kivu)、コンゴ中央州、モンガラ州(Mongala)、マニエマ州(Maniema)、赤道州(Equatuer)で、最悪の発生状況が生じています。今年は、タンガニーカ州だけで全体の患者発生数の20%を占め、ここでは、主に部族間の紛争を避けてきた国内避難民の間で、この病気が拡がっています。

 2015年8月にコレラの流行が発生して以来、26ある州のうち20州で発生が届出され、死亡者1,220人(致死率2.8%)を含めて、累積患者数は43,073人に上っています。流行の拡大を分析すると、8つの州にはコレラ感染が通年にわたり伝播していましたが、12の州には断続的な季節性の感染パターンがありました。516の保健行政地区のうち112地区で感染の発生があります。

公衆衛生上の取り組み

・WHOと加盟国は、保健省を支援し、多くの領域にわたり合同で対策活動を強化しています。さまざまな(行政)レベルで、コレラ(対策)小委員会会議が定期的に開かれています。
・ALIMA(患者管理や地域社会での教育を補助している現地の非政府機関)やMSF(国境なき医師団)など、国際的な非政府組織が、感染の発生している州に無償で治療支援を提供しています。
・調査活動を強化しながら、最近の経口コレラ・ワクチン・キャンペーンの効果を評価しています。
・WASH(健康/水と衛生の環境を整備する)活動の支援者たちは、水源での塩素処理、手洗い場の設置、貯水槽の消毒、安全な水(の確保)や衛生習慣への認識を高めるために地域活動を続けています。WHOは、WASH活動を強化するために追加物資を手配しました。
・感染発生が続く流行へ地域で注意を喚起し続けるために、地元の新聞やWHOのウェブサイトでの定期的な記事の発信など、(病気の)情報、教育と情報伝達のための資料が継続的に配布されています。
・コンゴ川沿いのムバンダカ(Mbandaka)港とキサンガニ(Kisangani)港では、調査活動が強化され、ボートは感染の広がりを抑制するために消毒されています。
・WHOは、対策の運営を支援するために、緊急対応基金(the Contingency Funds for Emergency)から262,000米ドルの追加出資を承認しました。また、対策への介入を図る調整を支援するために、コレラ担当室が1か所、配備されています。

発生状況への認識

 コンゴ民主共和国で発生しているコレラ流行に対する公衆衛生上の対策への取り組みは、延伸し、地理的に拡大していくこの感染発生の特徴に伴い、拡がり続けています。また、この国では、内乱、民族の衝突、社会の無政府状態などによって、人々が大量に移動し、社会危機が起こり、たくさんの感染症が発生しているために、コレラ流行の状況は悪化しています。感染に弱い地域は、一般に、生活水準が低く、飲料水の供給が限られており、上下水道の衛生設備が不十分です。医療サービスの提供や利用環境(の向上)も、資金の不足、社会の不安定、対応能力の限界など、さまざまな要因によって課題として残っています。

 最近の調査データからは、いくつもの地域、並びにキンシャサのように一度は(感染が)制御された地域でも、急性水様性下痢(AWD)が増加する傾向がみられます。このような急増と再発にともない、地域内で感染拡大を抑制すための対策、特に、WASH(健康/水と衛生の環境を整備する)活動への介入を中心に、取り組みの規模を拡大させることが重要になります。同時に、この流行で観察される致死率の高さ(2017年には2.9%)を(適切に、かつ速やかに)1%未満に下げるためには、患者の管理の向上に重点を置く必要があります。

 コンゴ民主共和国で長引くコレラの流行は終わらせなければなりません。この流行への対策を支援するために、今まで以上の人道支援組織を動員する必要があります。また、効果の高い介入を実施するために、必要な人的・物的資源(人、物品、財政)を導入することが急務となります。コレラからの保健衛生上の避難地区、特に、この病気が長期間続く国内東部地域で、経口コレラワクチンの配給が強く検討される必要があります。また、現地の支援組織も、支援者や世界の(さまざまな)団体の信頼を維持するために、コレラ発生への対処能力を示す必要があります。安全な飲料水と衛生的な下水設備を利用できる環境整備を優先させて、コレラの根本原因に取り組むために、政府の担当部門の責任ある関与も必要とされます。

出典

AFRO/WHO. Outbreaks and emergencies updates, Programmes. 30 June 2017
Weekly Bulletin on outbreaks and other emergencies. P.3. Week 26: 24 - 30 June 2017
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/255797/1/OEW26-243062017.pdf?ua=1