2017年08月10日更新 巡礼(Hajj)に伴うサウジアラビア入国の要件-WHO

 2017年8月4日に、WHOはサウジアラビア保健省からから提供されたサウジアラビアへの入国の必須要件を、旅行者に対して知らせています。1.黄熱、2.髄膜炎菌性髄膜炎、3.ポリオ、4.季節性インフルエンザ、5.ジカウイルスとデングウイルス、6.コレラ、7.健康教育、8.食品、9.国際的な流行への対応、についての注意喚起が行われています。このうち、黄熱、髄膜炎菌性髄膜炎、ポリオについてはワクチン接種証明書の提示が求められているため、ここで採り上げます。特に、髄膜炎菌性髄膜炎については、ワクチンの種類と有効期間が規定されていることから注意が必要です。4-9の項目については、一般的な諸注意が述べられています。

 サウジアラビアの保健省は、2017年のHajjおよびUmraの時期が来ることに伴い、入国ビザについて、次のような要件と勧告を発行しています。

1.黄熱

(A)国際保健規則(2005)に従って、黄熱の感染伝播のリスクがある国または地域から到着するすべての旅行者は、効力のある黄熱ワクチンの接種証明書を提出しなければなりません。黄熱の予防接種証明書の効力は、予防接種を受けた人の予防接種日の10日後から始まり、生涯に及びます。

 その証明書がない場合、証明書が効力を発揮するか、または感染との接触の可能性がある最終日から6日以上経過するかの、いずれか早い日までは、厳重な監視下に置かれます。入国地点の保健所は、旅行者の一時的な停留地について、州内の該当する保健局長もしくは州知事に通知する責任があります。

次の国/地域は、黄熱の感染伝播のリスクがあります(WHOの国際旅行と健康2017で定義されています)。

アフリカ
 アンゴラ、ベナン、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ、コートジボワール、コンゴ民主共和国、赤道ギニア、エチオピア、ガボン、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ共和国、ケニア、リベリア、マリ、モーリタニア、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、南スーダン、スーダン、トーゴ、ウガンダ

アメリカ大陸
 アルゼンチン、ベネズエラ、ブラジル、コロンビア、エクアドル、フランス領ギアナ、ガイアナ、パナマ、パラグアイ、ペルー、ボリビア、スリナム、トリニダード・トバゴ

(B)黄熱の感染が発生する国から来る航空機、船舶およびその他の手段による交通輸送には、WHOが勧告する手続きに従って、媒介昆虫を駆除したことを示す証明書を提出することが求められます。

 国際衛生規則(2005)に則り、到着するすべての船舶は、管轄の当局に有効な船舶衛生証明書を提出することが求められます。黄熱のリスク地域から到着した船舶(港への入港、停泊や出航、下船や荷物の積み卸しを含む)は、検疫済みの証明書を不要とする条件として、黄熱を媒介する蚊がいないこと、または殺虫対策が行われたことを確認する検査証を提出する必要があります。

2.髄膜炎菌性髄膜炎

(A)すべての国からの旅行者

 Umra及びHajj、または季節労働を目的とする入国者は、4価の髄膜炎ワクチン(ACYW135)によるワクチン接種証明書を提出する必要があります。ワクチンの効力は3年以下とされており、サウジアラビアに到着する10日前には接種する必要があります。入国者の母国の担当当局は、成人および2歳以上の子どもに4価の髄膜炎ワクチン(ACYW135)ワクチン1回を投与し、使用されたワクチンの種類をワクチン接種証明書に明示しなければなりません。

(B)アフリカの髄膜炎ベルトからの入国者

 アフリカの髄膜炎ベルト、ベナン、ブルキナファソ、カメルーン、チャド、中央アフリカ共和国、コートジボワール、エリトリア、エチオピア、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ共和国、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、スーダン、南スーダン、からの入国者には(A)の要件が必要とされます。

 また、細菌を持ち込む確率を下げるために、入国地点で、成人(妊婦を除く)と12歳以上の子どもには、予防投与としてシプロフロキサシン1錠(500mg)が投与されます。

(C)国内の巡礼者と巡礼に関係する労働者

 次の場合には、4価の髄膜炎ワクチン(ACYW135)の接種が必要です。
・メディナとメッカに住み、過去3年間に多糖体ワクチンを、又は、過去5年間に包合体ワクチンを、接種していないすべての市民と滞在者
・Hajjに関係する仕事に携わり、過去3年間に多糖体ワクチンを、又は、過去5年間に包合体ワクチンを、接種していないすべての市民および滞在者
・入国地点で働く人々、巡礼者と直接接する人々を含めて、過去3年間に多糖体ワクチンを、又は、過去5年間に包合体ワクチンを、接種していないHajjに関係するすべての労働者。

3.ポリオ

 次の国または地域(2017年8月1日現在)からサウジアラビアへの入国のためにビザ申請するときには、年齢およびワクチンの接種状況に関係なく、出発前12か月以内にポリオワクチン(OPV)または不活性化ポリオワクチン(IPV)を接種したことの証明書を提出する必要があります。

・常在するウイルスの伝播が阻止されていない国(2017年8月1日現在)
 アフガニスタン、パキスタン、ナイジェリア
・過去12か月以内にワクチン由来ポリオウイルスの感染伝播のあった国
 カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、ギニア、ラオス、マダガスカル、ミャンマー、ニジェール、ウクライナ
・ポリオへの感染が流行しやすい国
 コンゴ民主共和国、赤道ギニア、エチオピア、イラク、ケニア、リベリア、シエラレオネ、ソマリア、南スーダン、シリア、イエメン

 これらの国から入国するすべての者には、サウジアラビアへの到着時に入国地点で経口ポリオワクチン1回分が投与されます。

 野生型ポリオウイルスとワクチン由来ポリオウイルスがどこかで伝播している限り、サウジアラビアは、ポリオの発生がない国からのすべての入国者にも出発前にワクチンを接種していることを要請しています。

 すべての旅行者に、ワクチンで予防できる病気に対する予防接種を確認しておくことが、強く勧められます。国際旅行の準備は、旅行者が予防接種を受けていることを確認する機会になります。免疫が不完全な旅行者には、各国の予防接種スケジュール(通常は、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹、ムンプス)で勧められている定期予防接種を受けることが求められます。また、特定の旅行に必要な予防接種(例えば、Hajjにおける髄膜炎菌ワクチン接種)が求められます。

国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)が発生した場合、または国際保健規則2005に基づく通知の対象となる病気が発生した場合には、サウジアラビアの保健当局は、WHOとの協議を経て、巡礼期間に感染を拡げないために(上記にはない)追加の予防措置や、母国への送還措置が行われることがあります。

出典

WHO. International travel and health, Programmes. 4 August 2017
Health conditions for travellers to Saudi Arabia for the pilgrimage to Mecca (Hajj)
http://www.who.int/ith/updates/20170408/en/