2017年08月28日更新 チクングニア熱の発生-フランス

 2017年8月25日にWHO(世界保健機関)から公表された情報によりますと、フランスで国内感染によるチクングニア熱の発生が報告されています。

情報の詳細

 2017年8月23日までに、フランス南東部プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地方(主要都市はマルセイユ、ニース)で国内感染によるチクングニア熱患者4人が確定診断されました。また、感染の可能性の高い患者1人と疑い患者8人も(報告されて)います。

 最初に確認された患者は、2017年8月2日に発症しました。確定患者4人と感染の可能性の高い患者1人は、2017年8月2日から17日までの間に発症しました。

 地方保健局の発表によれば、確定患者4人、感染の可能性の高い患者1人、疑い患者8人を合わせた13人の年齢層は3歳から77歳で、Var(ヴァール)県Cannet des Maures (カネ・デ・モール)行政地区内の同じ区域で暮らす住人です。

 彼らは、フランスで初めて報告されたチクングニア熱患者ではありません。(これまでにも)2010年には同じ地方で国内感染患者2人が、また、2014年にはモンペリエでも患者11人が記録されています。それでも、チクングニア熱はヨーロッパ南部で発生している病気ですが、流行するとは考えられていません。感染を媒介するヒトスジシマカ(Aedes albopictus)は、地中海地域の大半とそこを越えた地域には定着しています。

フランス国家当局による公衆衛生上の取り組み

 この国の対策計画に則り、次のような対策がとられています。
・患者の家の周りと仕事場の周辺では媒介する蚊の駆除が行われています。
・疑い患者には血液検査を実施しています。
・地方保健局によって調整が図られ、リスクの情報が伝えられています。

 2017年8月10日には、昆虫の調査により、感染が発生した地域でヒトスジシマカの生息が確認されていました。また、感染が発生した地域では、採血が後回しにされてきました。

WHOのリスク・アセスメント

 国際的に(感染が)拡がる可能性があります。

 それは、以下の点に基づいています。
・地中海は全地域にヒトスジシマカが生息していること
・この媒介蚊は、過去にもチクングニア熱の流行を持続させる能力を証明していること
・現在、感染の発生している地域は、特に夏のシーズンで人々が盛んに観光に訪れており、ヒトスジシマカの生息が定着しているイタリアとの国境に近いこと

 チクングニア熱への感染は、2007年にイタリア北東部での大発生により、初めてヨーロッパで報告されました。その発生中に、患者205人が記録され、ヨーロッパでヒトスジシマカによる感染を考慮すべきであることが確認されました。

 チクングンア熱の不顕性感染(症候を示さない)感染は発見することができません。そのため、(感染が)広がるリスクも増加しています。また、感染が発生した地域では、今後数か月以内に降水量が多くなるため、2014年に見られたように、さらに感染伝播が高まる可能性があります。

WHOのアドバイス

蚊刺しへの予防
 日中に蚊に刺されることを防ぐために、フランスのこの地域で暮らす住民と旅行者は、基本的な予防対策を行うことが必要です。この対策には、虫除け剤の使用、長袖と長ズボンの着用、蚊の侵入を防ぐための網戸の設置などがあります。

 虫除け剤は、製品ラベルの指示を厳格に守って、露出した肌や衣服に塗布します。虫除け剤には、DEET、IR3535、またはイカリジンが含まれていることが必要です。人は蚊帳の中で睡眠を取り、空調や網戸を使って蚊に刺されないようにする必要があります。蚊取り線香やその他に気化器による殺虫剤にも、室内での蚊刺しを減らす可能性があります。

媒介する蚊の駆除
 ヒトスジシマカは、未使用の車両タイヤ、植木鉢の底の受け皿、雨水の貯留タンクや水槽、及び排水溝の溜まり場のような人工的な貯水地に加えて、木の穴や岩場の窪みなどの広範囲に水が溜まる場所で繁殖します。

 感染の予防と制御(の効果)は、こういった蚊の繁殖を助ける水の溜まり場での繁殖数を減らすことに大きく依存します。流行中、殺虫剤の室内での空間散布は、幼虫を殺す対策とともに、飛んでいる蚊(の成虫)を殺すために使用することができます。

 また、WHOは、蚊の発生調査の強化や、必要があれば、ヨーロッパ内でアルボウイルス感染症ネットワークを通じて、追加の感染対策を実施することを勧めています。感染の発生中は、医療者の間で蚊が媒介する感染症の再発への注意を高め、感染の発生した地域における地域活動への取り組みを通じて、(感染への)注意意識を向上させる必要があります。

血液の安全

 国による血液(提供)サービスおよび/またはその規制当局は、疫学情報に注意し、輸血に潜在するチクングニア・ウイルスの感染伝播を検出するために、監視体制を強化する必要があります。疫学的な発生状況とリスク・アセスメントに基づいて、輸血によりこの他(の感染症を加え)蚊が媒介する感染症を防止するための対策に沿った適切な予防措置を講じる必要があります。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 25 August 2017
Chikungunya - France
http://www.who.int/csr/don/25-august-2017-chikungunya-france/en/