2017年08月28日更新 ジカウイルス感染症の発生状況について (更新8)

2017年8月25日付けでPAHOより発表されたジカウイルス感染症(いわゆるジカ熱)の発生状況に関する報告です。

ジカウイルス感染症の発生状況は以下のとおりです。

発生状況の概要

2016年第44週以降、蚊の媒介によるジカウイルス感染症で新たに確認された国や地域はありません。これまでのところ、アメリカ大陸の48の国と地域で、蚊の媒介によるジカウイルス感染症への国内感染が確認されました。一方、性交渉によるジカウイルス感染症患者が5か国から報告されました。

北アメリカ
アメリカ合衆国フロリダ州保健局には、フロリダ州のどの地域からもジカウイルスの感染伝播は確認されておらず、2017年に入って現地で感染した患者も報告されていません。また、テキサス州では、2017年第30週に州・健康局とHidalgo(ヒダルゴ)郡から、2017年になって現地で媒介昆虫により感染伝播した可能性の高い患者が報告されました。

一方、メキシコでは、2017年第16週から第27週まで、確定患者の増加が観察されました。これは、同時期に国内でみられたデング熱と同じ傾向でした。ジカウイルス感染症確定患者の約51%が、2017年最初の32週間での、Nayarit(ナヤリット)州の患者171人、Tamaulipas(タマウリパス)州の患者146人、San Luis Potosí(サン・ルイス・ポトシ)州の患者123人で占めています。また、これらの州での確定患者数は、2015-2016年の数よりも多くなっています。

中央アメリカ(中米)
中米ではベリーズとコスタリカで2017年第21週から第30週にかけて疑い患者と確定患者が平均で117人報告されていることに伴い、僅かに増加したことから、2017年第20週から第30週にかけての疑い患者と確定患者には小さな山が観察されました。

カリブ海諸国
カリブ海にある国と地域では、患者の報告が散発的に続いており、2017年第21週から第30週にかけて疑い患者と確定患者が週平均で252人報告されています。プエルトリコでは、この10週間、報告される患者の数は減ってきています。

南アメリカ(南米)
南米では、2017年第4週から第20週までに疑い患者と確定患者に増加傾向がみられたエクアドルを除いて、2017年第14週以降、疑い患者と確定患者の減少傾向がみられました。この地域では、2017年第21週から第30週にかけて疑い患者と確定患者が週平均で293人報告されました。

ジカウイルス感染症に関連する先天性症候群

2015年10月以降、アメリカ大陸の27の国と地域で、ジカウイルス感染症と関係することの確認された先天性症候群が報告されてきました。前回の疫学情報の更新以降、ジカウイルス感染症に関連する先天症候群患者が報告された国と地域に、ガイアナが加えられました。この4週間(2017年第30週から33週まで)に、ブラジル、コロンビア、エクアドル、マルティニーク、メキシコ、パナマ、プエルトリコおよびアメリカ合衆国で、ジカウイルス感染症に関連する先天性症候群の患者数が更新されました。

ギラン・バレー症候群(GBS)およびその他の神経障害

前回の疫学情報の更新以降、ジカウイルス感染症と関連するギラン・バレー症候群もしくはその他の神経症候群が初めて確認された国も地域もありません。

出典

PAHO/WHO.Epidemiological Alerts and Updates. 25 August 2017
Zika - Epidemiological Update
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=41705&lang=en