2017年08月30日更新 コレラの発生状況- ケニア(更新3)

アフリカにおける感染症の発生状況の週報[第34週(8月15日-8月25日)]が公表されました。ここでは、ケニアでのコレラの発生状況について取り上げます。

コレラの発生状況

ケニアでは、この数週間、コレラの流行が大きく改善されてきました。ピーク時には患者が(1週間で)300人に達していましたが、第30週以降、(週毎の)発生数が大幅に減少してきました。第33週(2017年8月20日までの週)には、4つのカウンティから、新たに疑い患者19人が報告されました。内訳は、ナイロビで11人、Nakuru(ナクル)で3人、Turkana (トゥルカナ) で3人、Garissa (ガリッサ) で2人でした。死亡者はでていません。今年の初めから、8月20日までに、死亡者33人(致死率1.5%)を含め、患者が2,232人報告されています。今週、患者が報告されたカウンティに加えて、他にも4つのカウンティ (Kajiado、Kisumu、Siaya、Machakos)では、この2週間のうちに患者が報告されているため、活発なコレラの感染伝播があると考えられています。ケニアでは、今年になって47カウンティのうち16カウンティで感染が発生しました。

2014年12月以降、ケニアでは連続的にコレラの大規模な流行を経験しており、累計で患者19,248人が報告されています(2015年に10,568人、2016年に6,448人、2017年に2,232人)。直近の流行の波では、ナイロビ市(人口の60%が本来は居住地でない地域に住んでいる)、ガリッサ・カウンティのDadaab難民キャンプなど、人口が密集している地域で、患者が発生しています。

公衆衛生上の取り組み

  • 多岐にわたるコレラ緊急対策会議が、週2回、流行への対策の調整を行っています。この会議には、保健省、ナイロビ・カウンティ行政組織、灌漑計画省、ナイロビ上下水道公社、観光省、に加えて、WHO、UNICEF、ケニア赤十字協会(KRCS)、米疾病対策予防センター(CDC)、Amref Health Africa(AMREF)、国境なき医師団(MSF)などの支援組織も加わっています。
  • 公衆衛生緊急運営センターは、対策委員会の下部組織で調整を担当する現地の管理担当者と連携しながら、活動を維持しています。そこでは、疫学/(疾病)調査、患者の治療、検査、WASH(飲料水、下水道、衛生環境を向上させるための活動)、感染リスクの情報共有、(必要)物資などが、行われています。
  • 保健省とナイロビ・カウンティは、すべての飲食店で検査を実施し、食品の安全への慣行を強化しています。食品の取り扱い業者の検査、人、食品、環境中から病原体を検出するために行う検査検体および試料の採取および収集、公衆衛生上の基準を満たさない飲食店の閉鎖などを行っています。
  • ナイロビでは、コレラ治療センター(CTC)が、感染伝播が活発な地点に開設されました。感染した人は、近くの健康保健のための治療センターを受診することを、強く勧められています。
  • CDCは、公衆衛生緊急運営センターで(対策の)調整のための技術支援を行っています。また、患者の(発生)地図の作成も支援しています。
  • 保健省は、AMREF、UNICEF、WHOと協力しながら、感染した人たちへの感染リスクの情報共有や地域社会活動を行っています。そこでは、どこに行けば(これらの)支援を受けられるのか、衛生管理や水の取り扱いに関する健康相談を受けられるのかを、彼らに知らせています。
  • AMREF、UNICEF、赤十字協会は、ナイロビ・カウンティで対策活動を拡げています。その対策には、コレラ治療センターの設立、地域の健康保健ボランティア活動員の訓練、5万世帯での安全な水の取り扱いに対する意識の向上、接触者の追跡(追跡した接触者は900人に上る)、性別に配慮した衛生設備40か所の建設などがあります。
  • WHOは、感染発生の管理、早期警戒体制および水質検査に関して、カウンティ・レベルの緊急対策チームを再編成する支援を行っています。
  • ナイロビ上下水道公社は、水道管に十分な圧力を確保し、給水車での水を無料配布するなど、感染の発生した地域への給水を強化しています。
  • 水の処理薬品(塩素錠剤)を配布しており、飲料水試料での遊離残留塩素の検査も行われています。

発生状況への認識

ケニアでのコレラの流行は、国家当局と支援組織による集約的な介入が続けられた結果、この数週間で大幅に改善しました。この流行は、ナイロビ市で共通の感染源から感染が伝播し、いくつもの事例から拡大していきました。コレラ患者の大幅な減少は、適切に対策が取られれば、コレラの感染管理が可能であることを示しています。(それでも)現在も進行中の対策を維持し、この流行が完全に制御されたことを確認するまでは、国家当局および支援組織に責任は残されています。このため、中長期的に(流行に)備え、国内に潜在するコレラの再興を回避するための予防対策が続けられることが必要です。

出典

AFRO/WHO. Outbreaks and emergencies updates, Programmes. 25 August 2017
Weekly Bulletin on outbreaks and other emergencies. P.6. Week 34: 19 - 25 August 2017
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/258794/1/OEW34-192582017.pdf[PDF形式:3,266KB]