2017年09月13日更新 中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の発生報告(更新17)

 2017年9月12日にに公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、2017年8月30日に、オマーンの国際保健規則国家担当者から中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)患者1人が報告させました。前回、オマーンから報告のあったのは、2016年11月29日でした。

患者の詳細情報
 患者に関する情報は、下記のリンク先から閲覧することができます。
 MERS-CoV case reported on 30 August 2017

 新たに報告された患者は、Al Musanaa Batinah地区に住む54歳の男性です。

 WHOは、世界中で少なくとも722人の関連する死亡報告を含めて、検査で確定された2,080人のMERS-CoV感染の患者報告を受けています。

公衆衛生上の取り組み
 
オマーン健康省は、接触者の追跡、家族並びに患者が治療を受けた病院の医療従事者に対し経過観察を行っています。医療従事者を含む、症状のある者およびハイリスクの家族内接触者に対する検査が行われています。オマーンMERS-CoVガイドラインに基づき、地域住民及び患者と接触のあった者に対して、感染予防、旅行、人込みを避けることなど、関連する事項についての教育が行われています。

WHOによるリスクアセスメント 
 
MERS-CoVは、高い致死率につながるヒトの重症感染症を引き起こします。ウイルスを保有するヒトコブラクダとの濃厚接触が、ヒト感染の原因です。MERS-CoVはヒト-ヒト感染を起こすことが判明しています。今までのところ、ヒト-ヒト感染は主に医療施設にて起こっています。

 今回のような新規症例の報告が、総体的なリスク評価を変えるものではありません。WHOは、中東におけるMERS-CoV感染の新規症例と、動物との接触または動物由来食品の摂取(例としてヒトコブラクダ)や医療施設のような場所における感染者との接触の結果、感染した個人が他国へと移動し輸入症例となった場合について報告を求めています。WHOは疫学的状況に対する監視を続け、最新情報に基づくリスク評価を行います。

WHOからのアドバイス
 
現状と入手可能な情報に基づき、WHOは加盟国に、急性呼吸器感染に対する疫学調査の継続と非典型的症例の洗い出しを推奨しています。

 感染予防と制御手技が、医療施設におけるMERS-CoVの拡大阻止のために必須です。MERS-CoVの初期症状が非特異的であることが、MERS-CoV症例を見分けることを難しくしています。従って、医療従事者はどのような診断の患者に対しても、常に標準予防策を実施すべきです。急性呼吸器感染の症状を呈する患者に対しケアする際には、標準予防策に加え飛沫感染の予防が必要です。MERS-CoV感染の疑似症例や確定症例に対しケアする際には、接触感染の予防と眼球の保護が必要です。エアロゾルの発生する手技を行う際には、飛沫核感染の予防が必要です。

 MERS-CoVについて更なる理解が進むまで、糖尿病、腎不全、慢性肺疾患や免疫不全の罹患者は、MERS-CoV感染により重症化するリスクが高いとされています。従って、これら罹患者はウイルスが蔓延っている恐れのある農場、市場や家畜小屋を訪れる際には、動物、とりわけラクダとの濃厚接触を避けるべきです。動物に触れる前後に必ず手を洗うことや、病気の動物に触れないようにすることなど、一般的な衛生手技を厳守すべきです。

 食品衛生の実践を心掛けるべきです。ラクダの生乳や尿の飲用、適切に調理されていない肉の食用を避けるべきです。

 WHOは、MERS-CoVに関する渡航や貿易の制限や入国スクリーニングの適用を勧めてはいません。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 12 September 2017
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) - Saudi Arabia
http://www.who.int/csr/don/12-september-2017-mers-oman/en/