2017年09月14日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況 (更新22)

 2017年8月18日,25日と9月4日に、中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は、中国における鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの感染が検査で確定した患者4人を、WHOに追加報告しました。

報告の詳細

2017年8月18日の報告:鳥インフルエンザA(H7N9)患者1人
 患者は湖南省に住む47歳男性で、2017年8月9日に発症、2017年8月12日に入院しました。2017年8月13日に亡くなりました。生きた家禽の市場で接触機会がありました。

2017年8月25日の報告:鳥インフルエンザA(H7N9)患者2人
 1人目の患者は73歳の男性で、2017年8月7日に発症、2017年8月14日に重症肺炎で入院しました。生きた家禽の市場で接触機会がありました。2人目は74歳の男性で、同じく2017年8月7日に発症、2017年8月12日に重症肺炎で入院しました。生きた家禽の市場における接触機会はありませんでした。両者とも報告のあった時点では重篤な病状です。いずれも新疆ウイグル自治区在住ですが、異なるコミュニティに住み、疫学的な関連は無いようです。

2017年9月4日の報告:鳥インフルエンザA(H7N9)患者1人
 江蘇省に住む58歳男性です。2017年8月9日に発症し、2017年8月14日に入院しました。2017年8月25日に亡くなっています。生きた家禽の市場で接触機会のあったことが報告されています。

 2013年初頭からこれまでに、IHRを通して、鳥インフルエンザA(H7N9)の確定診断患者1,562人が報告されています。

公衆衛生上の取り組み

 新規の鳥インフルエンザA(H7N9)感染症例の報告頻度が、この数週間で減少してはいるものの、過去の流行状況と最近の流行パターンを考慮に入れると、今なお中国では散発的な症例発生が引き続き起こるであろうと、中国政府は事態を評価しています。

 このため、中国政府は国と地域レベルで、以下を含む防疫措置を継続します。

・各省に対し、事態評価,感染予防と制御手法を強化することを継続指導する。
・各省に対し、現在の発生頻度が低い時期を利用して、長期展望での措置の実施促進のために行われた、従来の感染予防と制御活動を見直すよう指導する。
・感染リスクの啓蒙と事態に関しての情報伝達を継続し、公衆に自己防御を身に付けてもらう。

 感染予防と制御を軽視してはならない、新規症例を適時かつ効果的な方法で確実に発見対処できるよう警戒を解いてはいけないと、中国政府は警告しています。

WHOのリスク評価

 近年見られたように、毎週報告される患者数は、夏の数か月にわたり減ってきています。しかしながら、2016年10月1日以降に発生した5回目の流行の波での鳥インフルエンザA(H7N9)の患者数と地域分布は、これまでの流行の波よりも大きくなっています。これは、ウイルスが広がっていることを示しており、人と動物、両方の健康領域でより強化した調査活動と感染制御対策が重要であることを強調しています。

 ほとんどの患者は、生きた家禽を扱う市場などで、感染した家禽との接触またはウイルスに汚染された環境との接触を通して、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに曝されています。このウイルスは動物や環境中で検出され続けており、生きた家禽の販売が続けられているため、さらに患者が発生することが予想されます。まだ患者が報告されたことのない中国各省でも、新たに鳥インフルエンザA(H7N9)への散発的な感染者の発生は、予想されます。また、中国と国境を接する国で、散発的に鳥インフルエンザA(H7N9)の患者が発生することは、予想されないことではありません。これまでにも同じ病棟にいた患者が関係した事例など、小さな集団で鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスへの感染が発生したことは報告されてきましたが、現在の疫学的・ウイルス学的な根拠からは、このウイルスが人と人との間で感染伝播を維持し続ける能力は獲得していないことが示唆されています。そのため、地域レベルで感染が拡がる可能性は低いと考えられます。

 直近のウイルスの疫学的な発生状況や新たな特徴について詳細に分析することは、速やかに関連するリスクを評価し、そのリスクを管理する手法を整える上で不可欠となります。

WHOからのアドバイス

 WHOは、鳥インフルエンザの発生が確認されている国への渡航者に対し、可能な限り養鶏場への立ち入り、生きた家禽類を扱う市場での動物との接触、家禽を解体する場所への立ち入り、家禽や動物の排泄物で汚染されているとみられるあらゆる物品との接触を避けることを勧めています。渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全(への注意)と衛生習慣の維持に努めるべきです。

 WHOは、この事象に関連して、特別な入国スクリーニングおよび渡航や貿易の制限を行うことを推奨してはいません。これまでと同様に、鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航中又は帰国した直後に、渡航者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザウイルスへの感染を鑑別診断として考えておくことが必要です。

 WHOは各国に対して、重症急性呼吸器感染症(SARI)およびインフルエンザ様疾患(ILI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続し、通常と異なる傾向がないか慎重に調査し、人での症例が発生した時には国際保健規則(2005)に基づき必ず報告し、引き続き各国国民の健康維持に備えることを要請しています。

 中国に滞在される方は、今後も情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしてください。入国の際に、発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合には検疫所に相談してください。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 13 September 2017
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus - China

http://www.who.int/csr/don/13-september-2017-ah7n9-china/en/