2017年10月03日更新 マダガスカルのペスト発生への感染対策の強化-WHO

2017年9月29日に、マダガスカルでペストの発生が、WHOからの緊急感染症ニュースで報告されたところですが、10 月1日には、WHOのハイライト記事でも感染対策の強化が取り上げられています。さらに、10月2日にもWHOからの緊急感染症ニュースで報告されています。人から人へと伝播しやすい肺ペスト患者の割合が多く、警戒を強めているようです。ここでは、10 月1日のWHOハイライト記事を紹介します。

記事の詳細

WHOは、マダガスカルで、この数週間のうちに100人を超える感染が発生し、首都や港湾都市で拡大していることから、ペストの感染発生に対する対策の規模を早急に拡大しています。

マダガスカル政府は、肺ペストによってセーシェル国民1人が死亡したことを確認しました。マダガスカル島をスポーツ・イベントのために訪れていたバスケットボール・コーチが、水曜日(9月27日)に、アンタナナリボの病院で死亡しました。

保健当局は、最近になって接触機会のあった人や病気を発症した時に接した人など、接触者を追跡しています。確認されれば、予防対策として、感染を予防するための抗生物質が投与されます。

この事態は、8月末に感染の発生が確認されてから、少なくとも114人での感染と、死亡者21人をもたらしています。

WHOマダガスカルの代表者Charlotte Ndiaye博士は、「WHOは、ペストが既にいくつも都市で発生しており、通常、9月から4月まで続く流行期が始まる時期にあたることから、さらに(流行が)拡大することを懸念しています。」と述べています。

また、「私たちのチームは、マダガスカルで、技術指導、(リスク)評価の実施、疾病調査への支援、地域社会との交流などを行っています。衛生保健・活動員の調整など、政府の取り組みを支援するために、できる限り、あらゆることに取り組んでいます。」とも、述べました。

WHO職員とGOARN(地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク)からの対策支援者らの追加派遣が展開されており、抗生物質、個人用保護具、その他・消耗品の供給の増強が行われています。

WHOは、展開する活動の規模を拡大するために直ちに必要とされる緊急資金および医療物資として30万米ドルを拠出しました。また、この対策を支援するために150万米ドルを求めています。

ペストは、マダガスカルに常在する病気で、毎年約400件の腺ペストが報告されています。(しかし)過去の流行とは対照的に、この(流行の)ひとつは感染が大都市部で発生しており、感染伝播の危険が増しています。これまでに確認された患者数は、毎年、この時期に予想される患者数を上回っています。

腺ペストはノミに咬まれたネズミによって拡がりますが、肺ペストは人から人へと感染が拡がります。今回の流行には、両方の病態のペストが含まれています。これまでに確認された患者の約半数が肺ペストです。

ペストは貧困で起こる病気です。衛生状態が悪く、保健医療サービスが不十分な場所で(感染が)大きくなります。治療しないままに放置すると、急速に死に至りますが、一般に使用されている抗生物質を早期に服用すれば、治療できます。

前回、2016年12月に報告された流行は、主に僻地で発生した腺ペスト(によるもの)でした。

出典

WHO.News release. 1 October 2017
WHO scales up response to plague in Madagascar
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2017/response-plague-madagascar/en/

参考

WHO.Disease outbreak news, Global Alert and Response(GAR). 29September2017
Plague-Madagascar
http://www.who.int/csr/don/29-september-2017-plague-madagascar/en/

厚生労働省FORTH 最新ニュース
ペストについて(ファクトシート)(2017年5月)
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2017/05021422.html

◆外務省海外安全ホームページ:マダガスカルにおけるペストの流行
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2017C207.html