2017年10月05日更新 ペストの発生報告 - マダガスカル(更新3)

マダガスカルでペストの発生について、10月3日付けでWHO International travel and health(国際旅行および健康に関するウェブサイト)でも、旅行者に向けてペストへの注意を喚起する情報が発信されています。

ペストの発生状況

マダガスカルでは、2017年8月以降、肺ペストの流行が続いています。9月30日までに、死亡者17人を含め、73人の肺ペスト患者(疑い患者、感染の可能性の高い患者、確定患者を含む)が報告されました。また、全国では、死亡者7人を含む58人の腺ペスト患者が報告されています。このうち、最も発生の多かった都市は、首都Antananarivo(アンタナナリボ)の中心部とその郊外、Toamasina(トアマシナ)、Faratshioです。患者は、AmbatondrazakaAmbohidratrimoAndramasina、Ankazobe、Anosibe An'ala, Anta-Atsimondrano、Anta-Avaradrano、Anta-Renivohitra、ArivonimamoFaratsiho, MaevatananaMahajanga IMiarinarivo、Moramanga、Toamasina IToamasina IITsiroanomandidy、Vohémar、Ambalavaoの街からも報告されています。ペストは、マダガスカルに常在する病気です。腺ペストは、流行シーズン(9月から4月)には、ほぼ毎年、報告されています。しかし、今回のような肺ペストの発生が続く事態は、(ペストが)常在していない地域および人口が密集する都市で、初めて報告されています。

国際旅行する者へのアドバイス

現在入手できている情報に基づけば、ペストが国際的に拡がる可能性は極めて低いと思われます。(したがって)WHOは、入手できている情報に基づき、マダガスカルに対し旅行や貿易に関していかなる制限も掛けないよう助言しています。国際旅行者は、現在のペストの発生状況およびマダガスカルでペストが常在していることを知っておくことが必要です。また、国際旅行者は、もしも症状が現れたならば、直ぐに医療機関を受診し、予防のために曝露後の化学的予防投与についてのアドバイスを受けることが必要です。

さらに、旅行者は、マダガスカルではマラリアが常在しており、マダガスカルへの旅行の際にはWHOが推奨する抗マラリア予防薬を検討すべきことも知っておくべきです。

マダガスカルを国際旅行する者がペスト菌(Yersinia pestis)に感染するリスクは、一般的には低いです。しかし、ペストが常在する僻地を旅行する者の場合、特に、キャンプや狩猟、げっ歯類との接触がある場合には、感染リスクに遭遇する可能性があります。旅行者は、これまでに(ペストが)常在していない地域でも、最近になって肺ペストが報告された地域では、人の密集したところを避け、死んだ動物や、感染した組織と組織に触れた物品などとの接触や肺ペスト患者との濃厚な接触を避ける必要があります。旅行者が蚊に対して身体を保護するために使用する虫除け剤は、ノミの咬傷からも保護できることがあります。虫除け剤は、ノミや他の吸血昆虫からも等しく身体を守る可能性があるからです。DEET、IR3535、イカリジン(KBR3023)、ピカリジンなどの活性成分に基づく製剤(ローションまたはスプレー)は、WHO殺虫剤評価制度(WHOPES)から推奨されています。腺ペストを伝播するげっ歯類に付くノミからの感染制御対策の指針がWHOによって示されています。

発熱、悪寒、痛みを伴うリンパ節の炎症、または咳や血痰を伴う息切れなどの急な症状が発現した場合、旅行者はすぐに医療機関に連絡する必要があります。

予防薬投与による治療は、ペスト患者に接触した人や、その他、接触リスクの高い人(感染したノミの咬傷や感染した動物の体液や組織との直接に接触したなど)にのみ推奨されます。旅行者は、肺ペスト患者に接触した又は接触の可能性があった場合、他にも高い接触リスクがある場合、民間の診療所や担当当局に知らせ、化学的予防投与についての医学的なアドバイスを受けることが必要です。旅行者は、医療従事者の勧めがない限り、抗菌薬を予防薬として服用すべきではありません。また、マダガスカルへの旅行から帰国したときには、旅行者は上述した症状に注意しなければなりません。そして、その症状が現れたならば、旅行者は直ぐに医療機関を受診し、医師にマダガスカルへの渡航歴のあることを知らせることが必要です。

出典

WHO.Information for international travelers, International travel and health. 3 October 2017
Plague-Madagascar
http://www.who.int/ith/updates/20171003/en/

参考

◆外務省海外安全ホームページ:マダガスカルにおけるペストの流行
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcspotinfo_2017C207.html