2017年10月25日更新 デング熱の流行- パキスタン

2017年10月19日付けでWHO東地中海地域事務局(EMRO)より、パキスタンで発生しているデング熱の流行状況が報告されています。

情報の詳細

パキスタンKhyber Pakhtunkhwa(カイバル・パクトゥンクワ州)の州保健局には、2017年7月19日に初めて発生が報告されて以降、累計でデング熱疑い患者が74,820人(確定患者15, 828人と死亡者54人)報告されています。

州都ペシャワール地区では、疑い患者が現在までの合計で68,142人(確定患者14,035人と死亡者50人を含む)となり、最も多くの患者が報告されています。

州保健局は、WHOの協力の下、デング熱・対策部隊を組み対策を主導しています。ここでは、調査活動、検査による診断、患者の治療と管理、社会活動員の動員などの領域で医療従事者に向けた(対策)方針の指導と支援の提供が行われています。WHOは、医療系職員30人に対して患者管理の訓練を提供し、媒介する蚊の駆除対策のために昆虫学者に向けた緊急訓練会を開催しました。

この地域の住民に感染流行の危険性を周知させるために、注意喚起への啓発の集会が、宗教指導者、学校教師、デング熱の原因と予防法について地域住民に助言する主導者たちに向けて開催されました。女性の医療従事者が、デング熱の症状を理解し、疑わしい患者を保健当局に連絡できるように、地域住民の教育に関わってきました。

さらに、ペシャワール地区のあらゆる地域では190,000を超える世帯に、(散布用の)殺虫剤を散布し、デング熱の予防に関する健康教育が行われています。

デング熱は蚊によって媒介されるウイルス感染症であり、重度のインフルエンザ様の病態を引き起こします。また、ときには、重症デング熱と呼ばれる致死的な合併症を引き起こすことがあります。このウイルスは、ウイルスを保った雌のシマカ属の蚊に刺されることで人に伝播し、感染した人の血液からウイルスを獲得します。デング熱は、世界で最も速く伝播するウイルス感染症の1つであり、パキスタンに常在しています。

出典

EMRO/WHO.Outbreaks, Surveillance, forecasting and response. 19 October 2017
Dengue in Pakistan:outbreak update
http://www.emro.who.int/surveillance-forecasting-response/outbreaks/dengue-in-pakistan-outbreak-update.html