2017年10月30日更新 世界の麻しんの発生状況- WHO

 2017年10月26日付けでWHOより、世界の麻しんの発生状況の記事が掲載されています。年々、麻しんによる死亡者数は減る傾向にありますが、それでも年間9万人が麻しんで死亡しています。

記事の詳細

 今日、主要な保健機関から公表された新たな報告書に基づけば、2016年には、麻しんによる死亡者は約90,000人となりました。これは、2000年の死亡者数550,000人からは、84%の減少になります。初めて、世界の麻しんによる死亡者が、年間100,000人を下回った時を迎えました。

 「麻疹ワクチンによって、年間平均で130万人の命を救えていることは、素晴らしい成果であり、私たちの生涯のうちに、世界が麻しんから解放される可能性がでてきました。おそらく、そうなるでしょう。」と、麻疹・風疹イニシアティブ(MR&I)に所属し、疾患管理の推進とワクチンで予防可能な疾患の部門の主任Robert Linkins博士は述べています。M&RIは、2001年に、アメリカ赤十字社、米国疾病対策予防センター、国連財団、ユニセフ、WHOによって作られた共同組織です。

 2000年以降、定期的な予防接種サービスと大規模なワクチン接種キャンペーンを通じて、麻しんを含むワクチン約55億回分が子どもたちに投与され、約2040万人の命が救われました。

 「20年以上にわたり、私たちは麻しんによる死亡者を大幅に減少させています。それでも、私たちは、現在も、麻しんの発生率がゼロになるように取り組んで行く必要があります。」「麻しんワクチンが、どこに住んでいても、すべての子どもに届けられたときにのみ、麻しんの撲滅は達成されます。」と、WHO予防接種・ワクチン部門の担当主任Jean-Marie Okwo-Bele博士は述べています。

 世界は依然として、各地域における麻しん撲滅からは遙かに遠く、目標には届いていません。必要とされる麻しんワクチン2回の接種のうちの初回接種は、麻しんへの感染を阻止するために必要な95%の接種率には程遠く、2009年以降、約85%で停滞しています。2回目の接種率は、最近は増加しているものの、64%に過ぎません。

 2,080万人というあまりにも多くの子供たちが、まだ初回の麻しんワクチンを接種できずにいます。主な6か国として、このうちの半分はナイジェリアでは330万人、インドでは290万人、パキスタンでは200万人、インドネシアでは120万人、エチオピア90万人、コンゴ民主共和国では70万人で占められています。麻しんは非常に感染性の強いウイルス性疾患であるために、これらの国々とともに、ヨーロッパや北米の他の国でも大規模な流行の発生が続いており、子どもたちは、肺炎、下痢、脳炎、失明などの重篤な合併症のリスクに曝され、死に至ることもあります。

 政府関係機関は、定期的な防接種サービス、麻しんおよび風しんワクチン接種キャンペーン、調査活動サーベイランスをポリオ基金の人的・物的資源が支援しているため、ポリオ根絶の後に規模が縮小され、消滅してしまうと、麻しん撲滅への進展が後退する可能性があることを指摘しました。麻しんによる死亡者が最も多い国では、ポリオ基金からの人的・物的資源への依存度が高く、ポリオ根絶が達成された後に(麻しん撲滅への)進展が後退するリスクが最高度に達します。

 「麻しんによる死亡者の大幅な減少は、世界の最貧国の何百万人もの子どもたちにワクチンを接種している保健医療の従事者、行政、開発機関などが長年にわたり取り組んできたことの集大成です。」「しかしながら、(まだ)私たちが満足できるものではありません。まだ、命を救うワクチンを受けられずにいる子どもたちが多すぎます。これらの子どもたちに(ワクチンを)届け、私たち自身が麻しん撲滅への現実的な道を歩むために、私たちは、頑強な保健医療システムを背景に、定期的なワクチンの接種を劇的に向上させることが必要です。」と、GAVI(ワクチンと予防接種のための世界同盟)の最高責任者であり、麻しん予防接種プログラムの世界最大の支持者でもあるSeth Berkley博士は述べています。

麻しんの撲滅について

 麻しんの撲滅は、良好な監視体制の存在下で、地域やその他にも定義された地理的区分において、12か月以上にわたり麻しんが常在していないことと定義されています。

 2001年に発足した麻疹・風疹イニシアチブ(M&RI)は、アメリカ赤十字、国連財団、米国疾病対策予防センター、ユニセフ、WHOによって主導されています。M&RIは、2015年までに麻しんでの死亡率を95%低下させながら、麻しんで死亡したり、先天性風疹症候群で生まれたりする子どもをなくし、2020年までに最低でも少なくとも5つのWHO事務局の管轄地域で、確実に麻しんと風しんを撲滅させることに、責任をもって活動しています。2002年以降、アメリカ大陸地域では、麻しん撲滅の状態が続いており、ヨーロッパと西太平洋地域では大幅な撲滅への進展がみられました。WHOが管轄する6地域すべてで、麻しんの撲滅が目標として設定されています。

出典

WHO. Joint news release CDC/GAVI/UNICEF/WHO, Media centre, 26 October 2017
Substantial decline in global measles deaths, but disease still kills 90 000 per year
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2017/decline-measles-death/en/