2017年11月02日更新 ヨーロッパでの麻しん流行のアメリカ大陸への影響(更新)

 2017年10月27日付で、汎米保健機関(PAHO)より、ヨーロッパでの麻しん患者の報告が増加していることを踏まえて、(アメリカ大陸地域でも)人々を麻しんと風しんから防ぐために、調査活動の体制を強化し、適切な対策を実施することと、アメリカ大陸地域でこれらの病気が既にゼロである状態を維持することに努めることを、加盟国に要請しました。 ここでは、公表された注意喚起情報のうち、発生状況についての要旨を紹介いたします。

世界における発生状況の概要

 2016年9月から2017年8月にかけて、ヨーロッパ地域の国々からは麻しんが確定診断された患者15,516人が報告されました。そのうち、83%(12,921人)が2017年に報告されました。この間、ルーマニアで発生率が最高(人口100万人あたり259人)であり、次いでイタリア(人口100万人あたり80.5人)、タジキスタン(人口100万人あたり77人)と続いていました。
 2017年には、麻しんが55%(7,152人)で検査確認(血清学的検査、ウイルスの検出・分離)されました。残る患者は、疫学的な関連性や臨床経過の一致から(麻しんと)分類されました。ここで同定された遺伝子亜型は、D8(n=405)、B3(n=547)、H1(n=22)、D9(n=1)でした。

 この他の大陸では、2016年から2017年にかけて、中国、エチオピア、インド、インドネシア、ラオス、モンゴル、フィリピン、ナイジェリア、スリランカ、スーダン、タイ、ベトナムなどで、麻しんの流行が報告されました。

アメリカ大陸における発生状況の概要

 アメリカ大陸では、2017年第1週から第41週までに、アメリカ大陸地域の3か国から合計で麻しん確定患者168人が報告されました。内訳は、アルゼンチン(3人)、カナダ(45人)、アメリカ合衆国(120人)でした。また、第35週から第40週までに、ベネズエラ・ボリバル州Caroni行政地区の10小教区から麻しん疑い患者570人が報告されました。このうちの患者217人(検査基準を満たしたのが153人、疫学的な関連性からの診断が64人)が麻しんと確認されました。残る292人が検査の結果を待つ状態であり、61人は診断が棄却されました。疑い患者の約77%が10歳未満、56%が男性でした、これまでのところ、麻しんによる死亡者は報告されていません。
 アメリカ大陸で確認されたすべての患者が、他の大陸からの感染輸入、感染輸入との関連、感染源不明の何れかでした。同定された遺伝子亜型は、アルゼンチンがD8、カナダとアメリカ合衆国がB3とD8でした。ベネズエラで同定された遺伝子亜型は、D8でした。但し、ブラジルで昨年に同定された系統とは異なっていました。
 南北アメリカ地域は、国際専門家会議(IEC)が2015年に風しんに対して、2016年に麻しんに対して、それぞれにゼロとなったことを宣言した最初の地域でした。このため、これらの排除達成を維持するための取り組みを続けていくことが重要です。麻しんウイルスの侵入および拡散を防ぐための軸となる対策は、感染し易い人々へのワクチン接種と、麻しん疑い患者と風しん疑い患者をどんな場合でも速やかに発見することに十分な感知度を備えた質の高い調査体制の実施になります。

 他の大陸では(現在も)麻しんウイルスと風しんウイルスの感染伝播が続いていることや、2016年に国際旅行でアメリカ大陸に降り立った人が4%増加していることを踏まえると、ワクチン未接種の旅行者の中から患者が発生することが予想されます。

出典

PAHO. Epidemiological Update. 27 October 2017
Measles
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=42735&lang=en