2017年12月18日更新 ジフテリアの発生状況-アメリカ大陸(更新)

 2017年12月15日付で、汎米保健機関(PAHO)より、ジフテリアの発生状況について報告がありました。

アメリカ大陸におけるジフテリアの発生状況の概要

 2017年第1週から第49週までに、ブラジルドミニカ共和国ハイチベネズエラで、ジフテリア確定患者が報告されました。それぞれの国からの報告が示されています。

 ブラジルでは、2017年第49週までに、ジフテリア疑い患者42人が報告されました。報告は14州に分布しており、このうち4人の確定患者が、Acre(アクレ)、Minas Gerais(ミナス・ジェライス)、Roraima(ロライマ)、 São Paulo(サンパウロ)の各州からでています。診断は1人が検査確定診断、3人が臨床的診断基準によるものでした。4人のうち(検査診断患者を含む)2人はワクチンを接種しておらず、2人はすべてのワクチン接種計画を完了できていませんでした。

 確定患者の年齢幅は4歳から51歳までで、男性が3人、女性が1人でした。死に至った確定患者が1人ありました、この患者は以前に検査診断による確認が報告された患者で、ベネズエラからの感染輸入でした。この患者に関連する二次感染の患者はなく、ブラジルでは新たに感染が輸入された患者も報告されませんでした。

 ドミニカ共和国では、前回、11月15日のジフテリア疫学調査の情報更新時に、ジフテリア確定患者が3人報告されていました。しかし、公衆衛生・社会扶助の省庁は1人をジフテリアと確定させましたが、残る2人の患者は臨床上の診断基準と検査結果から診断棄却しました。死亡者はでていません。

 ハイチでは、2014年に感染の流行が始まりました。2017年第48週までに、ジフテリア感染の可能性の高い患者348人が報告されており、発生が続いています。このうち、46人が死亡しました。2017年最後の3半期には、その前の期と比べて、患者の増加が観られています。

 2017年第1週から第48週までに、感染の可能性の高い患者152人が報告されました。致死率は10%でした。これらの患者のうち、59%が女性、76%が10歳未満のこどもでした。これら可能性の高い患者のワクチン接種歴は、ワクチンを接種していた者が11%、ワクチンの接種状況について分からなかった者、(確認できる)情報をもっていなかった者が89%でした。感染の可能性の高い患者の大部分(71%)がArtibonite(アルティボニット、38%)県およびOuest(西、33%)県から報告されています。これは2016年に観察された状況と同様で、(昨年も)報告された患者の70%が同じ2県で占められていました。

 2017年に報告された可能性の高い患者152人のうち、141人で検体が採取されました。このうち、64人(45%)が検査確定され、52人は診断棄却されました。25人は、(現在)検査の途中です。確定患者のうち、81%(52人)がアルティボニット県および西県からでした。

 リスクに曝されている地域住民を確認し、2018年に実施が予定される予防接種キャンペーンなどの公衆衛生上の対策のために、疫学調査が強化されています。

 ベネズエラでは、2016年第28週から2017年第48週までに、ジフテリアの集団発生が報告されました。この発生は、Bolívar(ボリバル)州Sifontes行政地区から始まり、国内の21州に拡がりました。感染の可能性の高い患者933人が報告されました。これらの患者のうち324人は2016年に発生しました。2017年第1週から第48週までに、ジフテリア感染の可能性の高い患者609人が報告されました(致死率21%)。このうち、227人が(細菌の)分離もしくはPCR法検査によって確認されました。

 確定患者(198人)のうち、14%にはワクチン接種歴があり、56%が女性でした。最も発生が多かったのは11歳以上の年齢層で、確定患者の72%を占めていました。

 ベネズエラ国民保健省は、患者の発生した行政地区でのワクチン接種活動を強化しており、2018年始めには予防接種キャンペーンが開始される予定です。すべての州の関係機関には注意が喚起され、疫学調査、感染性のある患者の調査、接触者の経過観察、診断能力などが強化されつつあります。

各加盟国へのアドバイス

 PAHO / WHOは、それぞれの加盟国に、国内すべての行政機関で適切な(ワクチン接種の)水準に到達できるように戦略を駆使し、ワクチン接種率を高く維持する取り組みを続けるよう要請しています。大人を含む感染発生の中で、最も感染が発生した集団、発生リスクの高い集団には、予防接種を実施しておく必要があります。

 また、PAHO / WHOは、加盟国に対して、ジフテリア抗毒素(DAT)の供給を含めて患者と接触者に速やかに対応を始められるように、疑い患者の早期発見に向けた監視体制の強化を要請しています。

 PAHO / WHOは、合併症および死亡率を減らすために、適切な臨床管理が重要であることを、加盟国に示しています。保健担当当局に向け、患者の(臨床上の)管理に関して、次のことを示しています。

臨床上の管理について
 ジフテリアが強く疑われる場合には、直ちに、抗毒素と抗菌剤による特異的治療を開始する必要があります。治療の開始前に、検査結果を待つ必要はありません。

 ウマ由来のジフテリア抗毒素(DAT)は非常に有効性があり、ジフテリアへの標準治療となっています。合併症および死亡率を減少させるために、ジフテリア抗毒素(DAT)は、発病後できるだけ早く、重篤な場合には、できるならば静脈内に投与する必要があります。

 咽頭スワブの検体を採取したら、直ぐに、治療用全量を単回で投与することが必要です。推奨されている抗毒素の量は、20,000単位から100,000単位であり、局所病変の規模が大きく、発症から長い時間が経過している患者には、より大きな量(の投与)が推奨されます。用量は、子どもと大人も同じです。アナフィラキシーのような有害事象が起こることがあります。

 病原体を抑え、拡大を防ぐためには、抗生物質が必要です。抗生物質は、抗毒素の代替治療ではありません。

濃厚接触者の管理
 濃厚接触者には、ジフテリア患者と直接に接触した経過をもつ家族構成員やその他の人々、並びに患者の口腔や呼吸器からの分泌物に曝された医療スタッフが含まれます。

 濃厚接触者は全員が、ジフテリアの症状および徴候について臨床的な評価を受け、最後に接触した日から7日間は、毎日、健康監視の下に置かれなければなりません。大人の接触者は、自身が保菌者でないことが証明されるまでは、子どもとの接触を避けなければなりません。また、食品を取り扱ってはいけません。すべての接触者は、ベンザチン・ベンジル・ペニシリンの筋肉注射1回を受けなければなりません(6歳未満の子どもには600,000単位、6歳以上の者には120万単位)。細菌培養が陽性の場合には、上に記したように、抗菌剤を投与する必要があります。

出典

PAHO. Epidemiological Update. 15 December 2017
Diphtheria
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=43201&lang=en