2017年12月22日更新 サル痘の発生- ナイジェリア

 2017年12月21日に公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、2017年9月20日に、WHOにサル痘の集団発生が疑われることが届けられていました。その後、患者数は200人を超えています。

記事の詳細

 WHOには、2017年9月20日に、(ナイジェリア)Bayelsa(バイエルサ)州で人においてサル痘と疑われる集団感染が発生していることが報告されました。ナイジェリア疾病対策センター(NCDC)検査研究施設、パスツール・ダカール研究所、WHO共同研究センターorthopoxviruses(オルソポックス・ウイルス)研究室、アトランタの米国疾病センターで、検体の検査が行われています。

 9月4日から12月9日までに、疑い患者172人と確定患者61人が、国内のさまざまな地域から報告されました。検査確認された患者は国内36州のうちの14州から報告されました。報告のあったのは、Akwa Ibom(アクワ・イボム), Abia(アビア)、Bayelsa(バイエルサ)、Benue(ベヌエ)、Cross River(クロスリバー)、Delta(デルタ)、Edo(エド)、Ekiti(エキティ)、Enugu(エヌグ)、Lagos(ラゴス)、Imo(イモ)、Nasarawa(ナサラワ)、Rivers(リヴァーズ)、Federal Capital Territory (連邦首都地区)の各州です。疑い患者は23州から報告されました。報告のあったのは、アビア、Adamawa(アダマワ)、アクワ・イボム、バイエルサ、ベヌエ、クロスリバー、デルタ、エド、エキティ、エヌグ、連邦首都地区、イモ、Kaduna(カドゥナ)、Kano(カノ)、Katsina(カツィナ)、Kogi(コギ)、Kwara(クワラ)、ラゴス、Ondo(オンド)、Oyo(オヨ)、Nasarawa(ナサラワ)、Niger(ナイジャ)、リヴァーズの各州です。

 患者の多くは男性(75%)で、年齢層は21-40歳(中央値30歳)となっています。抗ウイルス薬を服用せず免疫不全状態の患者1人での死亡が報告されました。患者の集団感染が、州内各地で発生していますが、州と州との間を関連づける疫学的な根拠は分かっていません。また、分離されたウイルスの遺伝子解析の結果からは、州内、州間で、住民の間に複数のウイルス感染源からの流入のあることが示唆されています。さらなる疫学調査が行われています。

公衆衛生上の取り組み

 NCDCは、緊急対策センター(EOC)を無効にしました(deactivateを原文に準じて翻訳)。この対策は、既存のすべての支援組織で構成されるテクニカル・ワーキング・グループの主導の下に行われています。また、NCDCは、確定患者が発生したすべての州に緊急対策チーム(RRT)を派遣することで、NCDCからの遠隔での支援体制の整備を、他の各州にも行っています。(疫学)調査、(個々の)患者調査、接触者の追跡などが進められています。疾病調査と感染症対策のための整備体制(SORMAS)が、2017年11月4日に設定され、患者や接触者におけるデータ管理とリアルタイムでの位置情報の把握を強化することに活用されています。隔離施設を含めた患者の管理施設が設置され、症状軽減のための治療が提供されています。医療従事者には、患者管理のための研修が行われています。また、サル痘のリスクについての情報が、マスメディア、重要な情報の周知、報道発表、メディアによる要約報道などを通して、伝えられています。

WHOによるリスクアセスメント

 サル痘は、アフリカ西部や中央部の森林地帯で散発的に稀に発生する人獣共通感染症です。オルトポックス・ウイルスが原因で致命的な病態を起こすこともあります。この病気の症状は、天然痘(1980年以降、根絶されている)と似ていますが、それほど重篤にはなりません。この病気は症状が患者に限定的(あまり他人に感染しない)であり、通常14日から21日で回復します。治療は、(症状に合わせて)支持的に行われます。ナイジェリアでは、この病気が1978年に初めて流行しました。このウイルスは、感染した動物(ラット、リス、サル、ヤマネ、シマネズミ、その他げっ歯類やチンパンジーなど)の血液、体液、皮膚/粘膜病変と直接接触することで感染します。人から人への二次的な感染は限られていますが、呼吸器からの飛沫の曝露、感染者や(ウイルスで)汚れた物品との接触などを介して起こる可能性はあります。

WHOからのアドバイス

 サル痘の感染の発生中は、患者の呼吸器からの飛沫や体液との直接接触、皮膚病変、患者の分泌物や病変部位によって(ウイルスで)汚れた衣類で時間の経っていないものなどが、感染への最も大きなリスク要因となります。特別な治療法やワクチンがないため、げっ歯類などの野生動物との濃厚な接触など、リスク要因への住民の注意意識を高め、このウイルスとの感染機会を減らすための対策を住民に周知することが、人への感染を減らす唯一の方法です。感染の発生を封じ込めるには、調査活動の対策と新たな患者の早期発見が不可欠となります。公衆衛生上の教育メッセージは、以下のようなリスクに焦点を当てることが必要です。
・動物から人への感染伝播のリスクを減らす。感染が常在する地域での伝播を防ぐ取り組みは、死亡した野生動物、病気の野生動物を触ったり食べたりすることを避けることに焦点を当てることが必要です。病気の動物や感染した組織を取り扱う際には、手袋やその他にも適切な保護服を着用する必要があります。
・人から人への感染伝播のリスクを減らす。感染者の治療にあたる医療保健施設では、サル痘に感染した人を隔離し、感染の予防と管理への対策を行うことが必要です。サル痘に感染した人との濃厚な身体の接触は、(病状が)回復するまでは避けるべきです。どのような状況であっても、病人の介助にあたるときは、手袋、顔のマスク、保護服を着用する必要があります。病人を介助したり、病人のところを訪れたりした後には、決められたとおりに手を洗うことが必要です。

 WHOは、現時点で入手できる情報に基づく限り、ナイジェリアや感染の発生した地域への旅行や交易に対して、どのような制限も行わないよう助言しています。現在、ナイジェリアで国際旅行している者がサル痘と接触するリスクは低い状況です。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 21 December 2017
Monkeypox - Nigeria
http://www.who.int/csr/don/21-december-2017-monkeypox-nigeria/en/