2018年01月05日更新 ブルーリ潰瘍(10の事実)

 ブルーリ潰瘍の発生状況についてのファクト・ファイルが、WHOより出されています。ブルーリ潰瘍は、熱帯や亜熱帯の僻村に多いですが、日本でも、まだ残っている病気です。
 ブルーリ潰瘍は、早期に発見し抗生物質で治療すれば、この悪化した皮膚病変でも治すことができます。
 ブルーリ潰瘍は、皮膚に潰瘍を形成する病気で、細菌(Mycobacterium ulcerans)によって引き起こされます。
 この病気は、しばしば痛みのない結節が、通常は腕と脚にできることで始まります。そして、黄白色を呈する大きな潰瘍に進展します。ブルーリ潰瘍は、早期発見と抗生物質を組み合わせ治療することで治癒させることができます。しかし、診断が遅れれば、その状態は、外見の異常や機能不全が常態化することにもつながります。

 このファクト・ファイルでは、ブルーリ潰瘍の特徴の重要な側面をまとめています。

事実1 :ブルーリ潰瘍は、外見の異常や機能不全の常態化につながります
 ブルーリ潰瘍は、細菌(Mycobacterium ulcerans)によって引き起こされます。この感染は、主に皮膚、軟部組織、骨などに影響を及ぼし、通常は脚や腕に大きな潰瘍を形成します。ほとんどの潰瘍は、最終的に治癒しますが、きちんした治療ができていない患者では、重度の瘢痕や変形に進展することがあります。

事実2:発見が遅れた患者では、25%に障害を残すリスクがあります
 早期にきちんとした治療を受けていない患者は、長期間、機能障害に苦しむことになります。骨への感染は、大規模な変形や手足の切断につながることもあります。基本的に、苦痛を最小限に抑えるために重要となる方法は、早期の発見と抗生物質での治療です。

事実3 :ブルーリ潰瘍は、30を超える国で報告されています
(病状を)定期的に正確に報告することが、病気の経過の追跡や、治療の進展に役立ちます。ブルーリ潰瘍は、これまでに、アフリカ、アメリカ、アジア、西太平洋などの33か国で報告されています。オーストラリア、中国、日本を除き、ほとんどの国が、熱帯か亜熱帯の地域での発生です。

事実4:2002年から2016年にかけて、17か国から患者58,695人が報告されています
 ベナン、カメルーン、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ガーナといったアフリカ西部や中央部の国々から報告される患者が85%を占めています。アフリカ以外では、オーストラリアが中心的な発生地となっています。全体的には、依然として、この病気ではかなり診断が遅れています。オーストラリアや日本では、ほとんど(90%以上)がカテゴリーI(初期段階)で診断が付けられますが、アフリカの患者では、僅か32%しか(同じ段階で)発見されません。 

事実5:多くの患者は、熱帯の僻地で暮らす15歳未満の子どもです
 ブルーリ潰瘍の臨床上と疫学上の様相は、国や地域によって大きく異なります。アフリカでは、感染者の約48%が15歳未満の子どもです。日本(19%)やオーストラリア(10%)の方が、15歳未満の子どもでの数値は、かなり低くなっています。

事実6:Mycobacterium ulceransは、結核やハンセン病を引き起こす細菌と同じ種類の細菌です
 顕微鏡下では、M.ulceransM. tuberculosis(結核菌)は同じように見えます。しかしM.ulceransは、結核菌(36〜37℃)より低い温度(29〜33℃)で生育します。結核とは異なり、M.ulceransによって産生されるマイコラクトンが組織を損傷し、ブルーリ潰瘍の原因となります。

事実7:病変の55%が下肢に発生します
 M.ulceransの感染は、通常、脚や腕に見られ、大きな潰瘍を伴いながら、皮膚や軟部組織が破壊されます。病変の大部分は下肢に見られます。しかし、約35%が上肢に、10%が体の他の部位にも現れます。

事実8:早期に発見された患者の80%には治癒の可能性があります
 2005年に抗生物質による治療が導入されてからは、早期の診断と特定の抗生物質を組み合わせた治療により、患者の転帰が大幅に改善されています。再発は、抗生物質による治療では、ほとんど(潰瘍が)消えます。診断が遅れれば、長くて治療費のかかる入院につながることがあります。

事実9:Mycobacterium ulceransは、マイコラクトンと呼ばれる特有の毒素を産生します
 ブルーリ潰瘍は、多くが発熱も痛みもない腫脹で始まるため、早期の発見が困難です。M. ulceransは、特有の毒素 - マイコラクトン - を産生し、局所部位での免疫応答を阻害しながら、組織を損傷します。毒素により局所で免疫を抑制する特性は、発熱や痛みもなしに急速な(病状の)進行を可能にします。蛍光薄層クロマトグラフィーを用いて感染組織内のマイコラクトンを検出する画期的な方法が、迅速診断検査法として使用されています。

事実10:健康教育はブルーリ潰瘍を制御する上で重要です
 早期の発見および抗生物質による治療は、ブルーリ潰瘍を制御し、管理する上での試金石です。この病気を早期に診断し、確実に治療するには、病気への認識の向上、現地での健康教育、スクリーニング検査、保健医療従事者の研修、村落のボランティア住民による積極的な活動参加が不可欠です。

出典

WHO. Fact files, Media centre. December 2017
10 facts about Buruli ulcer
http://www.who.int/features/factfiles/buruli-ulcer/en/