2018年01月29日更新 黄熱のワクチン接種キャンペーン -ナイジェリア

2018年1月24日付けで公表されたWHOナイジェリア事務局から情報によりますと、現在、流行している黄熱に対し、2,500万人規模のワクチン接種キャンペーンが開始されます。この記事は、WHOのHighlight記事でも取り上げられています。

記事の概要

ナイジェリア政府は、WHOや支援組織の支援の下、黄熱の拡大を防ぐために1月25日(木)に大規模なワクチン接種キャンペーンを始めます。大規模な黄熱ワクチン接種運動を実施するこの国の歴史の中で、2018年のうちに2,500万を超える人々にワクチンを接種していきます。
この予防接種計画は、世界で2026年までに黄熱が常在する状態を排除していくための取り組みの一部です。予防キャンペーンには、Gavi(ワクチンと予防接種のための世界同盟)からのワクチンが使用され、UNICEFによって支援されます。予防接種計画は、1月25日にKogi(コギ)、Kwara(クワラ)、Zamfara(ザムファラ)の各州で始まり、Borno(ボルノ)州へと移動していきます。ボルノ州でのキャンペーンは、国内移動民のキャンプやこれを受け入れる周辺地域に焦点が当てられ、予防接種が行われます。来たる日には、4州で860万を超える人々に、ワクチンが接種されます。

「大規模な黄熱ワクチンの接種キャンペーンの達成目標は、各州と現地の行政地域で接種率90%を達成することによって、黄熱の感染伝播を低下させることにあります。これは、世界で2026年までに黄熱の常在を排除していくための一環です。」と、国立プライマリー・ヘルス・ケア推進庁の上級顧問Faisal Shuaib博士は述べています。

黄熱は、ウイルスをもった蚊が媒介する急性ウイルス性出血熱であり、ワクチンでの予防が可能です。現在のナイジェリアで発生する黄熱は、2017年9月に、ナイジェリア西部クワラ州Ifelodunで始まりました。2018年1月初旬までに、16州の合計で疑い患者が358人報告され、45人が死亡しました。
ナイジェリアでは、2017年後半に、緊急の黄熱ワクチンの接種キャンペーンにより、300万を超える人々にワクチン接種を行いました。しかし、黄熱ウイルスは、免疫で保護されていないこの国のさまざまな地域で伝播を続けています。

WHOは、この極めて複雑な運営の中で、何千人もの医療関係者にワクチン接種方法の研修を行い、黄熱患者を追跡し、計画の調整と物流の支援を行いながら、ワクチン接種を支援しています。
「人は、単回のワクチン接種で、黄熱から保護されます。」「これは、計画に何週間をも要した大規模な事業です。このキャンペーンに参加している4州には、約3,000組のワクチン接種チームが展開しています。」と、WHOナイジェリア代表Wondimagegnehu Alemu博士は述べています。

黄熱の排除への戦略(EYE):2026年に向けた目標の設定

支援団体の連合組織は、(感染)リスクの高い人々を保護し、国際的な拡大を防ぎ、速やかに流行の発生を封じ込めるために、WHO、Gavi、UNICEFの指導の下、黄熱の排除への戦略(EYE)を作成しました。黄熱は人獣共通感染症(自然界の中で脊椎動物から人に伝播する病気や感染症)のため、根絶することはできませんが、人々の免疫レベルを集団予防接種によって効果的に引き上げ、幼児の定期予防接種を継続していけば、(ウイルスの)常在を排除することはできます。EYE戦略の目標は、2026年までに世界で常在する黄熱を排除することです。
ナイジェリアでは、大規模なワクチン接種キャンペーンの第2段が、2018年後半に行われる予定です。これは、住民の免疫を強化するための段階的アプローチの一環です。

「この計画で、全国の住民には高い免疫力が提供されます。WHOは、支援組織に対して、ナイジェリア人を(黄熱から)保護し、2026年までに黄熱が常在する状態を終わらせるために、支援の継続を求めています。」とAlemu博士は述べました。

出典

AFRO/WHO.Countries, Nigeria, News. 24 January 2018
Nigeria set to vaccinate25million people, its biggest yellow fever
http://www.afro.who.int/news/nigeria-set-vaccinate-25-million-people-its-biggest-yellow-fever-campaign-ever