2018年02月27日更新 リフトバレー熱の発生- ガンビア

 2018年2月26日にWHOから公表された情報によりますと、ガンビアに住む男性がセネガルに来たリフトバレー熱と確認されたことが通報されました。この患者はDakar(ダカール、セネガル)の病院から報告されました。

リフトバレー熱の発生状況

 セネガル保健省は、2018年1月3日に、ガンビアに住む韓国人52歳男性がリフトバレー熱の感染者であったことをWHOに通報しました。

 この患者は、2017年12月5日に、彼の兄弟、そして、ガンビアのBanjul(首都バンジュール)からセネガルのZiguinchor(ジガンショール)、さらにジガンショールからギニア・ビサウ南部のBuba(ブバ)に向かう2人の同僚とともに移動していました。12月10日に、この患者は、首都ビサウ(ギニア・ビサウ)に滞在中に、乾性の咳、発熱、頭痛、関節痛の症状で発症しました。彼の兄弟と運転手も、12月10日に、乾性の咳の症状を発現しました。(しかし)こちらは翌日には回復しました。

 この一行は、ジガンショールに宿泊した後、12月12日にガンビアに戻ってきました。患者は、このときも咳が続いていました。首都バンジュール(ガンビア)に戻った後も、患者は発熱、頭痛、目眩を示していました。

 患者は、12月20日に病院を受診し、重症マラリアの診断で入院となりました。マラリア用の血液標本からは、熱帯熱マラリア原虫100,000/μLが確認されました。12月23日に、彼はせん妄状態となり、下痢、嘔吐、出血症状を示しました。12月25日に、彼は昏睡状態に陥り、セネガル・ダカールの病院に医学的な見地からに移送されました。彼の症状は改善し、血液検体が12月26日、28日、30日に採取されました。(しかし)彼は、2017年12月31日に出血症状を再発し、同日、死亡しました。

 患者の血液検体はパスツール研究施設ダカール研究所で検査されました。この検体はリフトバレー熱ウイルスに対するIgMが陽性でした。リフトバレー熱ウイルスおよびその他のアルボウイルスは、RT-PCR法検査では検出されませんでした。この患者は、分かっている限り、生肉を扱ったことはありませんでした。

公衆衛生上の取り組み

・感染の発端となった患者の調査が、セネガル保健省・緊急健康対策センターから多岐にわたる領域の合同チームによって実施されました。
・この調査の一環として、咳を自覚した患者の兄弟、同僚、運転手からも血液検体が採取されました。これらの検体でのリフトバレー熱ウイルスに対するRT-PCR法検査はすべて陰性でした。
・また、2次感染患者に対する調査が、農業省畜産部と共同で、ガンビア保健省・疫学および疾病対策室からの多岐にわたる領域のチームによって実施されました。ガンビアでは、動物個体に対するリフトバレー熱の調査と地域社会での(感染リスクへの)注意喚起の活動に力が入れられました。

WHOによるリスク評価

 リフトバレー熱の発生は、ガンビアとその近隣諸国では稀なことです。直近の患者の発生がガンビアから報告されたのは、2002年のことでした。現在、ガンビア、セネガル、ギニア・ビサウともに、リフトバレー熱の発生リスクがあるとはされていません。

 洪水を起こし、リフトバレー熱を媒介する蚊が大量に発生する原因となる大雨は、リフトバレー熱の発生と密接に関連しています。リフトバレー熱は、感染した反すう動物(草食動物)での致死率や流産率が高いために、交易量を減らし、ときに大きな経済的損失を引き起こします。そのため、人と動物、両方の健康に対応した包括的な感染制御への対策が必要となります。これらの対策には、リスクのある住民に向けた教育キャンペーンも含まれます。

WHOからのアドバイス

 リフトバレー熱は、蚊によってウイルスが媒介される人獣共通の感染症です。主に動物に感染しますが、人にも感染する能力も持ちます。人での感染の大部分は、感染した動物の血液または臓器と直接的または間接的に接触することで起こります。牧畜業者、農業従事者、屠殺場の労働者、獣医師などには、高い感染リスクがあります。リフトバレー熱に感染するリスク要因への意識向上と蚊刺しの防止への対策が、人への感染と死亡を減らす唯一の方法です。リスクを減らすための公衆衛生上のメッセージは、次のようになっています。
・安全を保てていない畜産飼育や屠殺の実施を避け、動物から人への感染リスクを低下させること。病気の動物やその組織を取り扱うとき、また、動物を屠殺するときには、手指の衛生と手袋やその他・個人用保護具の着用を実施することが推奨されています。
・安全性のない生乳や滅菌処理していない動物乳および動物組織などの摂取を避け、動物から人に伝播するリスクを低下させること。(この病気が)常在する地域では、食べる前に動物からのすべての生産物を徹底して(熱)調理することが必要です。
・殺虫剤の散布や蚊の繁殖場所を減らすための幼虫・殺虫剤の使用、蚊帳、虫除け剤、衣服での防御、媒介する蚊の種類毎に刺しやすい時間のピーク時に野外活動を回避することなど、媒介する蚊を制御する取り組みを実施し、蚊刺しのリスクを低下させること。
・感染のある地域から感染のない地域へのウイルスの拡散リスクを減らすために、家畜の移動を制限または禁止すること。

 リフトバレー熱の発生を予防するために、定期的な動物への予防接種が推奨されています。(しかし)予防接種キャンペーンは、感染の発生中は奨励されません。ウイルスを注射針で伝播してしまうことで(動物の)群れの間での伝播を助長する可能性があるからです。動物におけるリフトバレー熱の発生は患者の発生に先行するため、獣医師や公衆衛生当局に向けて早期の警報情報を提供することが、動物衛生上の監視体制の確立に不可欠となります。

 WHOは、この事態について入手できている最新の情報に基づく限り、ガンビアへの旅行や貿易に関して如何なる制限を加えることも推奨していません。

出典

WHO. Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 26 February 2018
Rift Valley fever - Gambia
http://www.who.int/csr/don/26-february-2018-rift-valley-fever-gambia/en/