2018年04月24日更新 世界予防接種週間(ファクトファイル:予防接種10の事実)

 2018年4月24日から30日の一週間は、WHOが定める世界予防接種週間です。今年のテーマは、"Protected Together, #VaccinesWork"「ともに(病気から)守られるように。ワクチンの力で」とされ、より大きな力でワクチンの接種率を向上させる取り組みを推進することを促しています。

 単一での健康予防で、予防接種以上に費用対効果の高い介入方法がないことは間違いありません。数多くの感染症、さらには、増加傾向にあり感染病原体が原因となるいくつもの慢性感染症における予防と制御に対して、予防接種や免疫の強化に価値があることは、何度も繰り返し国際社会から支持されてきました。

 予防接種の利用環境の拡大は、持続可能な発展目標(SDGs)を達成する上で不可欠です。予防接種は、下痢症、麻しん、肺炎、ポリオ、百日咳など、感染症に関連する病気や死亡から防ぐだけでなく、教育や経済の発展など、国家の優先課題を実現させる役割も果たしています。

 ワクチンの比類のない価値は、世界経済フォーラム2010年で開始された「ワクチンの10年」を背景とする原動力となりました。このフォーラムにより、2020年までに予防接種での免疫強化の十分な恩恵をすべての人々に拡大することへの支援を、多くの関係者から得ました。各国政府は、この率先した取り組みを歓迎しました。(そして)2012年第65回世界保健総会で、2020年までにワクチン接種で予防可能な病気による死亡から何百万もの人々を護るための枠組みである世界ワクチン接種行動計画(GVAP)が、加盟国194か国により採択されました。

 GVAPは、定期予防接種の強化をし、初めての試金石となるポリオ根絶など、ワクチンでの予防が可能な病気の制御を加速させ、新しいワクチンを導入するとともに、次世代のワクチンや技術革新に向けた研究開発を促進することを目指しています。

事実1:現在、予防接種は、毎年200-300万人を死亡から防いでいます。

 予防接種は、毎年、すべての年齢層において、ジフテリア、破傷風、百日咳、麻しんによる死亡から護っています。これは、費用対効果の高い公衆衛生上の介入のひとつで、最も成功を治めているものです。しかし、世界でのワクチンの接種率が向上すれば、さらに150万人を死亡から免れさせることができます。

事実2:世界では、毎年、前年を上回る子どもたちが、予防接種を受けています。

 2016年には、世界中の1歳未満の子どもたち、推定で1億1,650万人(約86%)が3種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳)3回のワクチン接種を受けました。これらの子どもたちは、重篤な病気、機能障害、そして死をもたらす感染症から護られています。

事実3:推定で1,950万人の1歳未満の子どもたちが、3種混合ワクチン(ジフテリア、破傷風、百日咳)の予防接種を受けていません。

 これらの子どもたちの約60%は、アンゴラ、ブラジル、コンゴ民主共和国、エチオピア、インド、インドネシア、イラク、ナイジェリア、パキスタン、南アフリカ共和国の10か国で暮らしています。

事実4:ワクチンの研究と開発は大きな進展をもたらしました。

 いくつもの国で、デング熱に対する新しいワクチンが承認を受けました。また、マラリアから子どもたちを護る初めてのワクチンが、2018年にアフリカの3か国で試験的に開始されます。臨床開発の軌道に乗ったワクチンの数も増えてきています。

事実5:髄膜炎A型は、アフリカでは予防接種によって撲滅が近くなっています。

 髄膜炎A型は、脳に深刻な障害を起こし、しばしば悲惨な状況をもたらす感染症です。2010年12月に、アフリカで髄膜炎A型へのワクチンが導入されて以降、大規模なワクチン接種キャンペーンが、「髄膜炎ベルト」と呼ばれるアフリカ26か国で行われ、悲惨な髄膜炎A型の感染を制御し、撲滅に導こうとしています。このワクチンは、現在、各国の定期予防接種計画の中への組み込みが図られています。

事実6:世界での麻しんの死亡率は84%低下しました。

 麻しんは高い感染力をもつウイルスによる病気です。通常、高熱と皮疹を引き起こし、失明や脳炎、ときに死をももたらします。世界での麻しんの死亡者数は、推定で、2000年の約550,000人から2016年には89,780人に減り、84%低下しました。予防接種への取り組みを加速したことで、麻しんによる死亡者の減少に、大きなインパクトがありました。

事実7:アメリカ大陸では、麻しんの終息が宣言されました。

 2016年に、WHOアメリカ大陸地域は、世界で初めて、麻しんが撲滅された地域となりました。この達成には、アメリカ大陸全体で、麻しん、風しん、ムンプス(おたふく風邪)に対する大規模なワクチン接種を行う22年もの取り組みの積み重ねがありました。

事実8:世界では、ポリオを根絶できる日が、かつてない程に近くなっています。

 2016年には、ポリオによって麻痺を起こした子どもが、これまでのどの年よりも少なくなりました。このウイルスは、パキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアの一部地域に限定されています。野生型ポリオのウイルス株の2/3は撲滅されたとみられ、インドとWHO東南アジア地域のすべての国々では、ポリオの終息が宣言されました。中東とアフリカの角と呼ばれる地域では、2013-2014年に始まった感染の発生が止まりました。

事実9:東南アジアでは、新生児と母親の破傷風が撲滅されました。

 2016年に、WHO東南アジア地域では、新生児と母親の破傷風が撲滅されました。世界人口の1/4近くが生活するこの地域では、WHO地域事務局のある6地域のうち、ヨーロッパ地域に続いて2番目に新生児と母親の破傷風の撲滅が達成されました。2017年にアメリカ大陸地域は3番目に新生児と母親の破傷風が撲滅されました。破傷風は病気を引き起こす細菌が、土壌中の環境及び多くの異なる動物の糞便に存在するため、完全に撲滅できません。衛生的に出産を取り扱い予防接種すれば予防できる病気です。

事実10:ワクチンは、薬剤への耐性に対しても最前線で防ぐ役割を果たしています。

 ワクチンは、薬剤耐性の拡大を限定させる役割も果たしています。抗生物質の過剰投与や誤使用によって、薬剤耐性細菌が引き起こす病気が世界的に増加し、公衆衛生上の大きな懸念材料となっています。人と動物への予防接種は、彼らが感染することを阻止し、抗生物質の必要性を防ぐには、とても効果的な方法です。既存のワクチンをさらに上手く使用し、新しいワクチンを開発することが、薬剤への耐性に取り組み、予防可能な病気(への感染)とそれによる死亡を減らす重要な方法となります。

出典

WHO. Fact files, Media centre. Updated March 2018
10 facts on immunization
http://www.who.int/features/factfiles/immunization/en/