エボラウイルス病-コンゴ民主共和国(更新10)

Disease outbreak news: 更新 2019年2月7日

コンゴ民主共和国におけるエボラウイルス病(EVD)は、ここ数週間で比較的多数の症例が報告されていますが(図1)、いくつかの有望な兆候も見られます。カトワ(Katwa)とビュトンボ(Butembo)の保健区域は、この3週間で71%の症例を報告しており、地理的に分散した地域において小さな集団で同時に発生し続けています。

2月5日現在、789人のエボラウイルス病症例1(735人が確定、54人が高度疑い)が報告されており、そのうち488人が死亡しました(全症例における致死率:62%)。これまでのところ、267人がエボラ治療センター(ETCs)から退院し、専用の監視と支援プログラムに登録しています。年齢および性別に関する入手可能な情報を有する症例のうち、58%(454/788)が女性であり、5歳未満の子供116人を含む30%(232/786)が18歳未満でした。カトワ(4)とカルングタ(Kalunguta)(1)で新たに5人の医療従事者の感染が報告されました。合計67人の医療従事者がこれまでにこの疾病に冒されました。

過去21日間(2019年1月16日-2月5日)の間に、カトワ(75)、ビュトンボ(9)、ベニ(Beni)(8)、キョンド(Kyondo)(5)、カイナ(Kayna)(5)、オイチャ(Oicha)(4)、マンギュールジパ(Manguredjipa)(4)、ビエナ(Biena)(2)、カルングタ(Kalunguta)(2)、マバラコ(Mabalako)(2)、マセレカ(Masereka)(1)、ムトワンガ(Mutwanga)(1)およびヴホヴィ(Vuhovi)(1)2を含む119人の新たな症例が13の保健区域から報告されました(図2)。現在の疫学的分析は、貧弱な感染予防と管理(IPC)の実践による院内感染、新たな症例の発見と隔離の持続的な遅れ、頻繁な地域社会内の死亡(および死後の故人との接触)、家族および地域社会ネットワーク内の感染が現在進行しているこの疾患の伝播の主な要因であると指摘しています。治安情勢が不穏で所々で地域社会の抵抗があるため、これらのリスクに対抗するための取り組みは継続的に妨げられています。それにもかかわらず、対応チームは、地域社会の信頼とこの疾病の影響を受けているすべての地域への参加を積極的に強化することを引き続き引き受けており、カトワやその他の地域で目に見える改善が見られ始めています。

コマンダ(Komanda)保健区域は最近最も危険な感染期間を過ぎ、1月11日に最後の確定例が報告され、すべての接触者が最短の追跡期間を完了しました。ただし、この地域やその他の以前にこの疾病の流行を受けた地域での潜在的な再燃や再導入を迅速に検出するには、高度な警戒を維持する必要があります。

図1:2019年2月5日時点までに発症した週ごとのエボラウイルス病の確定例と高度疑い例 (n = 789)1


1ここ数週間のデータは、症例の確認と報告、および現在進行中のデータ・クリーニングが遅れることがあり、この期間の傾向は慎重に解釈する必要があります。

2コマンダからの5人の高度疑い例(全員2018年11月に死亡)は、症例の遡及的再分類の後、2019年1月21日から27日の週の間に報告されました。

図2:2019年2月5日時点のコンゴ民主共和国北ギブ州およびイトゥリ州の保健区域別のエボラウイルス病の確定例と高度疑い例(n = 789)

公衆衛生上の取り組み

保健省は、国際保健機関(WHO)とパートナーの支援を得て、対応策を強化し続けています。WHOおよびパートナーによる公衆衛生上の取り組み活動に関する詳細情報については、WHOアフリカ地域事務所によって公表された最新の状況報告を参照してください。
エボラ状況報告:コンゴ民主共和国
https://www.who.int/ebola/situation-reports/drc-2018/en/

WHOによるリスク評価

WHOは、アウトブレイクについて2019年1月9日にリスク評価を見直し、リスクは国および地域レベルで非常に高いままですが、世界的なリスクレベルは低いままです。このエボラウイルスのアウトブレイクは、ウガンダ、ルワンダ、南スーダンに隣接するコンゴ民主共和国の北東部の州に影響を与えています。経済的および個人的な理由から、ならびに治安が悪いために、この疾病の被害を受けている地域、国内の他の地域および近隣諸国の間を広範囲に人々が移動するため、国レベルおよび地域レベルでエボラウイルスが伝播する危険性があります。コンゴ民主共和国は他の伝染病(例えばコレラ、ワクチン由来のポリオ、マラリア)と長期の人道的危機を同時に経験しています。さらに、北キブ(North Kivu)とイトゥリ(Ituri)の治安状況により、対応活動の実施が制限されることがあります。

国や地域の広がりの危険性が非常に高いので、近隣の州や国々がサーベイランスと準備活動を強化することが重要です。国際保健規則(IHR2005)緊急委員会は、これらの準備およびサーベイランス活動を強化しないことは、状況を悪化させ、さらなる拡大につながると助言しています。WHOは近隣の国々やパートナーと協力して、保健当局が警戒し、対応の準備が整っている状態を確かなものにするために活動していく予定です。

WHOからのアドバイス

国際交通
WHOは現在入手可能な情報に基づき、コンゴ民主共和国への渡航や貿易のいかなる制限をも行わないよう勧告します。現在のところ、エボラウイルスから人々を守るワクチンは認可されていません。したがって、国境を越えた移動や、コンゴ民主共和国を離れる乗客に対するビザ発給の制限の基準としてエボラワクチンの接種証明書を要求することは合理的ではありません。WHOは厳重な監視を継続し、必要であれば今回の出来事に関連した渡航と貿易の措置を検証します。現在のところ、コンゴ民主共和国への、そして同国からの国際輸送を著しく妨げる渡航の措置を実施した国はありません。旅行者は旅行の前に医師の診察を受けるべきであり、そして良い衛生慣習を実践すべきです。

更なる情報は、以下をご参照ください。

South Sudan vaccinates health workers against Ebola
Ebola - Following a Full Simulation Exercise, a Joint Monitoring Mission is deployed in Rwanda
Summary report for the SAGE meeting of October 2018
Statement on the October 2018 meeting of the IHR Emergency Committee on the Ebola virus disease outbreak in the Democratic Republic of the Congo
WHO Interim recommendation Ebola vaccines
WHO recommendations for international travellers related to the Ebola Virus Disease outbreak in the Democratic Republic of the Congo
Ebola virus disease in the Democratic Republic of the Congo -Operational readiness and preparedness in neighbouring countries
Ebola virus disease fact sheet

出典

Ebola virus disease- Democratic Republic of the Congo
Disease outbreak news: Update   7 February 2019
https://www.who.int/csr/don/07-february-2019-ebola-drc/en/