感染症についての情報

狂犬病 Rabies

狂犬病は年間5万人以上が死亡する人畜共通感染症です。発症するとほぼ100%死亡します。狂犬病はほとんど全ての哺乳動物から感染する可能性があります。感染症法では4類に分類されています。

感染経路

ウイルスは感染動物の唾液に含まれます。哺乳動物に咬まれたり、傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることで神経系の細胞に感染します。動物は前足をなめるので、ウイルスの付いたツメで引っかかれても感染を考えなくてはなりません。

症状

ウイルスが直接中枢神経を侵した場合、10日目あたりから、発熱、頭痛、全身倦怠や嘔吐などを起こします。一方、末梢の神経線維に感染した場合には、ウイルスは非常にゆっくりと脳へ向かうので発症までに数年の年月を要します。発症後は、ものを飲み込みづらくなり、液体を飲もうとすると筋肉がけいれんするため、水を恐れるようになります(恐水症)。やがて昏睡状態となり、呼吸が麻痺し死亡します。

治療

哺乳動物に咬まれたときには、できるだけ早く病院を受診してください。

同時に、狂犬病のおそれのある動物に咬まれたら、傷口を石鹸と水(できれば流水)でよく洗い、消毒液で消毒します。空気に触れると直ぐに感染力が弱まるウイルスです。粘膜から感染する可能性があるので、決して傷口を口で吸いださないでください。

医師はWHOが定めた基準に沿ってワクチンの必要性を判断します。咬まれたときの状況、咬まれた後の処置の仕方などをできるだけ詳しく説明してください。ワクチン接種が必要と判断されたときには、医師の指示に従ってワクチンを接種してください。接種は複数回を受ける必要があります。

症状が発現したときには確立された治療法はありません。これまでに100万人以上の人が命を落としており、助かった人は数名しかいません。

日本でも、2006年に狂犬病の輸入感染例がありました。しかし、その前の発生例は1970年です。日本に狂犬病を診た医師はほとんどいないので、診断と治療が遅れる可能性があります。そのためにもワクチン接種は大切です。

狂犬病の発生がない日本では、常備されているワクチンは限られています。接種対象者が予めワクチン接種が可能であることを病院に確認し、病院の指示に従って受診してください。

WHOが定めた基準
狂犬病又はその疑いのある飼育動物や野生動物との接触、又は観察不能な動物との接触の状況 処置方法
カテゴリー1(危険性なし)
動物に触れたり、餌を与えた。
動物に傷のない皮膚をなめられた
処置必要なし
カテゴリー2(低い危険性)
動物に直接皮膚をかじられた。
出血を伴わない引っ掻き傷やすり傷ができた。
ただちにワクチン接種を開始するが、10日間動物が健康であるか、剖検して狂犬病が否定された場合は中止する
カテゴリー3(高い危険性)
1か所以上の咬傷や引っ掻き傷ができた。
動物に粘膜をなめられた。
動物に傷のある皮膚をなめられた。
コウモリとの接触。
ただちに抗狂犬病ガンマグロブリンとワクチンを開始するが、10日間動物が健康であるか、剖検して狂犬病が否定された場合は中止する

日本での暴露後接種は0日、3日、7日、14日、28日、90日の6回です。地域によってワクチンの種類、接種方法、接種回数が異なりますので、海外ではワクチンの種類と接種方法の情報を聞いておくことが重要です。ワクチンの種類と回数によっては、最初から接種し直すこともあります。

予防

全ての動物からする可能性があります。動物にむやみに手を出さないようにしましょう。

渡航地で動物と接する機会が多い場合には、暴露前接種という方法があります。暴露前接種は初回接種を0日とすると0-28-180の3回接種となります。こちらも、海外での接種方法とは異なります。海外で追加接種を受ける場合には確認が必要です。

危険のある地域

アフリカ、アジア、中南米のほとんどの地域で流行しています。台湾は狂犬病のない地域とされていましたが、2013年7月台湾で狂犬病の野生動物が確認されています。狂犬病のリスクのない国が減ってきていますので、渡航先の情報には注意してください。

疾患分布

さらに詳しい情報

2016年5月更新