中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)感染症－レバノン
7月5日更新
2017年6月19日に、レバノン国際保健規則(IHR)担当窓口は新たに1人の中東呼吸器症候群コロナウイルス（MERS-CoV）感染例を報告しました。
症例の詳細情報
各患者の詳細が書かれた一覧表は出典先よりダウンロードできます。
サウジアラビアのリヤド市在住でレバノン国籍の39歳男性が2017年6月8日に軽度の症状で発症しました。患者は医療従事者です。リヤド市で進行中のMERS強化サーベイランスにより、鼻咽頭スワブの検査がサウジアラビアのリヤド市で2017年6月11日に実施されましたが、リヤド地方研究所でのポリメラーゼ連鎖反応（PCR）検査ではMERS-CoVは陰性でした。患者には基礎疾患はありませんでした。またMERS患者が発生している医療機関では働いておらず、診断確定患者との接触歴はなく、呼吸器疾患患者との接触歴もありませんでした。発症前14日以内にヒトコブラクダとの接触歴もありませんでした。
2017年6月11日に患者はサウジアラビアからレバノンに渡航しており、移動中特に症状はありませんでした。6月15日に腹部症状があり、同日レバノンの医療機関で診察を受けています。その際胸部X線検査で肺炎の診断をされています。下気道からの検体が6月16日に採取され、MERS-CoV陽性が判明し、同日保健省に報告されました。患者は居宅で隔離されていました。6月17日以後症状はありませんでした。2回の連続鼻咽頭スワブ検査と下気道からの検体が採取されましたが6月17、19、23日に実施されたPCR検査ではいずれもMERS-CoV 陰性でした。6月23日は居宅での隔離を解除されています。レバノンでの接触者は全てMERS-CoV検査結果陰性でした。サウジアラビアでの接触者追跡調査と感染源の調査については同国保健省で進行中です。
WHOには全世界で2,037人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち少なくとも710人が関連死しています。
公衆衛生上の取り組み
保健省は感染例とその接触者の評価を実施し、さらなるヒト-ヒト感染が拡大しないように対策を実施しています。それらの対策は以下のようなものです。
・診断確定例に対する適切な隔離（無症候者については自宅で、有症者に対しては病院内での隔離）
・患者の接触者、医療従事者、レバノンでの地域における接触者に対し、活発な追跡調査
・サウジアラビア保健省と共同でサウジアラビアでの接触者を同定し、連絡をとり、フォローアップすること
及び今回の患者の感染源の調査
・リスクの高い、あるいは低い医療従事接触者を同定し、ともに14日間の潜伏期間における健康状態の日常
監視及び、症状の有無に関わらず曝露歴のある医療従事者接触者に対しては鼻咽頭スワブ検査を実施。これ
まで全ての接触者においての検査は陰性でした。
・リスクの高い、あるいは低い家庭内接触者を同定し、ともに14日間の潜伏期間における健康状態のモニ
ター及び、有症者に関してはPCR検査を実施。これまでに家庭内接触者での有症者はでていません。
・病院での感染予防とコントロール対策の強化
・結果陽性検体を指定研究所に送り、確定検査と遺伝子配列の決定
レバノンの保健省はサウジアラビアの保健省と連絡をとり、医療従事者及び、この患者がサウジアラビアに滞在していたときの地域での接触者についてフォローアップをおこなっています。この患者はサウジアラビアでMERSが最近発生している医療施設では就労していません。しかし当初、 6月13，19，28日WHO-DON（関西空港検疫所海外感染症情報No.50.53.56）に報告されているリヤドでの過去のMERS集団感染における強化サーベイランスの一環として6月11日にリヤドで検査をうけています。
WHOによるリスク評価
MERS-CoVはヒトに重篤な感染症状ひき起こし、結果的に高い死亡率をもたらし、なおかつヒトからヒトへの感染を起こします。現在までヒト-ヒト感染は主に医療環境で起こっています。今回の症例はレバノンでMERS-CoVと診断確定された2人目の患者となります。過去に報告された例は2014年5月8日に報告されています。（WHO-DON2014年5月15日、関西空港検疫所海外感染症情報2014年No.118参照）
【出典】Emergencies preparedness, response
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Lebanon
Disease outbreak news 4 July 2017
http://www.who.int/csr/don/04-july-2017-mers-lebanon/en/
症例の詳細情報
各患者の詳細が書かれた一覧表は出典先よりダウンロードできます。
サウジアラビアのリヤド市在住でレバノン国籍の39歳男性が2017年6月8日に軽度の症状で発症しました。患者は医療従事者です。リヤド市で進行中のMERS強化サーベイランスにより、鼻咽頭スワブの検査がサウジアラビアのリヤド市で2017年6月11日に実施されましたが、リヤド地方研究所でのポリメラーゼ連鎖反応（PCR）検査ではMERS-CoVは陰性でした。患者には基礎疾患はありませんでした。またMERS患者が発生している医療機関では働いておらず、診断確定患者との接触歴はなく、呼吸器疾患患者との接触歴もありませんでした。発症前14日以内にヒトコブラクダとの接触歴もありませんでした。
2017年6月11日に患者はサウジアラビアからレバノンに渡航しており、移動中特に症状はありませんでした。6月15日に腹部症状があり、同日レバノンの医療機関で診察を受けています。その際胸部X線検査で肺炎の診断をされています。下気道からの検体が6月16日に採取され、MERS-CoV陽性が判明し、同日保健省に報告されました。患者は居宅で隔離されていました。6月17日以後症状はありませんでした。2回の連続鼻咽頭スワブ検査と下気道からの検体が採取されましたが6月17、19、23日に実施されたPCR検査ではいずれもMERS-CoV 陰性でした。6月23日は居宅での隔離を解除されています。レバノンでの接触者は全てMERS-CoV検査結果陰性でした。サウジアラビアでの接触者追跡調査と感染源の調査については同国保健省で進行中です。
WHOには全世界で2,037人のMERS-CoV感染確定例が報告されており、そのうち少なくとも710人が関連死しています。
公衆衛生上の取り組み
保健省は感染例とその接触者の評価を実施し、さらなるヒト-ヒト感染が拡大しないように対策を実施しています。それらの対策は以下のようなものです。
・診断確定例に対する適切な隔離（無症候者については自宅で、有症者に対しては病院内での隔離）
・患者の接触者、医療従事者、レバノンでの地域における接触者に対し、活発な追跡調査
・サウジアラビア保健省と共同でサウジアラビアでの接触者を同定し、連絡をとり、フォローアップすること
及び今回の患者の感染源の調査
・リスクの高い、あるいは低い医療従事接触者を同定し、ともに14日間の潜伏期間における健康状態の日常
監視及び、症状の有無に関わらず曝露歴のある医療従事者接触者に対しては鼻咽頭スワブ検査を実施。これ
まで全ての接触者においての検査は陰性でした。
・リスクの高い、あるいは低い家庭内接触者を同定し、ともに14日間の潜伏期間における健康状態のモニ
ター及び、有症者に関してはPCR検査を実施。これまでに家庭内接触者での有症者はでていません。
・病院での感染予防とコントロール対策の強化
・結果陽性検体を指定研究所に送り、確定検査と遺伝子配列の決定
レバノンの保健省はサウジアラビアの保健省と連絡をとり、医療従事者及び、この患者がサウジアラビアに滞在していたときの地域での接触者についてフォローアップをおこなっています。この患者はサウジアラビアでMERSが最近発生している医療施設では就労していません。しかし当初、 6月13，19，28日WHO-DON（関西空港検疫所海外感染症情報No.50.53.56）に報告されているリヤドでの過去のMERS集団感染における強化サーベイランスの一環として6月11日にリヤドで検査をうけています。
WHOによるリスク評価
MERS-CoVはヒトに重篤な感染症状ひき起こし、結果的に高い死亡率をもたらし、なおかつヒトからヒトへの感染を起こします。現在までヒト-ヒト感染は主に医療環境で起こっています。今回の症例はレバノンでMERS-CoVと診断確定された2人目の患者となります。過去に報告された例は2014年5月8日に報告されています。（WHO-DON2014年5月15日、関西空港検疫所海外感染症情報2014年No.118参照）
【出典】Emergencies preparedness, response
Middle East respiratory syndrome coronavirus (MERS-CoV) – Lebanon
Disease outbreak news 4 July 2017
http://www.who.int/csr/don/04-july-2017-mers-lebanon/en/