2013年11月13日更新 スーダンで黄熱の患者が発生しました

黄熱は蚊によって感染します。感染しても症状が出ないこともありますが、発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐などの症状が現れ、皮膚が黄色くなったり、出血しやすくなったりして、死亡することも多い病気です。黄熱の感染拡大を防止するためには、予防接種が最も重要な方法です。特別な治療法はなく、脱水や発熱の支持療法が行われます。また、輸血が必要になることもあります。

世界保健機関(WHO)東地中海事務局(EMRO)から公表された情報によりますと、スーダンの連邦保健省は西コルドファン(West Kordofan)州の2地区で黄熱の患者が発生したとWHOに報告しました。

黄熱の患者発生に対応するため、ハルツームに技術的な委員会が設立されました。これまでに現地で得られたデータの解析によれば、黄熱の常在地域における限局的な発生であると示唆されています。

最初の調査では、ハルツームの国立公衆衛生研究所で10検体を超える血液検体の検査が行われました。検査された検体は西コルドファン州で発生した黄熱が疑われる患者の検体で、黄熱の検査が陽性であったのは3検体でした。

WHOは、黄熱の患者発生が再確認されたことを受けて、連邦保健省を支援しており、黄熱の検査が陽性となったすべての検体をWHOの黄熱の地域レファレンスセンターである、セネガルのダカールにあるパスツール研究所に送っています。

10月3日から11月2日までの間に黄熱が疑われる患者が20人報告されており、そのうち7人が死亡し、致死率は35%です。患者はアラビアガムの農場で働く季節労働者が暮らすキャンプで発生しました。また、患者はスーダン東部の出身で、1か月前にコルドファンに行き、キャンプで暮らし始めました。労働者は、通常、スーダン東部から集団で移動します。現在、200人がキャンプで暮らしていると推計されています。

黄熱の患者が発生している間に、迅速かつ優先的に行うことは、患者管理の強化、ベクター・コントロール(感染源となる媒介蚊の制御対策)、コルドファンと近隣州(カッサラ州とガダーレフ州)における疾患サーベイランスの強化です。WHOは連邦保健省を通じて、患者が発生した地域で使用する医療機器、医薬品、検査器具、清掃用具、消毒薬、蚊よけネット、殺虫剤を州の保健省に送りました。

昨年はダルフールで黄熱の患者が報告されました。黄熱が疑われる患者は849人と報告され、このうち171人が死亡しました(致死率は20.1%でした)。ワクチンの提供に関する国際調整グループや、現地で活動する非政府組織の支援によって、速やかに第1段階から第3段階までの緊急集団予防接種キャンペーンが実施されました。ダルフールの5地域で約500万人が予防接種を受けました。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。

また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご連絡ください。

医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

FORTH 感染症情報

黄熱
黄熱の予防接種(ワクチン)について
黄熱ワクチン接種機関一覧

出典

WHO EMRO SudanYellow fever outbreak in West Kordofan
http://www.emro.who.int/sdn/sudan-news/yellowfever-kordofan-2013.html